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Bo! [ボッ]
第6回「厨房で、話そう。」 平井正人 聞き手・桑名朝子
① 最高の食材を探すために足を使う。僕の料理は、厨房に立つ前から始まっている。
② まずは、根本の発想から変えてみる。そんな新しい視点から、サプライズは生まれる。
最高の食材を探すために足を使う。僕の料理は、厨房に立つ前から始まっている。
  調理中の写真  
 
  桑名 「ダル・マット」という言葉には、「熱狂する」という意味があるそうですが、どんな想いからこの名前を付けられたんでしょうか。
 
平井 自分の名前が「マサト」というので、それに一番近いイタリア語の発音ということもあって選びました。
「ダル・マット」には“気が狂っちゃう”というような意味もあって、うちみたいなイタリア料理の専門店で朝4時まで営業するのはちょっとありえないことなので、“普通と違う”ということを表現したかったんです。それと、熱狂的な“食マニア”が集まるような店にしたいという想いもありました。
 
        
 
  桑名 そういう想いがあったんですね。ところで今、平井シェフを「熱狂させるもの」ってなんでしょうか?
 
平井 僕は食材が第一だと思っているので、休みを使ってあちこち食材を探しに行くんですよ。山形に行ったり、鹿児島に行ったり。実際に足を運んで、生産者の方とお話をしています。ほとんど趣味の延長線上なんですけど、それこそマニアの域に達してますよ(笑)。
    料理の写真  
 
    元々は、食べることが好きで、いろんなものを食べ歩いているうちに、食材に興味を持つようになったんです。「この地方にこんなのが出たよ」と聞けば、すぐに飛んで行きますね。ご馳走って「駆けずり回る」って書くじゃないですか。
やっぱりご馳走を提供する側の自分たちが足を使わないと、いいものは出せないと思うんです。
 
 
     
 
  桑名 では、こちらのお店ではシェフ自らが足を使って、日本各地から集めてきた珍しい食材も食べることができるんですね。
 
平井 そうですね。まだ名前もついていないような野菜を見つけてくることもあるんです。たとえば「R-129」というように、タネの番号で呼ばれている野菜を出してみたり。そんな珍しい食材を使ったお皿を出すと、お客さんは「こんな食材見たことない」って、なりますよね。その反応を見るのがまた楽しいんです。
    調理中の写真  
        
 
  桑名 なるほど。そういった食材へのこだわりが、平井シェフのベースにあるんですね。すごい人気のお店で、去年の11月には3店目の「オッジ・ダル・マット」をオープンされたわけですけど、今、世の中は大変な不況ですよね。その真っ只中に開店の準備をされて、不安を感じられたりしませんでしたか。
 
平井 逆にこういう時代になると、お客さんの価値観も変わってくると思うんです。つまり、同じ1万円でも「どう使おうか」と、きちんと考える時代になるはずです。
その時にどんなお店を選ぶかというと、まず安心な食材をちゃんと使っていること。あとは当然おいしくなくちゃいけない。それプラス、何か付加価値がないといけないわけです。
    平井さんと桑名さん  
    ダル・マットでは5千円前後のお任せコースで、ということを謳っているんですけど、「5千円でこんなにおいしいお肉が食べられるんだ」とか、「こんな新鮮なお魚が食べられるんだ」というサプライズがあれば、迷わず足を運んでくださるはずです。
うちでは、ほぼ天然の魚しか使いませんし、お肉は松坂牛、米沢牛、山形牛、信州和牛それと尾崎牛の和牛だけです。ふつうに考えると、それだけで5千円を超えてしまうんですよ。でも、うちではさらに6品食べられる。すると、同業者の方から見ると意味がわからないはずなんです。
 
 
        
 
  桑名 そうだと思います。どうなってるんだろうって思いますよね。
 
平井 あまり儲けないようにすれば、自然とお客さんは増えてきます。そのためにも僕は、生産者のところに足を運ぶんです。
直接会って、話をして、想いを伝えて、直接仕入れるようにすれば、不可能なことが可能になってきます。そんな時に、消費量と仕入れ値のバランスから考えて、3店舗あったほうが有利なこともありますよね。
桑名 平井シェフの食材へのこだわりは、経営の部分にも良い影響を与えていたんですね。
 
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  「ダル・マットグループ」の詳細はこちら
  www.dal-matto.com