TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。 日高 良実 リストランテ アクアパッツア オーナーシェフ
 
 
  22年前に、アクアパッツア「狂った水」という料理が、南イタリアの方にあると薦められて食べに行こうと思ったんです。そこで初めて出逢ったのが「カサゴ」のアクアパッツア。この料理は元々、カサゴやアイナメなどの根魚を釣っていた漁師さんのまかない料理で、調味料もオリーブオイルやトマト、バジル、胡椒くらい。それなのにものすごく美味しい料理になっている。それが最初でした。そして味はもちろん、料理の美しさにも惚れたんです。
僕がこの料理にために修業したのは、ナポリの裏側のソレント半島近くにある、サンタアガタ・スル・ドゥエ・ゴルフィ(二つの湾に囲まれた街)という長い名前の所で、街の人にいろいろ聞いてみると、街の近くにネラーノという漁村があって、昔そこの漁師さんが作ったのが最初だと言うんです。その村の漁師さんは、沿岸で漁をしている人ばかりで、実際カサゴがよく獲れるんです。根魚は遠くに移動することなく、いわば獲れた所の「海」を食べて育った魚、だから海そのものの味がするんですよ。漁師さんは美味しいものを知ってるんですよね。
日高良実さんの写真
  実は僕は長い間イタリア料理のイメージを探し続けて、北イタリアを回っていたんです。でも肉もチーズもハムもイタリアらしいんですが、どこか満足できない。どれもどこか必ずフランスの影響を受けていて境目がわからない。それならフランス料理をやっていた方がいいんです。そんな時、仕事をしていた二つ星、三つ星の店の何人かのオーナーシェフ達に相談すると、「地方料理を見た方がいいね」、とアドバイスされたんです。そして、お話ししたように南イタリアで「カサゴ」のアクアパッツアに出逢ったんです。
東京の広尾には’90年に店を出しました。そして僕なりに工夫をして、美味しさを追求しました。いま日本で食べられるアクアパッツアのお手本になっているのではないかと思います。たとえば、イタリア人は魚の皮の旨味はあまり重視しないんです。だからカサゴをサッと炙るくらいで煮ていく。すると煮くずれてしまう。そこでうちの店ではまず皮を香ばしく、ゆっくりと焼くことにしたんです。皮の味わいも良くなるし、スープに香ばしさが移るんです。もちろん身もしっかりする。次に、海の水を使わないのでアサリを使いました。蛤や大アサリ、ムール貝など他の貝だと味が立ちすぎて、魚の味よりも強くなってしまうんです。アサリにすることで海の味わいと言うか、海の旨味を感じてもらえると思うんです。そして、トマトも、フレッシュだと煮くずれるのでセミドライにしてから使いました。そうすることでトマトの風味だけ上手く出せて煮くずれず、酸味に加え甘味が活かせるんです。
そんな風に、カサゴの味がストレートに出るアクアパッツアを、より美味しく楽しむためにいろいろ考えたのがこの方法なんです。
 
 
調理中の写真
 
僕は炎を使って料理することで、仕事をしている「料理感」がとても強くなると思っているんです。ストーブの前で炎を感じて鍋を持つと、音楽を演奏しているドラマーのように、料理に自然とハートが入っていくんですよ。そしてプラスアルファなんですが、香りが違ってくるんです。ガスの炎はフライパンの周りに炎が回り込み、素材やスープの表面を炙り料理の香ばしさが生まれてくる。これはアクアパッツアにとって、大切な要素なんです。そんな一つ一つを作りながら体験できる炎は、「料理を作っている」というライブ感を生んでくれるんです。
イタリアは、地産地消の国。その土地で、その季節に獲れるものを、自然のままサッと料理していただく、そんな知恵にあふれています。気取らず、美味しいものを、そのままに。これからも、それが僕の料理の基本なんです。
 
 
元祖 アクアパッツア
材料(2人分)
  鮮魚(小さめの魚なら100g位のもの)
2匹(切り身でも良い)
プチトマト 12ヶ
ニンニク 小1~2ケ
バジリコ 適量
EXVオリーブオイル 適量
塩、胡椒 適量
下準備
  プチトマトはヘタを取り、ニンニクは
潰しておく。
 
作り方
 

魚と内臓とうろこを取り除いて
水洗いし、よく水気を切る。
   

魚に塩、胡椒をふる。
鍋にオリーブオイルとニンニクを入れ、
弱火でゆっくり炒め、香りが出たら
魚を入れてさっと表面を焼く。
   
ひたひたの水を加え、
プチトマトを入れて強火にかけ、
魚に火を通す。
   
③にEXVオリーブオイルを入れて沸騰させ、
仕上げにバジリコをふる。
 
 
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