TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
  古典的なフレンチは、当時のヌーベル(最新)。だから僕の料理も、いつも新陳代謝をしていきたい。  
    調理中の写真  
 
  大沢 高良さんは、今まで様々な場所で厨房も見てきていますよね。その中で印象に残っている厨房はありますか。
 
高良 いい意味でも悪い意味でも印象に残っている調理場は、フランスの2ッ星レストランですね。使い勝手も、レイアウトも、ものすごく悪かったんですけど、スタッフみんなが3ッ星を狙っている時期で、その厨房はとにかく勢いがありましたね。「鍋を掛けられないじゃん」と言ったら、目の前に棚をつけて鍋を掛けられるところをつくる。「ここ、オーダー通らないぜ」と言ったら、壁を抜いて窓を開けるんです。
たぶん調理場って、自分たちに与えられた環境の中で回して行くしかないんですよ。
いつもシェフが言っていたのは「おまえに与えた場所はここしかない。だからここを片付けて仕事をしろ」と。「片付ければ、まな板置けるだろう、パイ皿も置けるだろう、塩・胡椒も置けるだろう。だったら仕事ができるだろう」とよく言われましたね。つまり、自分に与えられた環境をどう工夫するか、が大切なんですよね。
    厨房の写真  
 
        
 
  大沢 確かに、いいシェフというのは自分の仕事のスペースを常にきれいにしていますよね。広い厨房が必ずしもいい厨房ではない。制限があっても、いい厨房になるということですよね。
 
高良 その努力をしている調理場が、僕は厨房としては一番いいと思います。だから、今のレカンでも棚をつけたり、フックをつけたり自分たちで工夫していますよ。オリジナルで両側から開くオーブンをつくったりもしました。厨房の中で火って中心にあるものだから、みんなが使いやすいように、ガスのコックの位置なども工夫しています。僕はガス台が自分の理想通りになっていないと仕事がしづらいんです。
    調理機材  
    ここが熱いとか、ここは冷たいとか、ガス台の癖を覚えきれた時が、一番使い勝手のいい厨房ができあがった時と言えますね。
 
   
     
 
  大沢 フランス料理って、いろんな温度帯を使うことが多いですもんね。強い火も使うけど、余熱でじっとしておく調理もあるだろうし。
 
高良 だからガスにこだわるんです。電気で沸かしているお湯は、いきなり温度が上がってくるんです。でも、ガスで沸かしている湯は、きれいに鍋の中で対流します。ガスの炎だからこそ生まれるものって、すごくいっぱいあると思います。
    調理中の写真  
        
 
  大沢 確かにそうですよね。それでは最後に、高良シェフご自身の今後の夢というか、今、求めているものをお聞かせください。  
  高良 いつも新陳代謝をしていたいですね、料理において。いま古典と呼ばれている料理は、僕のベースにあります。しかし、その古典と呼ばれる料理も当時は最先端の料理だったはずです。おそらく19世紀のレストランでも「これ、今年の春に出したから、来年もこれでいいよね」と、言ってなかったと思うんです。「今年の春は、クリームべったりだったけど、来年はもうちょっとクリームを軽くしてみよう」とか。絶対試行錯誤しているはず。いつの時代も料理は日々進化している。
だから僕も自分で考えていく料理は、いつも新陳代謝していきたいんです。去年と同じタイトルがついている料理をメニューに書いたとしても、翌年はちょっと違う表情になっていたりすることが大切かなと思いますね。
 
  大沢 今の古典は当時のヌーベル(最新)だったんですね。高良シェフのこれからのお料理も楽しみです。ありがとうございました。  
 
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