TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
  厨房で働くあなたの心に着火 プロの厨房を応援する情報誌
Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。茂出木 浩司 たいめいけん 三代目 オーナーシェフ
 
 
大山地鶏を選んだのは、丸ごとはもちろんモモの部分など食材としての大きさが、ちょうどいいからなんですが、一番のポイントは加熱した後の食感。硬すぎず、ちょうどいい歯ごたえで、しっかりと味わえるところですね。
今日は、マレンゴ風ということです。マレンゴというのはイタリアの地名で、ナポレオンが戦いの最中に戦地で作らせたというメニューなんです。その場所にいた地鶏とトマト、ニンニク、コニャック、それだけのシンプルな材料で作ったのです。そしてそれが進化して、エクルビス(ザリガニ)とフライドエッグがつく料理になったのです。私はこれを一度分解して、現代風に再構築して軽めに仕上げました。
茂出木 浩司さんの写真
この料理の一番の味わいどころは「バランス」。ロブション氏の言う「ハーモニー」です。72℃という温度管理をして、蛋白質の凝固点を探りながら、鶏で海老をロール状にバロティーヌ(肉に詰めものをして筒状に丸め、煮た料理)しました。歯ごたえ、香り、味わい、素材感。そのひとつひとつを、そしてそれ以上を、一度に味わい、感じて頂きたい料理です。軽めな感じですが、大山地鶏らしいコクと深み、強さが口の中に広がっていくと思います。
私はいつも、フランスの古典料理や地方料理をひもとき、現代化させていくという手法を採っているんです。そうすることで、私の中心にずっとフランスがあり続けるんです。2010年に残っている古典料理はどこが良かったからだろうか。なぜ食べ続けられるのだろうか。フランスの何が残ったのだろうかと。こうすることで自分の中にブレを作らないようにしているんです。そして、フランス人が食べたらどう思うか、いつも考えています。幸いうちにはフランス人のシェフもいますし、ロブション氏がいるときは、味をみていただき意見を聞きます。でも最終的にはお客さまは日本の方ですから、日本人の私の舌を通した意見を話をしたこともあります。クビも覚悟しましたが(笑)。
日本人の舌とフランス人の舌を較べても、美味しさの基準は変わらないと思います。でも私たちは、子どもの頃からポタージュを食べて、フランスパンを囓って育った訳ではないので、スタートから違っているんです。そこを踏まえてやらないといけない。「フランス人になって料理を作る」なんていう若い子がいますが、それは違うと思うんです。近づくのはいい、だけどフランス人になれるわけがない。文化が違うんです。外国の方が寿司を握って、「これで日本人だ」というのが少し変なのと同じなんです。だから違うということを、作り手が意識しなければならないんです。つねにフランスをお手本に、自分の右側において勉強し続ける。そこで自分の表現が生まれてくると思うんです。今はロブション氏の下でやっているので彼のエスプリを大切にしていますが、これから仮に、何か自分が新しい挑戦を始めたとしても、「ロブション氏が見て、食べたらどう思うだろうか」という、自分の中で育ててきた判断基準を大切にしながら、やっていけたらいいなと考えています。
 
 
調理中の写真
私がフランスで修業している時、見習い時代の最初にやった事のひとつが、鳥の毛を火で炙って下処理をすること。それが炎に出逢う最初だったんです。鶏はもちろん、小鳥も野鳥も炎でフランベする。これは炎でしかできないんです。そしてこれが原点というか、料理をするときにいつも戻っていける所になっている気がするんです。食材に対する敬意というか、鶏の命を思いながら、炎で下処理をする。尊敬の気持ちを持つこと。感謝の気持ちを持つこと。炎の前に立つとそんな思いがふくらみますね。最後に、ロブション氏の哲学で「厨房は、研究室のようでなければならない」というのがあります。うちは本当にピカピカです。これは働く場所、道具を大事にするという意味もありますが、やはり料理や素材への心構えを意味すると思うんです。これも炎に通じている事と同じだと思います。これからも初心の大切さを忘れないようにしていきたいですね。
 
 
大山地鶏、天使の海老、椎茸と共に
バロティーヌ仕立てにマレンゴ風的考えで
材料
  大山地鶏モモ正肉 2枚
塩 1.2%
こしょう 適量
白ワイン 適量
椎茸プードル 大さじ2
エストラゴンジズレ 1/2パック
カレー粉 適量
天使エビ(生スジ切り) 9本
椎茸(素揚げ) 8ヶ
天使エビムース
 
天使エビ 250g
卵白 20g 塩 2g
こしょう 適量
カイエンペッパー 適量
生クリーム(38%) 80g
Sauce Marengo
  エビの頭(なければ切りガニ)20尾分 
セロリ 30g エシャロット 50g 
シャンピニオン 40g にんにく 1片
トマトコンカッセ 2ヶ分
トマトコンサントレ 小さじ1 タイム 2枚
ローリエ 1/2枚 エストラゴン 2枝 
カレー粉 適量 コニャック(XO)100g
ノワイイ プラ 100g 白ワインセック 60g 
フォン・ド・ボー 100g
フォン・ド・ボライユ 250g
生クリーム(38%)大さじ1 
水溶きくず粉 適量 バター(モンテ用)80g
卵黄のクーリ
  卵黄 5ヶ分 太白油 40g 塩 適量 
こしょう 適量 にんにくみじん切り 小さじ1 
水 小さじ1
ガルニ
  椎茸風味のメルバトースト 舞茸素揚げ 
メネギ 鶏レバー 鶏ハツ
 
作り方
 

大山地鶏のモモ肉を2枚用意し、
皮目をピケする。
足先のスジを切ってからラップにはさみ、
肉たたきで平らにのばしていく。
   

ボウルに移し、塩、こしょう、白ワイン、
椎茸プードルで味をつける。
   
皮目を下にして広げたラップに並べ、
エビのムースを絞り出していく。
   
エストラゴンのジズレを全体にまいて、
手前にスジ切りし塩、こしょう、
カレー粉で味をつけたエビ、素揚げにした
椎茸を並べ巻き込んでいく。
 
バロティーヌ状に整型したらしっかりと
しばり、さらにラップで巻き72度の
バプールで1時間15分加熱していく。
 
卵白を軽く泡立て塩、こしょうを入れ、
ラップを張った8cmの丸型セルクルに
流す。
 
イタリアンパセリをのせ、約10分 85度で
加熱し、ギャレットとする。
 
Sauce Marengo
  テフロンポワレでエビの頭を
オリーブオイルでよく炒めておく。
カレー粉を加え香りを付け、エマンセした
野菜を加えソテーしていく。
ハーブ類を加え、トマトも加え、
コンポテにしていく。
アルコール類を加え煮詰め、フォンド類も
加え約20分ミジョテしていく。
パッセしてから、少しレデュイールし、
水溶きくず粉でリエ、クレメし、
モンテして味を整え、ソースを仕上げる。
卵黄のクーリ
  卵黄にアセゾネしてから太白油で
エミュリュションしていく。スポイトに
入れて温かい所に置いておく。(50度)
ガルニ
  メルバトーストは、薄切りにしたパンを
ブールクラリフィエをくぐらせてから、
塩、こしょう、椎茸をふり、
サラマンドルで焼いていく。
舞茸は素揚げ、レバー、ハツは下味を
付けて椎茸シャプリューでパネしてから
素揚げにする。
(塩、こしょう、カレー粉)
仕上げ
  各パーツを組み合わせて盛り付ける。
 
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シャトーレストラン
ジョエル・ロブション
東京都目黒区三田1-13-1
恵比寿ガーデンプレイス内
TEL:03-5424-1338 www.robuchon.jp