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厨房談義[第13回] 自分流のガス厨房 「炎は料理人のパッションを駆り立てる」

「イレール」 シェフ
島田哲也氏

PROFILE
1964年埼玉県生まれ。23才で渡仏し、「アルページュ」(三ツ星)など主にパリで3年間修行を積む。帰国後、東京・青山の「ロ・アラ・ブッシュ」などを経て、1998年3月恵比寿にレストラン「イレール」をオープン。2003年、玉川高島屋新南館にフレンチ・レストラン「イレール・ドゥーブル」、2007年3月アトレ恵比寿にパティスリー「イレール・ボントン」,8月日本橋三越の新館地下1階に「イレール・メレ」をオープン。

フランス料理店「イレール」は恵比寿ガーデンプレイスから数分の3階。「非現実な」というイレールの店名を象徴するかのように、個性的なファサードが目立っています。ここ恵比寿店を本拠としてデパートにも出店、姉妹店やシュークリーム専門店のプロデュース、テレビや雑誌でも活躍中の「イレール」オーナーシェフ島田哲也氏にお話を伺いました。

Subject1 フランス料理を選んだきっかけ

──フランス料理を選んだきっかけは、先輩諸氏の影響が大きかったとか?

店内

島田 小学生の頃から料理が好きで、食べることも大好きでした。高校時代に音楽に夢中になり、一時はベーシストとして生計を立てようと考えた時期もありましたが、結局は料理の道に進みました。なかでもフランス料理を選んだのは、井上旭シェフや石鍋裕シェフの本に影響され、どうせ志すならフランス料理のようなすごい料理をしたい、と思ったからです。

Subject2 料理人としての原点

──フランス修行中に、感銘を受けた一皿があるそうですが。

島田哲也氏

島田 フランスでの修業先、パリの三ツ星レストラン「アルページュ」の調理場で見た「オマール海老とカブのサラダ仕立て 甘酸っぱいソース」です。20才でフランス料理を始め、23才で渡仏しましたが、最後の修業先の「アルページュ」で、この料理に出会い、フランス人の感性はすごいな、と思いましたね。私の料理人の原点とも言える一皿です。
これはオーナーシェフのアラン・パッサール氏が創作した前菜の一品で、オマール海老とカブに甘酸っぱいソースをかけたものです。さっと湯通しをした薄切りのカブをオマール海老にかぶせ、透き通ったカブからオマール海老の模様や色がピンクに透けて見える。その上には、はちみつとシェリービネガー、オリーブオイルの、ほんのりとした黄色のソースがかかり、ローズマリーのみじん切りがパラパラッと散っている。シンプルだけれど主張があり、センスがよく、美しいのです。日本人なら、たぶんカブを敷いて、その上にメインになるオマール海老をのせるでしょうね。
このソースも絶品です。シェリービネガーをシークワーサーに変えたアレンジで、私は今でもさまざまな料理に使っています。「アルページュ」での体験は、私の財産です。

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