TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
第10回「厨房で、話そう。」 古田 崇 聞き手 小池由佳
① 扉を開いたその瞬間に、神楽坂で宝物を見つけたような感動を与えたい。
② でき上がった料理だけを味わってもらうより、でき上がるまでの過程も味わってもらいたい。
扉を開いたその瞬間に、神楽坂で宝物をみつけたような感動を与えたい。
  調理中の写真  
 
  小池 こちらのお店は神楽坂の裏路地にあって、看板もない一軒家ですよね。私も最初は、目の前まで来ても本当にお店なの?という印象を受けました。でも、入り口の扉を開くと、すべてが見渡せるようになっていますよね。お客さんの笑顔はもちろん、客席と一体になったオープンキッチンまで。すごく感動したのを覚えているのですが、どんな想いからこういうつくりにしたのでしょうか。  
古田 神楽坂で宝物を見つけていただいたような感動を与えたかったので、あえて裏路地の一軒家で看板を出さずにやらせていただいてます。
もともと店づくりのイメージにあったのは「ホームパーティ」なんです。ドアを開いた瞬間に、家に帰ってきたようなアットホームな雰囲気が広がる店にしたいというのがコンセプトです。神楽坂という土地柄、敷居が高い印象をもたれて来ると思うので、扉を開いた瞬間に「よかった、ここに入ってきて!」って思えるような空気をつくり出したくて、いろいろ工夫を重ねました。そのひとつが、客席と一体になれるオープンキッチンなんです。
    厨房の写真  
 
        
 
  小池 オープンキッチンというか、「In the kitchen」という感じですよね。お客さんの方が、キッチンに入って来てしまったようなイメージがあります。  
  古田 コンセプトは「ホームパーティ」なので、うちでは料理をつくる側とお客さんに境界線はないんです。料理担当もホールもなく、スタッフ全員が何でもできるところを見せたかったのもありますね。
さっきまでパスタをつくっていた人が、次の瞬間には接客にまわっていることもふつうにあるわけです。そうすれば、好き嫌いも直接スタッフに伝えやすいですよね。
 
 
        
 
  小池 やはり一体感がすごいですよね。今までにない感じがします。ただ、これだけオープンに見せる時に、何かご苦労はありませんでしたか?  
古田 お客さんからすべて見えてしまうので、特に水回りにはこだわりました。シンクを2つ作って洗い物が貯まらないように注意しています。それと、フライヤ、ストーブ、鉄板などの機器類をコンパクトに並べて、手際よく料理できるように工夫しました。あとは、客席に匂いが流れないように、ダクトの構造にも気を使っているんです。
初めは僕も手探り状態だったので、いろんなお店を見に行って密かに研究しましたよ(笑)。
 
     
    畑の写真  
  小池 お店づくりも印象的ですが、屋上で採れた野菜を料理して提供するスタイルもユニークですよね。それは、どのような想いから始めたのでしょうか。  
古田 とにかく安全で安心なものを、自分たちの手でつくりたいという想いがあったんです。生産者と料理人を一本で繋いでしまおうと。僕は『ARBOL』の他に『黒ぶたや古田商店』という居酒屋をやっているのですが、そこでも素材にこだわって、豚を一頭買いしているんです。ただ、それが目には見えない分、なかなかお客さまには伝わりにくい。
    談笑する古田さんと東京ガス小池の写真  
    だから2店舗目となる『ARBOL』では、自分たちで野菜をつくっていることを見えるようにしようと思ったわけです。いまでは、お店で出すかなりの野菜を自分たちの畑で採れるようになっています。たとえば、メインのバーニャカウダの素材は、半分くらいがこの店の屋上で採れた野菜なんです。  
 
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