TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。茂出木 浩司 たいめいけん 三代目 オーナーシェフ 「涼厨(r)」ガスフライヤ
 
 
うちは、昔からの洋食屋です。洋食というのは、フランス料理でもなく、イタリア料理でもない。もちろん和食でもないんですが、れっきとした日本人が生み出した、日本の料理なんですよ。その定義はというと、ただひとつ「ごはん」に合うかどうかなんですね。「ごはん」のおかずとして、美味しく食べられるしっかりした味わいの、ちょっとおしゃれなメイン料理、それが洋食だと思うんです。そしてその洋食の定番メニューと言えるのがポテトコロッケなんです。と言う訳でうちでポテトコロッケを作る時は、街のお肉屋さんで売っているような、素朴なホクホクした素材感のあるものではなく、洋食屋のメニューに相応しい、あえてホワイトソースのクリーミーさを追求した、滑らかな味わいを目指しているんです。ちょっとおすまししてますけれど、ごはんと一緒に食べるのが、一番美味しい。そして一人一皿が基本。みんなで分け合って食べるようなものではないんです。この辺がいわゆる洋食。グラタンだってエビフライだって、2〜3人で分けたりしませんよね。今風じゃないですが、どこか正統な感じがありますよね。
茂出木 浩司さんの写真
ポテトは、時間をかけて茹でるのが大切なんです。電子レンジでもいいですが、やはり水と牛乳でゆっくりと40~50分かけて茹で、皮が剥けかかった時に出してそのまま潰す。そうすると「旨さ」と「甘さ」が引き立つんです。
使っているのは「男爵薯(だんしゃくいも)」。メークインはポテトサラダに使うんです。実はポテトは、洋食屋にとって欠かせない食材なんです。焼いて、揚げて、蒸かしてと、いろいろと使えるんです。でもサラダなど脇役が多く主役になれるのは、コロッケなどわずか。そのポテトを裏ごしして、ひと工夫。バター、ワイン、ローリエ、ナツメグ、生クリームを加え、パン粉をつけて揚げるんです。今回は中がクリーミーなぶん、衣のサクサク感を強調するために粗めの粉を使いました。口当たりはサクッとして中はクリーミー。口の中でのコントラストがあるのも面白いなと思いました。また細かなパン粉を使って揚げると、全体が柔らかく仕上がり、ソフトな食感になります。このあたりは好みですけれどね。
ポテトコロッケ料理の中では、この「揚げ」が一番難しいと思います。昔は大きなフライパンを使い、お客様の注文にあわせて、コロッケ、牡蠣フライなどどんどん素材を入れ、油を足し、火加減を調整しながら揚げていたんです。専門の職人がいて、それぞれ火の通り方を憶えていて揚げ時を考えてやっていたんです。もちろんすべて見た目の感覚。油と炎の様子で温度を知るんです。フライパンの前は、炎と熱い油でかなりの暑さなんです。汗もかきますし、そりゃあ疲れますよ。そして少しでも油断すると、すぐ「揚げ物」がパンクする。難しいんです。もちろん油にも拘りますしね。ラードとサラダオイル、パーム油などいろいろと工夫しました。これは企業秘密です。
 
 
調理中の写真
 
でも今日使った「涼厨®(すずちゅう)」ガスフライヤにはビックリでした。まず火が点いているかどうかわからないほど熱くない。これは印象的ですね。とても快適なんです、厨房が。昔なら室温が60〜70℃になっていたんですよ。だから夏は厳しかったですね。あと、油の温度管理が簡単なんで調理がやりやすくなりましたね。以前は、お客様が座るスペースをまず快適に気持ち良くすることを考え、調理場は後回しという発想だったんですが、やはり仕事場の環境は大切ですよね。しかし、いくら熱くなく暑くなく、快適になって便利になっても「揚げ物」は難しいです。機械で「揚がる」わけではないんです。ポテトコロッケも分厚いメンチカツも牡蠣フライも、自分の勘と経験で「揚げる」んです。基本は自分がどこまで料理に向かい合うかということですね。僕は、個人的には少しぐらい暑くても大丈夫なんです。料理しながら、ガスの炎と一緒に燃える感じが好きなんですよ。きっと職人ってそうだと思いますよ。いいものは取り入れますが、志を持って取り組むこと、それが僕の料理哲学です。
 
 
ポテトコロッケ
材料(12個分)
  じゃがいも 中4個
たまねぎ(みじん切り) 1/2個
牛ひき肉 160g
白ワイン 大さじ2
生クリーム 大さじ4
ローリエ 1枚
ナツメグ 少々
バター 大さじ1
サラダ油 大さじ1
塩、こしょう 適量
小麦粉/溶き卵
パン粉/揚げ油
各適宜
種入りマスタード(マイユ) 適量
トマトケチャップ 適量
ウスターソース 適量
 (トマトケチャップと同量)
 
作り方
 

じゃがいもは皮つきのまま、
水と牛乳(分量外)を半々にしたもので
ひたひたになるようにしてゆでる。
熱いうちに皮をむき大きめに切る。
   

①のじゃがいもを熱いうちに裏ごしする。
裏ごししたじゃがいもはすぐに
ぬれぶきんをかけて乾燥しないように
しておく。
   
フライパンにバター、サラダ油を溶かして
強火でたまねぎとローリエを炒める。
たまねぎが透き通ってきたら
牛ひき肉を加え、肉が色づくまで炒める。
   
③をキッチンペーパーの上に取って
肉から出た脂を捨てる。
フライパンに肉を戻して白ワインを入れ、
強火で煮詰める。
 
別鍋で裏ごししたじゃがいもを弱火で
軽く炒めて水気を飛ばし、ローリエを
取り出した④の肉を加えて混ぜ合わせる。
生クリームを加えてなめらかにのばす。
塩、こしょう、ナツメグで調味する。
 
たねをバットに敷き、表面にバターを
塗って冷ます。
 
⑥を12等分し、手にサラダ油をつけて
小判型に形づくり、小麦粉、溶き卵、
パン粉の順でつける。
 
衣をつけたらすぐ、約170度の
油で揚げる。表面がきつね色になったら
引き上げる。
 
種入りマスタードとトマトケチャップ、
ウスターソースをまぜ、ソースとする。
 
 
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たいめいけん
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