BO! Vol.15 厨房で働くあなたの心に着火! ~ be on f ire! ~
5/12

“”炎の技奥田透料理長の!たとえば土鍋で炊き込みご飯をつくる時、理想の手順は「初めチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いても蓋取るな」と思われるかもしれませんが、実はこれは鉄鍋と薪の世界の話なんです。今回は土鍋なので、まずは土鍋そのものを温めないといけません。だから最初は強火でいいのです。いきなり強火でも、土鍋は保温力があるので、中にはチョロチョロと温度が伝わっていきます。そして、土鍋が完全に熱を持つと、今度は土鍋の方から自然と圧力を加えてくるので、弱火にしていくのです。つまり、道具が変われば、炎の使い方も自然に変わってくるものなのです。04プルに素材の持ち味を引き立てるのが、炎の役割なんじゃないかなと思います。私は、料理は一種の魔法だと思っています。だけど、複雑なことをしなければいけないわけではない。ある程度の経験を積めば、良い食材を前にした時に、この素材を本当においしくするには「あまり料理をしないことだ」と気づくはずです。小池 深いお話ですね。そんな奥田さんにとって炎とはどんな存在ですか。奥田 〝感じるもの〞ですかね。火を入れた瞬間から、自分にもスイッチが入るんです。ひとたびスイッチが入ったら、後は強弱の問題ですよね。たとえばカブを炊くときには強火で何分、中火で何分、弱火で何分という数字はあるけれど、これは単なる目安です。実際は、だしがこうなったから次はこうする、ということを自分と炎が一体になって感じなければいけない。そこで感じたことを食材に伝えてくれるのもまた、炎という気がしますね。私は、料理には科学を超えた世界があると思っています。自然に、自分が感じたままがいちばんかなと。だから、炎を感じ、炎と料理人が一体になれた時、その人の料理は、その人にしかできない仕事になると思うのです。小池 炎は〝感じるもの〞とお聞かせいただき、すごく納得しました。今日は本当にありがとうございました。厨房で、話そう。1969年静岡県生まれ。静岡の割烹旅館「喜久屋」や京都の「鮎の宿つたや」などを経て、徳島の名店「青柳」で修業。1999年、29歳の時に故郷・静岡で独立。その後、2003年に「銀座小十」をオープン。「ミシュランガイド東京」で2008年版から5年連続で3ッ星を獲得。2011年夏には、ご自身の理想をカタチにした「銀座奥田」をプロデュースし、銀座並木通りに店を構えた。奥田透(オクダ トオル)「銀座奥田」/「銀座小十」 店主[銀座奥田] 東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビルB1電話:03-5537-3338 http://www.ginzaokuda.com第15回

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です