1. 最適厨房ホーム
  2. 先進ガス厨房事例トップ
  3. 先進ガス厨房事例[第18回]

先進ガス厨房事例[第18回] ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ国立高等学校(フランス/パリ)

DATA
[所在地]
1 place Prote Molitor in Paris 16émeフランス・パリ市内
[設立年月日]
2007年改装完了
[HP]
http://www.lycee-la-fontaine.org/
[厨房の面積]
ホットエリア70~80m2、コールドエリア15m2
[1日の食数]
1,000食(生徒および職員)
[主なメニュー]
定食のほか、ピザ、クロックムッシュ、サラダ、デザート等

パリの歴史的建造物を改修した学校厨房、その作業環境を重視した数々の工夫とは?

ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ国立高等学校(Lycée Jean de la Fontaine)は、パリの城壁の一角に1935年から1938年にわたって建設されました。建築家エロー(Herald)氏のデザインによる校舎は、真ん中が大きく開いた四辺形。光をうまく取り入れ、シンプルかつ装飾的なスタイルで、当時を代表する建物です。
教育面では語学教育に力を入れているのが特徴で、フランス語、英語のほか、1990年からは日本語クラスも設置されており、公認の日本語養成校ともなっています。その縁で天皇陛下も訪問され、その記念として雛人形が飾られている親日的な学校です。

1. 歴史的建造物のなかに、最新の厨房設備を設置。

同校の厨房の改修は、2003年から2007年まで4年間を費やして行われました。それまでの厨房設備を稼働させながらの改装であったことに加え、建物自体がパリ市の歴史的建造物に指定されており、改修する際の許可手続きが難しかったからです。
厨房は地下にあります。ユーロ規格により、調理後の冷たい料理は4℃から10℃で保冷、暖かい料理は63℃以上で保温しなければなりません。厨房の熱源は、市の熱源供給会社から提供される蒸気は使用せず、ガスと電気を使っています。大量の湯を短時間に沸かすために、熱効率のよいガス機器が主となっています。

建物外観
建物外観。校舎は、真ん中が大きく開いた四辺形で、真ん中の空間には校舎が設けられ、バスケットボールなどの運動をすることが出来る。1930年代に建てられた建物は、パリ市の歴史的建造物に指定されており、改修する場合には市からの許可が必要。
包丁などの調理器具の消毒保管庫
包丁などの調理器具の消毒保管庫は、マグネットで貼り付けられるようになっている。
厨房機器の脚
機器下の掃除がしやすいよう、機器の脚を長くしている。

2. 作業環境を重視して「照度」「音量」までを管理。

地下の厨房でもっとも苦労したのは、いかに太陽光を地下まで届かせるかという点です。新築の厨房施設には、現在、料理人の目の高さに太陽光があたらなければならないという規定があります。しかし同校は文化的建物保存の観点から窓を変更することができないため、窓から差し込む光が地下の厨房まで届くように吹き抜けを取り入れています。また地下にある食堂にも太陽光が差し込むよう工夫されています。
その結果、厨房エリアの照度は、倉庫200ルックス、メイン調理室300ルックス、また客席は500ルックスとなっています。さらに厨房で発生する音量は62デシベル以下に抑え、作業環境を良好に保つ努力もされています。照度だけではなく、音量も管理されている同校の厨房は、非常に参考になります。

ランチルーム
ここも地下になるが、外光が届くよう工夫されているため、大変明るい。
食品の受け入れ(検品)室
食品の受け入れ(検品)室。地下の厨房に外光が届くよう、吹き抜けにして工夫されている。
カフェテリアライン
カフェテリアライン。
温かいベーコン、ソーセージ、ハム、煮豆の付け合せ
この日のメニューは温かいベーコン、ソーセージ、ハム、煮豆の付け合せ。
冷たいサラダ・デザート・チーズ
温かい料理に加えて、冷たいサラダ・デザート・チーズがつく。

3. 厨房機器のフードをガラス張りにして、外光が届く工夫。

厨房機器は、センターの片側にオートリフト式フライヤーが2台、ブレージング・パンが3台、反対側にスチームケトル2台、フレンチのイーブンヒートトップレンジとガスコンロのコンビ1台、ロールインタイプのスチームコンベクションオーブン2台(コンボサーモともう1社の2種類を使用)、となっています。極めてシンプルなレイアウトです。
地下の厨房にもかかわらす、フードをガラス張りにして、外光が届く工夫がなされています。また休憩室やトイレなどを表示するサインもたいへんお洒落で、フランスの文化を感じさせます。
料金の支払いはプリペイドカード方式です。入口にトレイのディスペンサーがあり、そこにカードを挿入すると料金が引かれ、かわりにトレイが出てくる仕組みとなっています。
歴史的建物という制約のなかで、いたるところに時代の要請に合わせた設計がなされており、特に作業環境を重視した厨房は日本でも非常に参考になるものです。

厨房の加熱機器ライン
厨房の加熱機器ライン。厨房室中央のアイランドの片側に、オートリフト式フライヤー2台、ブレージング・パン3台、反対側にスチームケトル2台、ヒートトップレンジとガスコンロのコンビ1台、ロールインタイプのスチームコンベクションオーブン2台が設置されている。
フード
地下の厨房でも目の高さに太陽光が届くようにしなければならないため、吹き抜けを用意し、フードをガラス張りにして、外光が届くよう工夫をこらしている。
給食用トレイのディスペンサー
給食用トレイのディスペンサー。水色の箱の部分にIDカードを通すと給食代が自動的に徴収され、トレイが出てくるシステム。ちなみに、給食代は一食2.5ユーロだが、保護者の所得により上下するとのこと(上限は5ユーロ)。
ランチルームの片隅
ランチルームの片隅。食べ終わった食器は、トレイのままオレンジ色のベルトの上に置く。このベルトが洗浄ラインへと続いている。
洗浄室内部
洗浄室内部。トレイがベルトで運ばれてくる。
洗浄室内部
洗浄ラインの途中にある銀色の箱には磁石が内臓されており、ここでフォーク・ナイフ類だけが選別され、手前のカゴに落ちる仕組みになっている。
大型の食器洗浄機
大型の食器洗浄機。外壁や扉を二重にして断熱層を設けることにより、機器からの放熱を少なくしている。これにより洗浄室の温度上昇を抑えるとともに、熱効率も向上する。
給食のメニュー
給食のメニュー。ボリューム満点で濃い目の味付けだが、なかなか美味しい。右上の黄色い果物はすももの一種で、アルザス・ロレーヌ地方特産のミラベルという果物。

※王利彰氏(立教大学教授・最適厨房研究会会長)のレポートを、最適厨房ONLINE編集部が再構成しました。

このページの関連記事はこちら

先進ガス厨房事例トップへ戻る