TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
第7回「厨房で、話そう。」 鯰江真仁 聞き手・桑名朝子
① ワインに合う中華を極めるために、
フレンチのような繊細な炎も使いこなしたい。
② 「僕の料理が食べたいから来た」ではなく、「僕に会いたくて来た」と、言われる料理人になりたい。
ワインに合う中華を極めるために、フレンチのような繊細な炎も使いこなしたい。
  調理中の写真  
 
  桑名 こちらのお店は厨房がカウンターで囲まれていて、さらにステージのようにライティングされていて、見ているだけでワクワクできますよね。  
鯰江 最初にお店をつくるときに、あまり中国料理店らしさを表に出さないようにしたかったんです。なるべく漢字を使わないとか、赤と黒の色使いをしないとか。
僕は昔から中国料理をやってきてますけど、中国料理店には女性一人で入りにくかったり、カップルではたくさん食べられないという印象を持たれていると思っているので、まずはその辺の常識を変えたかったんです。そうすれば、記念日にも足を運んでいただけますよね。
 
        
 
  桑名 まさにそういう雰囲気のお店ですよね。イメージどおりのお店にするために、他にこだわった点はありますか。  
鯰江 オープンキッチンというのもひとつのこだわりです。お客さんの顔を見て料理してた方がおもしろいんですよ。お客さんが喜んでいる時はもちろんですけど、あまり気に入ってないときに、ダイレクトに伝わってきます。ホールの人に反応を聞くのではなく、自分の目で確かめたほうがわかりやすいですし。カウンターなら直接会話も交わせるので「この前あれ食べたから、今日はこうしましょう」というコミュニケーションも楽しめますからね。
    厨房の写真  
        
 
  桑名 カウンターのスタイルも中国料理店ではあまり見かけませんが、鯰江シェフはどのようなところから、新しい発想が浮かんでくるのでしょうか。  
鯰江 僕は食べることが好きなので、休みの日には良く食べ歩いたりします。ただ、中華ではなくフレンチや和食が多いですね。やっぱりそういうところにヒントがあると思いますよ。フレンチはサービスひとつにしても、パーフェクトですよね。
たとえば料理を出す時に、中華はひとつのお皿にまとめて出しますが、フレンチは一人ひとりに合わせて、ポーションで出してくる。うちでもそういうサービスの部分を厚くしたくて、必ず取り分けて出すようにしていますね。中華でも、フレンチでも、和食でも言えることですが、本当に新しい料理って、そうないと思うんです。
だからいろんなジャンルの料理店に実際に足を運んでみて、そこにあるエッセンスを採り入れて、自分なりのアレンジを加えてみるのも大切かなと。真似のうまい人って、料理もうまいんですよ。やっぱり、「中華はこうじゃなきゃダメだ」って、決めつけていては新しいものは生まれませんしね。
    料理の写真  
 
    たとえば、いま流行っているラーメン屋さんは、中華の常識にとらわれていませんよね。だから、ダシにいろんなものを使ってみて、その結果おいしいラーメンができてくる。そういう自由な感覚って、大切にしたいですよね。いまでは、中国料理でハモを使う人もいる。逆に和食でフカヒレを使う人もいる。料理はクリエイティブなもので、本当にライブなんだろうなって感じますし、毎回違うからこそ、また足を運んでいただけると思うんです。  
   
     
 
  桑名 なるほど。そんな視点から生まれた鯰江さんの料理を見ていても、新しい感覚が採り入れられている感じがしますが、炎の使い方なども工夫されていますか。  
鯰江 そうですね。中国料理って、やっぱり火の料理だから強い火は欠かせません。ただ先ほどの話とつながることですけど、僕の場合、フレンチのような炎の使い方をすることもあるんですよ。
たとえば、鶏モモを茹でる場合、沸騰しているお湯で一気に茹でるんじゃなくて、沸騰したらいったん火を消して、その中に1時間ぐらい置いたりします。そうすると、同じ素材でもぜんぜん火の入り方が違ってきます。ワインに合う中華をつくろうとすれば、炎の使い方も自然と変わってくるんですよね。
    鍋と炎  
    ガスの場合、その辺の調節が自分の感覚に合わせて、自在にできるのがいいですね。世の中、どんどん便利な方に向かっていますけど、一方で自分の感覚というものが、
大事になってきていると思うんです。
 
 
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