1. 最適厨房ホーム
  2. オーナーシェフに聞く「独立開業への道」
  3. 徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (2)

オーナーシェフに聞く「独立開業への道」

徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (2)

フランス料理はひとつの文化。
自分の理想のフランス料理を楽しんでいただくために、
これからも自分の価値観を高め続けたいと思います。

Part3. 資金調達の苦労、店舗物件探しの実際

身内や親戚の協力を得て、金融機関から資金を調達、
物件探しは不動産会社のネットワークと交渉力で。

──独立開業の資金は、どのように工面されたのでしょうか。

店内

花澤

私の場合は、国民生活金融公庫から融資を受けました。国民生活金融公庫の場合、無担保で借りられるのは300万円程度までで、それではとでも開業はできません。また必要な資金の半分は自己資金として持っていないと融資を受けられないのです。たとえば3000万円必要なら、1500万の自己資金が必要となる。私には自己資金がありませんでしたので、自分の料理に対する思いや、具体的な開業計画を10枚程度にまとめ、提出しました。

また自己資金の代わりに、担保や連帯保証人が必要だったのですが、これは身内や親戚に助けてもらいました。非常にありがたかったですね。店舗の保証金も家賃の10ヵ月分とかなり大きい金額でしたが、お願いしていた不動産会社に交渉していただき、2ヵ月分は下げていただくことが出来ました。

結局、店舗取得で約300万円、内装は椅子やテーブルなども入れて約2100万円、厨房が約450万円、トータルで3000万円くらいかかったと思います。先輩シェフからは「ちょっとお金をかけすぎだ」と意見されました。確かに、一般的には1坪70万円程度の開業費が、実際には90万円弱かかっていますので、先輩の指摘はそのとおりでしょう。私としては、お店を出したいという気持ちばかりが強く、あまり深く考えていなかったという反省もあります。でも、結果としては満足しています。

──店舗物件はどのように探し、どんな理由で決められたのですか。

花澤

お店のグランドオープンは2002年9月ですが、物件を探し始めたのは同じ年の初め頃からです。勤めていたお店が忙しくない時や、休憩時間を使って探しました。幸運だったのは、先輩に紹介していただいたデザイナーの方が、不動産会社と施工業者と連携してくださり、レストラン向きの良い物件をたくさん紹介してくれたことです。物件によっては飲食業が入れないビルもありますし、交渉すればフランス料理だったらOKという物件もある。やはり不動産会社の情報ネットワークと交渉力が重要なのです。

私としては、住宅街にお店を出したいと思っていました。高輪台、浜田山、代々木上原、高円寺など、実際に訪れて歩いてみました。そんな中で、自分がやりたいフランス料理に向いている環境は、東横線沿線かなと思ったのです。先輩シェフにも一緒に物件を見にいってもらい、最終的に今の目黒区五本木に決定しました。

──お客様はどんな方々が多いのでしょうか。

花澤

6割くらいが東横線や田園都市線の沿線にお住まいの方だと思います。また3〜4割がリピーターの方です。住宅街ですので、お子様連れでご来店いただけるよう個室も設けました。