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先進ガス厨房事例 東京ステーションホテル

DATA
[所在地]
東京都千代田区丸の内1-9-1
[URL]
http://www.tokyostationhotel.jp
[開設年月日]
平成24年10月3日(改装グランドオープン)
[厨房の構成]
2F:メインキッチン、宴会キッチン、洗浄室、B1F:カフェテリア厨房、B2F:検収室、下処理室、ソシエルーム、ペストリー
[1日の食数]
約1,000食(職員含む)
[料飲施設]
ホテルの延べ床面積20,800m2、客室150室、宴会場3会場:主宴会場(288m2)/小宴会場(110m2、80m2)、フランス料理、日本料理、中国料理、バー、ラウンジほか

100年の歴史で育んだ味を次の100年へ、重要文化財の建造物に誕生した安全で効率的な新しいホテル厨房。

東京ステーションホテル

2012年秋、東京駅とともに、東京ステーションホテルが新しく生まれ変わりました。国の重要文化財である赤煉瓦の駅舎や文豪が愛した客室など、東京の中心で人や街の歴史を見守り、およそ100年の伝統が息づく特別な場所で、これからの100年に向けて、ここにしかない価値あるホテルの新しい歴史が始まりました。
改装にともない、ホテル厨房も新たに計画が施されましたが、重要文化財である建物の制約の中での厨房計画は非常に困難なものでした。いかに、安全においしさを追求するか、その基本を忠実に守りながら、一方で、このホテルの味を決める「出汁」を調理するための専用厨房を実現。伝統と新しさが融合する、ここにしかない料理を生み出しています。

主な設備

厨房レイアウト
「使い勝手と衛生管理を考えたレイアウトと、働きやすさを追求した涼しい厨房環境
ソシエルーム(B2F)
ソシエルーム(B2F)
東京ステーションホテルの味の決め手となる「出汁」をとるための専用調理室。鶏ガラや肉、野菜など多くの生の食材を扱う出汁づくりを地下2階の下処理室と同じフロアに設置。2階のメインダイニングと作業を分けて独立した厨房にすることで、効率的かつ交差汚染の防止を図っている。
カフェテリア厨房(B1F)
カフェテリア厨房(B1F)
小さめの厨房でも、台付コンロ、ガスフライヤ、ガスゆで麺機など「涼厨」機器の導入で、快適な環境を実現。

1. 調理性 ─ ガスの「炎」にしか引き出せない、食材のおいしさがある!

このホテルの100年続く伝統の味を守るためには、「火を使う」ガスの調理法が欠かせません。そのため、メインキッチンやソシエルーム(出汁専用厨房)にはさまざまな種類の最新ガス調理機器が採用されています。また、料理長はメニューづくりの際、スタッフの作業分担まで考えています。効率的かつ快適に調理できるように厨房機器を配置することにより、スタッフの負担が軽くなり、おいしい料理が提供できることを目指しています。

ガスレンジならではの、微妙な火加減
1 ガスレンジならではの、微妙な火加減
フランス料理ならではの調理法は、ガスの火を使って食材のおいしさを引き出すものが多い。じっくり蒸らす料理ならば、ガスの炎が鍋底全体を包み込むため、食材への火の通りが均一になり、おいしく仕上がる。
直火で焼くおいしさ
2 直火で焼くおいしさ
炙ったり、いぶす料理は、ガスの炎が欠かせない。サラマンダーで焦げ目をつけておいしさを演出。
専用のソシエルームで、じっくり出汁をとる
2 専用のソシエルームで、じっくり出汁をとる
大切な「出汁」は生の食材からホテル内の専用厨房(ソシエルーム)でつくる。長時間の煮込みで温度や湿度が上昇しがちになるため、「涼厨」機器を採用。廃熱や輻射熱を抑えて快適に。

2. 衛生性 ─ 制約ある厨房だからこそ生まれたルールとレイアウトで、安全な厨房づくり

国の重要文化財のため、ホテルの厨房の場所や大きさなどが変更できない中で、いかに衛生管理を徹底できる厨房を実現するかが大きな課題でした。2階の宴会キッチンにすべての調理作業ができる場所をつくってしまうと危険性が高まるため、生の食材を扱う下処理室やソシエルーム(出汁用)は地下2階に設置。作業を場所で分けることで、交差汚染を防止しています。
また、衛生管理も調理工程の1つと考えるこのホテルでは、スタッフの意識向上と習慣化を、料理長自ら率先して指導しています。

スタッフの意識向上で徹底した衛生管理
4 スタッフの意識向上で徹底した衛生管理
衛生管理の最も重要なポイントの1つは「スタッフの教育」。手洗いの徹底、食材の消毒方法など、スタッフ全員の意識を高め、習慣化することで安全な料理を提供できる。野菜、肉、魚など食材ごとに容器を色分けしたり、手の届くところにアルコール消毒を用意するなど、工夫している。

3. 環境性 ─ 「涼厨」機器とキャプチャージェットで、働きやすい快適な調理環境を実現

スタッフの働く環境をよくすることは、おいしい料理を追求する「調理性」や安全な料理を提供するための「衛生性」にも、大きく影響します。どんなにすばらしいメニューでも、最終的にそれを実現するのは「人」です。今回は、建物自体に制約がある中で、「涼厨」や適切な換気の導入により、疲労が蓄積しない厨房づくりを実現しました。
さらに、機器本体が熱くならない「涼厨」や油煙の拡散を抑える「キャプチャージェット方式」は、調理機器や厨房内の「清掃性」も大きく向上。清掃時間が短くなった分、調理により時間をかけることができるため、その点でも「安全でおいしい料理」の実現につながっています。

さまざまな「涼厨」の調理機器を導入し、厨房環境を向上
5 さまざまな「涼厨」の調理機器を導入し、厨房環境を向上
メインキッチンや出汁をとるためのソシエルームなど、厨房内の環境向上のために導入した「涼厨」機器。コンパクトな厨房での調理作業や長時間の煮込み作業は湿気と温度が高くなってしまうが、「涼厨」機器により、輻射熱や排気熱が大幅に削減されるため、涼しく快適な環境を実現している。
食器洗浄機
6 食器洗浄機
狭い厨房で、うっかり触ってもヤケドしない「涼厨」の食器洗浄機。機能性とともに、コストパフォーマンスを追求。調理室内に設置して、食器や調理器具類の洗浄をその場で行っている。
キャプチャージェット換気フード
7 キャプチャージェット換気フード
換気フードから2方向(水平・垂直)に気流を出して、効率よく排気を捕集するしくみ。空調負荷を軽減しながら、快適な厨房環境を実現。油煙を効率的に捕集し、掃除の負荷も軽減できる。

ご利用者に伺いました!

ガスの「炎」にしかできない味がある。

東京ステーションホテル 総料理長 石原 雅弘氏
東京ステーションホテル
総料理長
石原 雅弘氏

ガスを選ぶ理由は、パワーももちろんですが、「火にあたることでおいしくなる」つまり「火を使う」ことが重要な料理があるからです。たとえば、仕上げに燻すような香りをつけるのは電気ではできませんし、フランス料理の弱火でじっくり蒸すような調理法もガスならではのもの。ガスの場合は鍋底だけでなく横からも火が入るので、鍋を包み込むようにふわーっと火が入り、鍋の中の食材を蒸し上げる環境がよくなるのです。

「涼厨」でスタッフの働く環境を向上。

このホテルの厨房は1日約1,000食の調理を行いますが、建築物の制限により広さに限りがあります。そんな中、調理場が涼しくなったのは大きなポイントです。疲労で集中力が保てなくなると危険性が高くなる。だからこそ、疲労の重ならない環境づくりが重要なのです。スタッフの働く環境がよくないと料理に影響が出てしまいます。「働きやすい環境」=「おいしい料理」につながっているのです。

※本ページの内容は、2012年10月現在のものです。

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