TOKYO GAS エネルギー・フロンティア
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Bo! [ボッ]
この素材なら、こう料理する。片岡護 イタリア料理 アルポルト オーナーシェフ
 
 
今日は、和の食材の九条葱と甘鯛でパスタを作ります。イタリアンなのに関西料理のような取り合わせなんですが、お互いの相性はいいですし、九条葱の繊細な味わいや甘味を上手く使いたいと思いました。葱というのは何種類かあるんですが、それぞれ味わいが違っていて、例えば魚はもちろん肉にも良くあう下仁田葱とか、身がしっかりしていてクリーム煮にすると甘味が出ておいしいポワロ葱などいろいろと特徴的です。そして日本を代表する葱である九条葱の葉の青いところは、残ったらピューレにしてソースや香りだし、スープに使ってもいいですね。葱が一番おいしいと思うのは、根元の球根のように膨らんだところ。アサツキなんかも、葉の青いところだけ使わないで、根のところに味噌をつけて食べるとピリッと辛くていいんですよ。
片岡 護さんの写真
今日はイタリア料理なんですが九条葱や甘鯛といった、和の食材を使って日本で作るので、その意味では少しスケールの大きな地産地消だと思っています。
僕はイタリアで修業したんですが、日本に戻ってからはずっと、日本の素材を使っていこうという方針を変えていないんです。お店で出す料理も、懐石風に少しずつ出てくる。その辺りも和なんです。それが僕の「個性」だと思うんです。日本人が作る料理とイタリア人が作る料理は、同じイタリア料理と言っても違うものなんです。日本で育った料理人が作るなら「日本」を意識した料理をしなければいけない。イタリアで修業している時、「日本の料理作ってみて」と言われて、出来ないという子がいたりするんです。天麩羅もできない、鰻も割けない。イタリア語話せるかと聞かれても話せない。なんにもできない。じゃあ、一体何しにイタリアに来たのと言われてしまうんです。
だから、料理人として向こうで修業するのなら、恥をかくようなことはするな。日本人であることを忘れるなと言いたいんです。少なくとも日本料理の基本はマスターしていて欲しいと思うんです。「桂剥き」くらいはできなくちゃ。包丁でやってみせると、彼らはびっくりしますよ。そこで「おっ、日本のコックだな」と認めてくれるんです。なにもできないじゃ、話にならないです。そんなやつにイタリア料理はできないよ、となってしまうんです。アイデンティティが必要なんです、プロとしての。だから、その料理人にしかできないオリジナリティのある、イタリア料理がいるんです。それでもひと昔は、向こうで習った事をそのままやっていれば良かったんでしょうが、時代は変わったと思います。料理人は、勉強して研究して、創造性や個性を持たなければやっていけないと思います。
 
 
調理中の写真
僕にとって炎とは料理の根本、根源です。これがなければ料理は成立しません。狩猟時代に、薪を焚き火を熾すところから始まって料理が生まれてきたわけで、炎をどう使い、どう工夫するかが僕たちの仕事であり技術だと思うんです。
たとえばアルコールを飛ばしたりする時、一気に炎が上がりますが、それは旨味につながっているんですね。そうしなければ生まれない旨味、実際に他の方法では絶対につくれないものなんです。料理とはそういうものですし、炎の役目というか炎が作るものは、目には見えないけれど人の感覚の中に残るものなんじゃないかと思います。おいしさや旨味の中には、炎が入ってるんですよ。料理は計算や効率では作れません。自分の経験したあれやこれやのいいところが結びついて、料理のアイデアがパッと現れたりする。炎も、ごくごく弱火から一気の強火という燃えるものだけでなく、切るタイミングで意識的に作る炎の余熱もある。つねに挑戦して、いろいろやってみなければいけないと思うんです。そんな目的を持ったいくつもが無数に組み合わさって、はじめて料理は生まれてくるのだと僕は思います。
 
 
甘鯛と九条葱のパスタ
材料(1人分)
  パスタ 80g
甘鯛(切り身)60g
九条葱 2本
オリーブ油 大さじ2
ニンニク 大さじ1/2
あさり汁 30cc
蕪 1/2ヶ
蕪の葉 20g
パセリ 大さじ1
鷹の爪 1本
あさつき(小口切り) 大さじ1
 
作り方
 

甘鯛はうろこが付いたまま塩、
胡椒をして、オリーブ油でキツネ色に
カリッとなるまで皮目から
よく焼いておく。後で皮目から身だけ
削ぎ落とす。
   

蕪は3mmの厚さのせん切りにし、
軽く塩をして蕪の水分を出しておく。
蕪の葉は小口切りにしておく。
   
九条葱は1cmの幅で斜めに切っておく。
   
フライパンにオリーブ油とニンニク、
鷹の爪を入れてゆっくりとニンニクが
キツネ色になるまで炒める。
   
④の中に②と③を加えてしんなり
するまで炒め、甘鯛の身、
アサリ汁を加え、パセリ、塩、
胡椒をしておく。
   
パスタをアルデンテに茹で上げて
⑤の中でよく混ぜ合わせ、調味して
お皿に盛りつけ焼いた甘鯛の
うろこを盛りつけあさつきを上からふる。
 
 
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イタリア料理 アルポルト
東京都港区西麻布3-24-9
電話:03-3403-2916 www.alporto.jp