BO! Vol.14 厨房で働くあなたの心に着火! ~ be on f ire! ~
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03 食材と向き合い、最高の味を引き出す。 その方法を常に考え続けています。小池 岸田シェフの料理やお店づくりは、とてもオリジナリティに溢れていますよね。象徴的なのが「白紙のメニュー」ですが、そこにはどんな想いが込められているのでしょうか。岸田 「白紙のメニュー」というのは、つくり手の僕らがフレキシブルに料理を選択できるということです。普通はお客さまがメニュー表を見て注文するわけですが、そのシステムで常に本当においしいものをつくることが可能なのかと言うと、相当な制約があるはずです。ひとつは、時間的な制約。たとえばオーダーが入ってからつくりあげるまでに、充分な時間は与えられませんよね。次に、素材の仕入れの問題があります。もしメニュー表をつくってしまうと、その素材が最高の状態でなくても仕入れなければということと、何か関わりはありますか。岸田 そうですね。僕の特徴的な料理のひとつに、低温で長い時間をかけて火を入れる技法があるんです。たとえば、肉類のローストでは「約1分間オーブンに入れたならなくなります。たとえば、鯛のメニューを載せてしまったら、隣にもっと素晴らしいスズキがあったとしても、鯛を仕入れざるを得ない。でも「白紙のメニュー」であれば、その日のお客さまの数だけ新鮮なものを仕入れればいいので、全員にベストなものを提供できますし、余分に仕入れる必要もありません。今日、最高の状態の食材を使うために、僕はその日に仕入れたものは、その日に全部使い切りたいのです。小池 なるほど。お客さまに常に最高の食材を、最高のタイミングで味わっていただくためにたどり着いたのが、「白紙のメニュー」というわけですね。 微妙な感覚を大切にしたいから、 フランスで働いていた時の お店の厨房を再現しました。小池 岸田シェフはキュイソン(火入れ)にも、とても強い思い入れを持たれていますが、それもフレキシブルに料理を提供するら一度取り出して、余熱で火を入れる」という作業を4時間ほど繰り返します。これは、お客さまの注文を受けてつくり始めたのでは間に合いません。でも、その技法でしか出せない味があるので、いまのスタイルは譲れませんね。さらに、フレキシブルという意味では「カンテサンス」の料理に明確なルセットは無いんです。常に同じ味を再現したいといっても、素材は常に変化しますよね。それなのに、焼く時間だけは毎回同じというのは、僕にはむしろ不自然な気がして。求められるのは正確な焼き時間ではなく、出来上がった状態がいつもと同じように仕上がることなので、ルセットの数字で表すのではなく、素材の本質を見極めて、毎回フレキシブルに対応していくことが大切だと思っています。↖Shuzo Kishidaこだわるのは当たり前。どこまで考え、どこまでこだわり抜けるかが大事だと思う。

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