TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
  厨房で働くあなたの心に着火 プロの厨房を応援する情報誌
Bo! [ボッ]
  炎は、私のハートのあたたかさ。フライパンは、私の手のひらのようなものなんです。  
    五十嵐さんが調理中の写真  
 
  小池 厨房で毎日「炎」と向き合っていらっしゃるわけですが、五十嵐さんは「炎」とどのような関係でありたいと思っていますか。  
五十嵐 私は炎を弱めたり、強めたりという作業をすごく細かくやっていますね。たとえば鍋を振りすぎると疲れてしまうので、そのときには炎でコントロールするようにしています。若干、鍋を振るスピードが落ちてきたなと思ったら、ほんのちょっとだけ炎のトーンを下げたりするんです。自分の体力とか体調に合わせて炎で調整する。
だから私にとって炎は、常に味方であり、いろんなものを包み込んでくれるものだと思っています。以前は炎をどう使いこなそうか、フライパンをどう使いこなそうか、という戦いだったけど、いつの間にか炎が自分のものになったというか、自分から出るものになった感じがするんです。料理はやっぱり気持ちなんですよね。
今では「炎は自分のハートのあたたかさ」で、「フライパンは自分の手のひら」のように思っているんです。ようやく、素材を手のひらに乗せて、心の炎でつくっていけるようになれたのかなと思いますね。料理を食べていただければ、きっとその想いは伝わると思うんです。
 
       
 
  小池 それは面白いですね。でもそういうことをずっと考えながら、料理を続けてこられたんだろうなってすごく思います。  
五十嵐 そうかもしれません。やっぱり炎を使いこなすというのは、すごく難しいことなんです。だから、うちの若い子たちには発想を変えて「炎と思わないで自分の一部にしなさい」とアドバイスしています。
    調理中の写真  
       
 
  小池 なるほど。お店づくりも、お料理も、すべてが五十嵐シェフらしい「やさしさ」でつながっている感じがします。  
五十嵐 中華っていうのは体力と、火力との「勝負」だってよく言われるんですけど、だから私は勝負しないで、仲良くなりたいんです。
たとえば、若い頃は3~4ヶ月に一度は、フライパンを変えなきゃいけなかったんです。熱しすぎたり、力任せに扱ってしまうので、すぐにボコボコになってしまっていました。でも今は2年使っても、きれいでつるっとしています。そういうのを見ると「ああ、私やさしくなったんだな」と思って(笑)。滑らせるように、包むように、踊るように、もっと滑らかな動きになっていけたらいいなと思います。無になって炎にゆだねながら、炎を自分の身体の一部にするというのが、私の独特な考え方かもしれませんね。
    五十嵐さんが調理中の写真  
     
 
  小池 最後の質問になるんですけど、今後、料理人として挑戦してみたいことがあれば教えていただけますか。  
  五十嵐 知らないことがまだまだたくさんあるので、日本全国のいろんな地方を回って、料理教室をやりながら、おばあちゃんの知恵とか、地元の方からいろんなものを学んで、またそれを伝えていけたらいいなと思っています。日本の地方には、いろんな知恵や食材が眠っているはずです。だから、いろんな人に出会って、いろんな食材に出会って、視野を広げていきたいなと思っています。
私たち料理人は、食材だけを見て使うより、生産者の顔も見て料理するほうが、すべてをつなげていける感じがするじゃないですか。その料理人としての役割を、私はきちっとやっていきたいんです。それで、私たち料理人も、活かされると思っていますので。
 
  小池 なるほど。今日は興味深いお話をたくさんうかがえて、とてもワクワクしました。ありがとうございました。  
 
  前の記事を読む  
 
  五十嵐美幸シェフの!“炎の技”  
 
 
  「中国料理 美虎」の詳細はこちら
  http://www.miyuki-igarashi.com