TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
第7回「厨房で、話そう。」 佐藤真仁 聞き手・小池朝子
① 料理だけじゃない。僕がつくっているのは、お客さまが本当に「楽しい」と思える時間だ。
② そこに大地があるように。空気があるように。僕にとって炎は、「絶対」と呼べる存在です。
料理だけじゃない。僕がつくっているのは、お客さまが本当に「楽しい」と思える時間だ。
  調理中の写真  
 
  小池 「食幹」さんの厨房は、グルッとカウンターで囲まれていて、すごく特徴的ですが、まずはこちらのお店のコンセプトを聞かせていただけますか。  
佐藤 うちのコンセプトは、「楽しく和食を食べよう」ということなんです。「エンジョイ和食」を実現するために、必要なものを集めていきました。
たとえば、渋谷駅を降りて坂を登ってくる。初めての方なら、「ほんとにこの先にお店があるのだろうか」と不安になる。目の前まで来てみると「もしかして、この小さい入口がそうなの?」と思って階段を降りてくる。そこまで来ても、まだもう一枚ドアがある。で、そのドアの先のエントランスを抜けて、一歩足を踏み入れると厨房を囲むようなカウンター席と、その先に大きな手書きの看板があるわけです。
 
        
 
  小池 渋谷駅を降りたところからもう、お客さまを楽しませるための仕掛けが始まっているんですね。  
佐藤 そうですね。やっぱり、その辺をイメージしましたね。自分だったら、どうやって行きたいかなとか。カウンターに座るまでのアプローチはこんな感じがいいなとか。ふつうのお店はドアを開けたら、もう目の前にカウンターがあって、いきなり「いらっしゃい!」っていうイメージですけど、そうじゃなくて、もっともっと丁寧にカウンターを置いているような感じを表現したかったんです。もし自分がお客さんだったら「これぐらいしてよ」っていうふうに、置き換えて考えましたね。
    厨房の写真  
        
 
  小池 なるほど。その演出がドキドキ感や、ワクワク感を生んでいるんですね。それと、広さにしてもこちらは全部で50席もある大箱ですよね。そこにも何かこだわりがあったんでしょうか。  
佐藤 僕はパブリックな空間がすごく好きなんです。だから、僕だけの小さな空間のお店というよりは、みんなが共有できる空間づくりをしてみたかったんです。他のお店と同じことをやっても仕方ないので、僕だからできることを考えました。
たとえば、日本料理のお店に食べに行って、どこでバリューを感じるかというと人それぞれだと思うんです。僕の場合、2万円、3万円払って料亭に行っても、緊張しっぱなしなんですよ。逆に居酒屋さんほど騒がしければ、大切な話をする雰囲気にもなれないですよね。
    佐藤さんと小池さん  
 
    だから僕は、その間を取ったお店が、ちょうどいいのかなと思ったわけです。ある程度の緊張感は、もちろん必要なんですけど、でもやっぱりそれは途中で、ほぐしてあげないといけないのかなって。どんなに究極だろうと、三ツ星がついていようと、その人を惹きつける何かがないといけませんよね。やっぱり純粋に「楽しい」ってことには、かなわないと思うんです。  
   
     
 
  小池 なるほど。そういう想いがあったんですね。そんな「エンジョイ和食」を実現するために、厨房のハード面でこだわったことはありますか。  
佐藤 うちでは料理人がサービスもします。お酒を運んだり、料理を出したり。ホールは2人しかいませんしね。だから、まずは僕らの動きを邪魔しない配置を考えました。
お客さんが座る目の前には、板場や盛り付け場を置いて、2列目のアイランドに水場や火口を据えてあります。火を入れた熱々のものは、1列目の料理人に渡せば、すぐにお客さんの目の前で盛りつけて、そのまま出せるんです。
やっぱり、厨房の真ん中に火口があるっていうのは、とても自然なことだと思いますね。うちの厨房は演出ありきではなく、機能を突き詰めていったカタチなんですよ。
    厨房の写真  
 
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