TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。 田代和久 La Blanche ラ・ブランシュ オーナーシェフ
 
 
韓国を訪れる機会があった時、偶然に天日干しの一味唐辛子を見つけたんです。ツヤツヤとしたその唐辛子を、一つ摘んで食べてみると、辛いというより甘く、後からうま味が広がっていく。これまでにない味でした。その瞬間、頭に浮かんだのがトマト料理。店で使っているトマトに合うなって思ったのが最初でした。トマトを、そのまま野菜と組み合わせてみようというイメージが湧いてきたんです。トマトのフレッシュ感と酸味、そして甘み。口の中で一つ一つの野菜がしっかり味わえて、トマトの味わいが隅々に染み込んでいる。そして一味唐辛子のアクセントがピリリと効いているような。僕の頭の中ではそんな味が出来上がっていたんです。
田代さんの写真
で、実際に作ってみると、それがガスパチオになっていた。他のものとは少し違う、僕スタイルのガスパチオが生まれたんです。普通のものは、トマト、キュウリ、など食材を入れて、タバスコを入れて、オリーブオイルを混ぜて。それにパンが入ることもありますね。でも僕のはレシピではなく、こうしようという味の発想があって、その上で作っている。見た目は、野菜たっぷりのスープ。ザクザクと食べる感じのスープ。口で説明するのは難しいんですが、それが僕のガスパチオなんですよ。作り方は試行錯誤しました。最初、頭の中で決まっていた味を作るために、トマトをはじめ材料を一気にミキサーで細かくして作ったんですが、その味が出ない。爽やかな、広がりのある酸味。いわゆるトマトのうま味がないんです。その酸味こそが、味全体を引き締めているんです。トマトを媒介にしながらセロリだったり、キュウリだったり、玉葱だったりが、口の中で食感として感じられてこそ、おいしい。
 
 
トマトの写真
 
だから、食材を一度にミキサーに入れるのではなく、まず、セロリ、玉葱、ピーマンを入れ、キュウリを入れて回し、それから最後にトマトを入れて、軽く馴染ませるように混ぜ込むことで、やっと野菜の一つ一つの味わいが際立ってくる。そこに一味唐辛子で、味をつけるんです。これがベースになる。そしてもうひとつ、その日の天気や素材の様子にあわせてトマトを増やしたり減らしたり、セロリを増やしたり減らしたり、氷までも調整する。微々たることですが、これをやることで、やっと思った味が完成する。でないと決定的に違ってくるんですね。つまり、味は頭の中で決まっていても、素材の分量は決まっていないんです。そのぶん、味の確認がきわめて注意深くなる。分量が決まっていないので、安心しない。いつもドキドキしながら、意識して味を見る。それがいい勉強になる。舌が憶えるんですよ。
実はトマトは火との相性のいい野菜なんです。たとえばトマトのフォンデュなども材料とあわせ火を入れていくと、トマト自体が自然に崩れていく。味が凝縮して、酸味が強くなるんですね。ゆっくりと煮込んだジャムなんかもおいしいですね。
さっき、味は決まっているけれど分量は決まっていないというのは、火の使い方でも同じで、本に書いてあるのが正しいかどうか、確かめなければ分からない。火の力をうまく使えばもっといい方法があるかもしれない。うちの店では、すべてそういう考え方でやっています。おいしいものは本の中に書いてあるとは限らない。自分の挑戦から生まれてくるものだと思います。僕のガスパチオはその証明なんです。
 
 
ガスパチオ ナスのブレーゼ添え
ガスパチオ(8~10人分)
  トマト 180g
  A セロリ 80g キューリ 80g
     玉ネギ 10g ピーマン 45g
  B(一人前) トマト 3/4個 アサリ 2個
ナスのブレーゼ

フォン・ド・ボライユ 300cc 水 200cc
コリアンドル 10粒 エストラゴン 1本
エストラゴン(酢漬)1本 
ナス 1本(一人前)塩、胡椒、砂糖 少々
サラダオイル(揚油)フヌイユ 2本 
キューリ 1/3本 アサリ汁 30~50cc
オリーヴオイル 一味(天日干し) 
サフラン 3本
イタリアンパセリ 3枚(一人前)
エストラゴン 2枚(一人前)
 
作り方 ガスパチオ

ミキサーに氷(3個)を入れ、Aを入れる。
   

鍋の中に、水・オリーヴオイル・アサリを
入れ3分弱火を入れる。バットに取り出し、
サフランを加える。
①の中にアサリ汁を加え、ミキサーを回す。
   
②の中にトマトを加え、ミキサーを回す。
   
③の中に塩・一味を入れ味付けをする。
   
あらかじめ、氷をはり冷やしておいた
ボールに④をあける。
   
⑤の中にオリーヴオイルを入れ、味を
整える。
   
深皿にガスパチオとナスのブレーゼを
盛り付ける。
Bの付け合せをのせ、イタリアンパセリと
エストラゴンを飾り、出来上がり。
 
作り方 ナスのブレーゼ

ナスは2箇所ピケして、油で揚げる。
   

①を氷水におとし、皮をむく。
   
鍋にA(ナスの皮・コリアンドル・
エストラゴンはさらしで巻いておく)を
入れ、火にかけ塩・こしょうで味を整える。
   
鍋にナスを加え、5分、ひっくりかえして
更に5分、味を染み込ませるために、
ゆっくりと煮る。
   
冷やす。
 
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