TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
  厨房で働くあなたの心に着火 プロの厨房を応援する情報誌
Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。 吉野 建 レストラン タテル ヨシノ オーナーシェフ
 
 
  日本の海の幸はフランスとは違って種類も多く、料理法も火の入れ方や扱い方が違うんですが、今日の真鯛に関して言えばほぼ同じですね。肉は熟成させると美味しくなるんですが、魚はやはり新鮮さが大切です。もちろん、絞めてすぐというわけではありませんが。
僕は、大自然の恵みをそのままお皿に盛り込む、「テロワ(大地や大自然)の料理」というコンセプトを大事にしているんです。今回で言うと、真鯛はもちろんですがソースのコキヤージュも、大西洋の海の幸が豊かに集まるブルターニュをイメージしました。
吉野さんの写真
  もう20年以上フランスに足を突っ込んで仕事をしているんですが、以前からフランスには負けているつもりはなく、ただ見聞を広げようと思って行ったんです。すると向こうでは新しいヌーベル・キュイジーヌの波が始まっていて、面白そうだからじゃあもう少し残ってみようかとなって長くなったんです。でも実はテロワという発想はフランスで思いついたのではなく、昔一度日本に戻って、小田原を訪れた時インスパイアされたんです。小田原の無農薬の野菜、早川漁港からあがる魚、清冽な水、特別な酪農法でつくった牛乳などに出逢って、大自然から届く無垢な食材の素晴らしさに驚いたんです。そこから小田原の「ステラ・マリス」が始まることになり、さらにパリの店へと続いたんです。僕の考える料理の基本は日本にあったんです。
 
 
調理中の写真
 
火の前に立って汗をかくことも仕事なんですが、本当は炎は怖いものだと思っています。油断すると料理は失敗するし素材も燃えてしまう。でもその怖さがなかったら何も始まらないと思うんです。炎も自然の一部です、注意しなければいけない。それこそ、海や土や生きているものと同じように。そんな相手を正面に見て料理をする。だから、気をつける。考える。ちゃんと向かい合う。すると、しっかり応えてくれるんです。今日の真鯛は、まずよく鉄板を焼いてから上に載せ、それから中火、弱火でじっくり焼いたんです。炎も上手に使わないと料理をダメにしますからね。
前にニューヨークの美術館でモネの睡蓮を見て、心底ほっとしたことがあったんです。癒された気持ちになったんですね。で、実際にフランスに戻って、ジヴェルニーにある彼が人生の大半を過ごし生活したその庭を見に行ったことがあるんです。そこには日本風な太鼓橋が架かっていて、それを見た瞬間に気づいたんです。近くにきっと鶏小屋があるんだろうなと。なぜなら、自然の中で暮らす時、花も必要だけれど食べるものも必ず側にあるはずですから。するとやっぱり昔はあったと言うんですね。自然の中で生きるということはそういうことなんですね。僕もそんな田舎に、自給自足的な店を作れればいいなと思っているんですよ。大地と一緒に生きて、大地からもらったものをいただく。自分で考えている「テロワの料理」をさらに理想のかたちに近づけていくのが、これからの夢の一つなんです。
 
 
真鯛のグリエ
コキヤージュのマリニエール
材料(4人分)
  真鯛 400g
ムール貝
白ワイン
ニンニク
エシャロット
  8ヶ
 適量
 適量
 適量

ジャガイモのコンフィ
  ジャガイモ
  ガチョウ脂
アサリ

大2ヶ
 適量
 12ヶ
 
バター 60g ニンニク 2ヶ エシャロット 2ヶ
ポワロー 40g タイム 少々 ローリエ 少々
白ワイン 20cc コキヤージュのジュ 60~80cc
コンスターチ 少々 フィーヌゼルブ 適量
オリーブオイル 適量 レモン汁 少々
塩、胡椒 少々 ドライトマト 1ヶ
セルフィーユ 少々 ディル 少々
イタリアンパセリ 少々
EXバージンオリーブオイル 少々
作り方
 

ムール貝は白ワイン、ニンニク、
エシャロットと共に火を入れておく。
殻を外し取り置く。
   

ジャガイモは細長い抜き型でくり抜き、ブランシールした後、ガチョウ脂でゆっくりとコンフィする。
   
鍋にバターを溶かし、アッシェしたニンニク、エシャロット、ポワローをタイム、ローリエと共にしんなりするまでいためる。
   
白ワインを入れ、コキヤージュのジュを入れて少し煮詰める。
   
コンスターチでリエし、バターでモンテする。
   
⑤のソースの中で②のジャガイモ、生のまま殻をあけたアサリ、①のムール貝をあたためる。
   
フィーヌゼルブ、オリーブオイル、レモン汁を入れ、塩、胡椒で味を整える。
   
グリエした真鯛を盛り、⑦のソースを
かける。
ドライトマト、セルフィーユ、ディル、
イタリアンパセリをかざる。
EXバージンオリーブオイルを少しかける。
   
 
 
レシピを印刷する
レストラン タテル ヨシノ 銀座
東京都中央区銀座4-8-10 PIAS GINZA 12F
TEL:03-3563-1511
www.tateruyoshino.com