TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
  厨房で働くあなたの心に着火 プロの厨房を応援する情報誌
Bo! [ボッ]
  いつも、同じ結果が欲しければ、いつも、違う過程を探るしかないんです。  
    伊藤さんが調理中の写真  
 
  大沢 こちらのお店は、とても居心地のよさを感じるんですけど、ふつうのお客さんは、なぜ居心地がいいのかというところまでは分からない。でもそこにはシェフの考えと、しっかりした計算があって全体がうまく連動しているんでしょうね。  
伊藤 うちの店は、カウンターのあるオープンキッチンなんですが、料理人とお客さんの目線が合うように、カウンターの高さを5cm刻みで調整していきました。さらに、お客さんとのちょうどいい距離感を保ちつつ、料理も出しやすいカウンター幅を見つけていったんです。カウンターのイスも、安易にハイチェアにするのではなく、居心地のいいローチェアにこだわって、その分、床を底上げしました。
さらに、僕たちの仕事を見て欲しいという想いがある反面、何を見せて、何を見せないか、というところもしっかり考えました。たとえば、両開きの冷蔵庫は、開けた時にどうしても中まで見えてしまう。そこで、うちでは開けた時でも中が見えにくい引き出しタイプの冷蔵庫にしているんですよ。
    厨房で料理の写真  
 
       
 
  大沢 これまでの出店の中で、いくつも厨房をつくってこられたノウハウが、ここに凝縮されているわけですね。ところで、伊藤さんがガスの炎にこだわる理由を教えていただけますでしょうか。  
伊藤 たとえば微妙な火入れをするときには、やっぱりダイヤルの1、2、3、4ではできないんです。炎を目で見て調整しながら、いろんな温度帯をつくってあげることが大切で、ストーブの前に立っている人は、その中でどこがどんな温度になっているのかを探りながら料理しますよね。お肉をローストしたものを休ませるには、どの辺がいいか見極められるんです。
それはフライパンでも同じです。特に、ボイルなどで一次加熱した素材に焼き色をつける場合は、生の素材に火を入れるより色のつき方にばらつきが出やすい。そういうときにはガスの炎で生まれる温度ムラをうまく利用するわけです。
    調理中の写真  
    つまり、料理する上で、いつも同じ結果が欲しければ、いつも違う過程を探らなければできないんです。駆け出しのときはA、B、Cと進めればDになると思いがちなんですが、実はその最後の結果を得ようと思ったら、毎回、異なる食材に合わせて料理人が調整していかなければいけないんですよ。  
     
 
  大沢 なるほど。やはりそこをマスターして、やりきれる人が一流なんでしょうね。
それでは最後の質問ですが、伊藤シェフは趣味でトランペットの演奏もされていて、それもプロと言ってもいいぐらいだと思うんですけど、音楽と料理に何か関係性がありますか。
 
伊藤 関係ありますね。よく似ていると思います。まず基礎的なトレーニングが必要であること。楽器を演奏しようと思うと、まず基本を学ばないといけませんよね。いきなりトランペットが吹けるわけではないんです。それと、習得した演奏のクオリティを保つためには、普段のトレーニングが不可欠なんです。基礎トレーニングがあって、その上に表現があるという意味では料理と音楽はよく似ていますね。
それと、ジャズにはアドリブという表現がありますけど、あれは降って湧いてくるわけではなくて、それまでの自分の持っているフレーズの積み重ねの中から出てくるものなんです。料理も同じで、冷蔵庫を開けたときにアイデアが降って湧いてくるわけではなく、さまざまな経験の中から、新しい料理が生まれるものなんですよね。
  大沢 それは確かに納得できますね。今日は本当にありがとうございました。  
 
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  伊藤文彰シェフの!“炎の技”  
 
 
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