TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
  厨房で働くあなたの心に着火 プロの厨房を応援する情報誌
Bo! [ボッ]
  「僕の料理が食べたいから来た」ではなく、「僕に会いたくて来た」と、言われる料理人になりたい。  
    鯰江さんの写真  
 
  桑名 こちらの厨房では、若い料理人の方もたくさん働いていますが、彼らにいちばん伝えたいのはどんなことですか?  
鯰江 僕の目指すところでもあるんですが、彼らに極めてほしいのは、「料理だけじゃない」ということですね。お店に足を運んでくださるお客さまも、料理だけが目的ではないはずなんです。「あの人の料理を食べに行くんじゃなくて、あの人に会いに行くんです」と言われるような料理人になって欲しい。僕がよく食べに行く和食店があるんですけど、そこのご主人は、もうオーラが違うんですよ。会話もそうですが、持っている空気感だったり、間だったり、料理を出すタイミングにしても絶妙ですね。料理人の域を超えているんですよ。一度でファンになっちゃう。
結局、みんなその人に会いに来ているんじゃないかなって思うわけです。やっぱり、人間的な部分を磨いていけば、料理の味は自然とついてくるものなんですよね。だから僕も、視野を広く持って、いつも自分を磨いていたいなと思ってます。
 
    調理中の写真  
 
       
 
  桑名 そういった視点で、人間性を磨きながらサービスの充実した新しい中国料理店を目指していらっしゃったんですね。  
鯰江 そうですね。サービスはもっと厚くしていきたいですね。たとえばうちでは「2時間で帰れ」とか絶対に言いません。接待で来てくださる場合、みなさん忙しい方ばかりですから、あとから遅れて来る方もいるじゃないですか。そうすると6時スタートで予約したのに、全員が揃うのが7時になることもありますよね。そんな時でも、時間を気にせず楽しんでいただけるようにしたいんです。そういう思いとか、心遣いは、絶対にお客さまに伝わると思うんですよね。やっぱり僕らの仕事はサービス業ですから、料理人は「職人」ではなく「商売人」にならなきゃダメなんです。
今では、お客さまの我がままを極力聞いてあげられるようになりたいと思うようになりましたよ。でも、若い時はわからないんです。料理ばっかり追いかけているから。今になるとようやく分かってくるんです。本当に大事なことって、料理以外にもいっぱいあるということが。
 
     
 
  桑名 そういったサービスの心が、お店の人気にも結びついているんですね。この厳しい時代に、人気を維持していくための経営的な秘訣はありますか。  
鯰江 それもやはりお客さまの視点で考えることが大事かなと思うんです。うちでは最初に「原価率を何%にしよう」と決めることはありません。そんなことは気にせずに、まずメニューを考えてしまうんです。今の時代、ちょっとでも素材を削れば、お客さまはすぐに気づきますからね。
経営的な部分と言うより、大切なのはとても単純なことなのかもしれません。たとえば、うちでは1,800円でランチを出していますが、まず自分で1,800円払っても食べたい内容かどうか考えます。もし、自分で納得できなければ、お客さんは絶対に注文してくれませんから。
    鯰江さんと桑名さん  
       
 
  桑名 なるほど。常にお客さまの視点に立って考えているんですね。そんな鯰江さんの今後の夢を聞かせていただけますか。  
  鯰江 最終的には、海外へ行ってやってみたいという夢はありますね。今だったらフランスで、僕のスタイルが通用するか試してみたいです。ニューヨークじゃなくてフランス。食通の多いパリなら、うちみたいな感覚の新しい中華はウケるんじゃないかなと思って。  
  桑名 そうですね。ネオ・チャイニーズって感じですよね。  
  鯰江 夢はでっかく(笑)。まだまだ無理だと思いますけど、機会があれば挑戦してみたいです。「ワインに合う中国料理」というコンセプトで。  
  桑名 なるほど。これからのご活躍も期待しています。今日は楽しいお話をたくさん聞かせていただいて、ありがとうございました。  
 
  前の記事を読む