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先進ガス厨房事例 千代田区立麹町小学校 給食調理室

DATA
[所在地] 東京都千代田区麹町2-8
[電話] 03-3263-7337
ランチルームを併設した給食調理室。 作る、食べる、教育が一体化した環境とは?
 千代田区立麹町小学校は平成12年に改築され、平成15年4月に新校舎となりました。新築された小学校は、幼稚園・麹町出張所・区民館と敷地を同じくする複合施設となっています。給食調理室を併設したランチルームでは、1年生から6年生まで全校児童が一同に会して給食を食べる一斉給食を導入。作る環境、食べる環境、教育的な環境が一体となった麹町小学校の給食調理現場をご紹介します。
 お話を伺ったのは、栄養士の大石明美先生(※)と調理委託先(株)メフォスの調理師さんです。

※平成19年4月より千代田区立和泉小学校勤務
1. 給食は食育の場
校庭側から見た麹町小学校
窓ガラスを多様して、太陽の日差しをいっぱいに取り込んだ明るいランチルームは4階に位置している。

 麹町小学校のランチルームは最上階の4階にあり、明るく光あふれる雰囲気で食事がとれるようになっています。
 午前中の授業が終わるのが12時35分。授業が終わると全校児童がランチルームをめざして階段を上がってきます。全員が着席をしたら口を閉じて静かに待ちます。食事前の数分間に、各学年の先生と栄養士の大石先生が持ち回りで食に関する話をします。例えば、ワールドカップの時期には、サッカーをするには身体が大切、身体を作るのは食べ物です。といったように食べることの大切さを教えたり、食事のマナーを教え、給食を食育の重要な位置づけとしてとらえています。先生のお話が終わると、みんなで一斉に「いただきます!」。12時55分から25分間が、楽しい食事の時間です。
 大石先生は「食事中に立つのはマナーに反すると指導していますし、配膳されたらすぐ食べるのではなく、まず食事の内容をよく見ること、そしてよく噛むこと。箸使いの順序など食事の基本から教えています。この地域は大使館も多くて外国の方もお見えになるのでコミュニケーションを大切にするように、といったことも教えています。」

ランチルーム
フローリングの床に木製の椅子とテーブル。376名の全校児童と先生たちが一斉にここで食事をする。子供たちはマナーが行き届いており、静かで落ち着いた雰囲気の食事風景である。
2. 併設する調理室のメリット
調理室
写真左側は、パススルーの冷蔵庫。こちらから入れた冷蔵のものをランチルームから取り出すことができる。写真右側にあるドアからは調理したものを運び出すようになっている。

 全校児童は現在376名。教職員も併せて400名の人数が同じ時間に一斉に食事をするためには、調理の仕上がりのタイミングがポイントとなってきます。調理師さんは「他の学校では食缶に入れ、配膳車で給食当番が各教室に持って行きます。そのため食事をする30分前には作り終えていなければいけませんが、ここはランチルームが併設しているため5分前に仕上げても間に合います。熱い物は熱く、冷たいものは冷たいまま提供できます。例えば小松菜の葉っぱなどはおつゆに入れて時間が経つと色が変わりますが、ここでは緑色のものを食べることができます。」
 大石先生は「調理をしているところが見えて、ライブ感があるのはいいですね。低学年の児童には給食室の現場を見学させます。保護者の試食会もします。自分たちの口に入る物は、栄養士や調理師さんたちのチームプレーによって作られているということを見せるのも教育だと思っています。」

前室 調理室に通じる通路
右側にエレベーターがあり、業者が直接、食材を搬送することができる。 通路にもセンサー付きの手洗い場を設けて、手洗いの励行に心がけている。
3. 低輻射釜で快適環境

 調理室は、延べ床面積325.6平方メートル。ドライ厨房です。熱源にはガスを使用し、5台ある回転釜は輻射熱の発生を抑えた低輻射型機器を採用しています。
 調理師さんは「今まで厨房は暑くて当たり前、という環境で働いてきましたが、ここの調理室は低輻射釜のため快適な室温で調理をすることができます。またドライ厨房のため床が水浸しにならないので、ゴム引きエプロンに長靴を身につけなくてもいいのが嬉しいですね。あれをつけると夏は暑くて大変です。」靴は下処理用、調理室用、洗浄用、普段用の4種類を用意して履き替え、使用区分を明確にして衛生には細心の注意を払っています。
 「栄養士として食の指導やレシピの開発は当然ですが、最新の調理機器を使いこなし、作業効率をよくすることも重要な仕事です。調理機器の可能性を最大限に活かしたレシピを考案するよう常に努力しています。」と大石先生。これを受けて調理師さんは「先生が作った献立を実現するのが私の仕事です。ガスコンベクションオーブンのおかげでレパートリーの幅が広がっています。一台で焼く蒸す煮るが可能ですし、一度に大量調理ができるので効率がいいですね。ランチルームに併設しているおかげで、ホテルパンや鉄板のまますぐに提供できるので作りがいがあります。」

4. 給食を超えた食空間
ラウンドシェルフ
ラウンドシェルフは、食器洗浄室とランチルームの間にあり、ふたつの空間の仕切りになっている。洗浄した食器をこの中に入れると消毒・保管でき、ランチルーム側からは消毒済みの安全で衛生的な食器を配膳セットできる。
洗浄室
写真左側のドアから下膳された食器を洗浄室の中央にある洗浄機に入れて洗浄する。

 ランチルームと調理室の間には、ラウンドシェルフ(回転式熱風消毒保管庫)と冷蔵庫が設置してあります。食べ終わった食器を食器洗浄機で洗浄した後、中に入れると、自動的に消毒・格納するという衛生的なシステム。格納された食器は、ランチルーム側から取り出して配膳セットすることができます。また冷蔵庫はパススルーになっていて、ランチルーム側から冷たい牛乳やデザートなどを取り出せるようになっています。
 調理室とランチルームの一体化の試みは、調理環境と食べる環境を固く結びつけ、子供たちの学びにも大いに影響を与えているようです。

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