TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
  厨房で働くあなたの心に着火 プロの厨房を応援する情報誌
Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。 上柿元 勝 カミーユ 料理人
 
 
  長崎の土地と語り合い、長崎の素材を大切に使い、長崎の自然に対して「ありがとう」と感謝しながら旨い料理を作る。これが長崎に根を下ろした私のやり方です。私は料理人という肩書きにこだわっています。料理の料は食材、理は理論、つまり素材を工夫し、火を入れ熱を加えていく、そのことを司る人、だから料理人なんです。
今日のホワイトアスパラは、長崎の諫早のものを使いました。ここのものは、一般的な土盛りで育てたのではなく、普通のグリーンアスパラと同じように栽培しながら、遮光して育てたもの。丸々と太くつややかです。
上柿元さんの写真
  それに自分の目で炎を調節しながら、グリヤードで軽く焼き目をつけ、さらに剥いたアスパラの皮に水とレモンを加え、漉したもののブイヨンに入れ火を通す。同じ太さのものを5〜6本たこ糸で結んで、茎の方から立てて鍋に入れ2分くらいで横に倒して全体に火を通すんです。皮から出たダシなのでアスパラの味わいがもう一度アスパラ自身に戻るんですね。二つの調理法をミックスさせているんです。こうすることでグリーンアスパラにはないシャッキリ感の中で味が広がり、ふくよかな香りが立ち上がっていく。食感、味わい、香りのベストを考えた方法なんです。手間をかけているようですが、これは、素材に対する礼儀だと思うんです。素材をいちばんおいしい状態に仕上げることは、自然の生命を頂くことへの感謝の気持ちなんです。
 
 
調理中の写真
 
私はいつも、炎を見て料理をしているんです。このアスパラにしても火が通ったかどうかナイフを入れてみるんです。硬かったらスッと入っていかない。その時、自分の気持ちもナイフと一緒に入っていくんです。体が覚えている感覚ですが、その入り方を感じながら炎を調節するんです。
大切なのは「火を使う」ということだと思います。これは火力の調節だけのことじゃないんです。仕事の段取りのことなんです。きちんと下準備をし、出来上がりを想像してそれを逆まわしして手順を考えておく。こうすればスムーズに作業ができるし、無駄がない。だからキッチンもエプロンも汚れない。当然、素材の性質から炎の強弱、鍋の熱さ、熱の伝わり方、すべて知っていなければいけないんです。気配りをして「料理をすること」それが「火を使う」ということだと思うんですよ。
料理は物語にたとえられると思うんです。スポットライトを浴びるのは主役なんですが、いい脇役がいれば舞台に花が咲く。脇役を味のある役者が固めれば、必ず成功します。主役だけでは物語にはならないですよね。今日のアスパラがそうなんです。しっかりと演技力のある調理をした上で、3本を美しく盛り付けスズキを迎える。そして太陽の恵みの赤いトマトを添える。あとは拍手が待っています。こういうことも一例ですが、料理にはおいしくするためのルールがあると思います。そのルールは、素材選びから調理そして盛り付けまで、どうすれば素材たちが喜ぶか、お客様が喜ぶかを考え続けることで学べると思います。でも39年やっていますが、まだ全ては分からないんです。だから毎日勉強です。机の上じゃなく、キッチンに立って「火を使い、目で炎を見て」勉強しています。素晴らしい料理人だね、と呼ばれるためにやり続けようと思います。
 
 
佐世保産のスズキのポワレ
トマトのコンフィ
長崎県産のホワイトアスパラの
グリエ添え
アンチョビ風味のバターソース
材料(4人分)
  スズキ切身(皮付) 75g×4枚
ホワイトアスパラガス12本(穂先:約7cm)
フォン・ド・ヴォライユ 300cc 
タイム 1本 トマトコンフィ 4個
ソース ブール・ダンショワ 120cc
ソース ヴェール 40cc
アンチョビのチュイール 4枚
バター 適量 プティサラダ 適量
セルフィユ 適量 
バルサミコ酢(マイユ) 適量
クルミ油 適量 塩、胡椒 適量
トマトコンフィ(4個分)
  トマト 2個 タイム 適量 ローリエ 適量
ニンニク 適量 キビ砂糖 適量 
オリーブ油 適量 塩、胡椒 適量
ソース ブール・ダンショワ
  エシャロット(エマンセ) 20g
フュメ・ド・ポワソン 120cc
ブール・ダンショワ 35g バター(無塩) 80g
生クリーム(47%) 20cc レモン汁 少量
シブレット(シズレ) 適量 塩、胡椒 適量
ブール・ダンショワ
  バター(無塩) 200g
アンチョビ 50g(タミでパッセする)
レモン汁 少量 胡椒 少量
ソース ヴェール(20人分)
  パセリの葉 12g 小松菜 12g
ニンニク(エマンセ) 1/4ヶ分
バター 40g フォン・ド・ヴォライユ 160cc
塩、胡椒 適量
アンチョビのチュイール(20枚)
  アンチョビ 25g(タミでパッセ)
バター 25g 卵白 1/4ヶ レモン汁 10cc
水 約25cc 薄力粉 50g
作り方
 

トマトコンフィを作る。
トマトをエモンデし、横半分に切り、
種を取る。
塩、胡椒、キビ砂糖をまぶし
一晩乾燥させ、タイム、ニンニク、
ローリエをのせ、オリーブ油をかけ、
60℃のオーブンで半日乾燥させる。
   

ブール・ダンショワ
(アンチョビ・ソース)を作る。
エマンセしたエシャロットを
バターでスゥエする。
フュメ・ド・ポワソンを加え、
半量まで煮詰め、生クリームを加える。
無塩バターとブール・ダンショワで
モンテし、塩、胡椒、レモン汁で
味付けし、シブレットを加える。
   
アスパラガスはきれいに掃除し、
塩をしてグリエする。
この後、タイム入りのブイヨンで温める。
   
スズキの切身に塩をし、皮目から焼く。
焼き色を付け、ひっくり返す。
最後にバターを加え、アロゼする。
   
スズキを盛り、アスパラガスの間、
3点にソースヴェールを流し、
手前にソース ブール・ダンショワを流す。
   
ブール・ダンショワ(アンチョビ・バター)
  ポマード状にしたバターにアンチョビピュレを
入れ、レモン汁と胡椒で味を調える。
ソースヴェール
  分量のフォン・ド・ヴォライユを半分に
煮詰める。材料全てを生のままミキサーに入れ
熱い状態の①を加え細かくなるまでまわす。
シノワでパッセし、塩、胡椒で味を調える。
アンチョビのチュイール
  全ての材料を混ぜ合わせる。魚型にナッペし、
150℃で焼き上げる。
 
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カミーユ
長崎市茂里町1-55 みらい長崎ココウォーク1F
TEL:095-801-5327 FAX:095-801-5328