TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。米村 昌泰 レストラン よねむら オーナーシェフ
 
 
僕は、フランス料理を習ってきて、日本料理は習ってないんです。だから技術的にはフランス料理に基づいていますが、実はどちらでもない、いわば「よねむら」流なのかなと思っています。料理のやり方で一番大切にしているのは「足し算」。素材と技法を足して、足して、足していって、で、そのままだとバランスが悪くなる所から逆に引いていく。そして、残ったものが全体の大きな流れになっている。だからメニューの数が多くなってしまうんですが、それは、僕があれこれ欲張った結果なんです。
米村 昌泰さんの写真
今日のヒラメも、フォアグラの料理を考える中で発想しました。普通フォアグラには、淡泊なフィレ肉などを合わせるんですが、白身魚にしてみました。ソースも赤ワインと味噌を合わせたもの。フレンチでもない和食でもない、あれもやりたいこれもやりたい、という足し算から生まれたアレンジです。
ヒラメは、いくつもの味わい方があるんです。ワインやチーズほどではないですが、魚も絞めたあと寝かせたものがおいしいと言われていて、それはそれで良いのですが、朝締めしたものにも、また別の味わいがあるんです。例えば朝締めのヒラメと、絞めて3日たったものとどちらがおいしいかというと、料理法によって熟成したものがおいしかったり、新鮮な爽やかさが良かったりということもあります。そこで今日は、朝締めのヒラメの力みたいなものを楽しみたいと思いました。
まず、淡泊なヒラメのおいしさをさらに引き出すために、昆布締めにしました。でも普通の昆布締めのように、厚い昆布で絞めて一日か二日たって飴色になっているものではありません。鯖寿司などに使う、白板昆布で絞めるんです。そしてお客さまに出す少し前に、そのすごく薄い白板昆布を魚の身に貼り付けるようにしておきます。すると一分くらいで、すっと昆布の味が身の方に移るんです。こうしておいたヒラメのえんがわを、バーナーで焼いてお出しする。そうするとお客さまが召し上がったとき、上半分は焼き目が付いて香ばしく、下半分はまだ生。歯触りも良く、口の中で昆布の香りも一杯に広がる、実に贅沢で微妙な味が楽しめるんです。
 
 
調理中の写真
ヒラメは淡泊なので、生にしても、焼くにしても、蒸すにしても、作り手の力が上手く伝わるとどんな方向にも持って行ける、そこが面白い所なんです。
僕は料理をお出ししたら、すぐに食べていただきたいと思っています。お寿司と同じで、秒単位で味が変わって行くような、活きた料理が理想です。だから作った瞬間の100点満点を、そのまますぐ口に運んでいただけるお客さまが、本当に嬉しいんです。そんなお客さまには「食べる力」があると思うんです。作り手側と食べる側、それぞれの力が働いて料理をおいしくする。出来たての料理を、おいしいうちに、さっと口に運ぶ。なによりも、おいしいものを食べてやろう、というような気持ちが先に動いてしまう。そんな事が要るんじゃないかな、と思うんです。だからテーブルに出す直前に、さっとバーナーの炎を使う。調理場も同じですが、ガスの炎は立ち上がりの力があるので、こんな時には助かりますね。ガスはいくつもの炎の調節ができ、料理の工夫ができるんです。人間の感覚に近いという感じですね。目で見ている炎は「これなら、こうなる」というのが、直感で分かる。つまり包丁と同じ、手先と同じ安心感があるんですよね。
僕にとって炎とは、子供の頃家に帰ると母親が大忙しで夕食の用意をしていて、台所でいくつものガスの炎がボッと見える。そして、もうすぐたくさんのおいしいご飯ができ上がる、そんなほっとする家庭のイメージでもあるんです。あれこれ足し算しながら、もっともっとおいしい料理を食べて欲しいと思って作る、僕の料理の原体験になっているのかもしれません。
 
 
フォアグラと活平目のムニエル
ラタトゥユ入り
西京みそソースと赤ワインソース
浜防風とこしあぶらを添えて
材料
  フォアグラ 40g
活平目 50g
浜防風 適量
こしあぶら 適量
ラタトゥユ
 
赤ピーマン 1/4本
タマネギ 1/4個
ズッキーニ 1/2本
ナス 1/2個
トマトソース 100cc
塩、胡椒(カイエンヌ) 適量
キュウイソース
 
キュウイ 1ヶ
西京みそ 70g 
粒マスタード 少々
グレープフルーツジュース 70cc
白ワインヴィネガー 少々
オリーブオイル 少々
赤ワインソース
 
赤ワイン 500cc
フォン・ド・ヴォー 500cc
マディラ酒 30cc
ポートワイン(30ccまで煮詰める) 80cc
 
作り方
 

フォアグラはオイルをひいたフライパンで焼く。
   

活平目は鱗をひき、4枚に切り分け、バターで
ムニエルにする。
えんがわは皮をひき、バーナーで焼く。
   
浜防風は小口切にして、フォアグラの上に置く。
   
こしあぶらは小麦粉をつけ、から揚げにする。
 
 
ラタトゥユ
 

鍋に3mm角に切った野菜を入れ、軽くいためる。
   

①にトマトソースを加え煮る。
塩、胡椒で味をととのえる。
 
 
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レストラン よねむら
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