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Bo! [ボッ]
第2回「厨房で、話そう。」 吉田勝彦 聞き手・桑名朝子
① 中国で「お母さんは家族のお医者さん」と言われているように、僕も料理お客さんを元気にしたい。
② うちのお店ではキッチンも炎も、「医食同源」に一役買っているんですよ。
中国で「お母さんは家族のお医者さん」と言われているように、僕も料理お客さんを元気にしたい。
  調理中の写真  
 
  桑名 吉田さんは医食同源をテーマにして、「吉田風中国家庭料理」を掲げるお店「jeeten(ジーテン)」を開かれたわけですが、まだ健康ブームでもなかった頃から、ヘルシー志向の中国料理店を目指されたきっかけは、何だったんでしょうか?  
吉田 僕は最初、高校を卒業して和食の職人になりたいと思って専門学校に行ったんです。包丁一本で手に職をつけるぞ、みたいなイメージで。ただ、専門学校では中華や洋食の実習も受けるんですね。それである時、夏休みの間に中華料理店へ研修に行くことになった。僕は岩手から上京してきて、暑さに慣れていなくて、かなり夏バテ気味だったんですよ。ところが、その研修先で出された中華のまかないを食べたら、すごく元気になって。その時に「中華って何かあるのかもしれない」と感じて、自分なりに本や資料を調べ始めました。
    料理の写真  
 
        
 
  桑名 その頃からずっと「医食同源」を追求し続けているんですね。香港にも修業に行かれたことがあるそうですが、いちばん影響を受けたのは、どんなことでしょうか。  
吉田 やっぱり家庭料理を知るには、家庭に入ろうと思って香港に行ったんです。お店で修業したわけではなく、香港の友達の家に転がり込んで、家庭の料理を学びました。香港に行く前は、中国の家庭でも肉料理を中心にしているのかなと想像していたんですが、実際行ってみると違っていて、精進料理のようなシンプルな料理を週に1回は食べていましたね。
特に野菜を使った料理がすごく多かった。それで僕も、日本でももっと野菜を中心にしたメニューを出して行きたいと思うようになりましたね。今では肉や魚との比率でいうと、うちの料理の8割くらいが野菜で占めています。野菜はすべて有機野菜ですし、化学調味料も一切使いません。さらに、鶏ガラスープの代わりに水を使ったりして、野菜本来の旨味を引き出すようにしています。
 
     
 
  桑名 そういう体験を元に「吉田風中国家庭料理」を育ててきたわけですね。ところで、吉田さんが料理作りで掲げている「医食同源」とはどのようなものですか?  
吉田 まずは漢方だけが「医食同源」ではないということ。漢方の目的は、病気を治すところにあるんですけど、それとは別にバランスよく食べることで健康を維持する食養生という考え方がありますよね。
僕はそこを大切に考えていて、うちの料理を食べたお客さんが、少しでも元気になって帰ってもらえればいいな、と思いながらつくっています。
    吉田さんと桑名さん  
    中国では「お母さんは家族のお医者さん」と言われていて、家族の体調がすぐれないときは、手料理を工夫します。例えば、僕が香港で体調を崩してしまった時には、温かいココナッツミルクを飲ませてもらったんです。そしたらすぐに元気になっちゃって。これはすごいな!と思いましたよ。  
 
        
 
  桑名 これとこれを食べると、こんな効能があるというようなメカニズムがわかってくると、作り手としては面白いですよね。  
吉田 そうですね。うちの常連さんなんかは、「今日は体調がすぐれないから、食べにきたよ」という方もいらっしゃるんです。
「ちょっと咳が出るから、なんか体にいい料理ない?」なんて聞かれた時は、咳止めに効果のあるゆり根を使った料理を出してあげたこともありましたね。病も気からっていいますから、効能とは別にちょっとした助言で元気になってくれればいいな、と思って。
 
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http://www.ueharaekimae.com/shop/jeeten/