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セミナーレポート

2022.7.13

<飲食店様向け> 講師 日髙良実シェフ

7月13日(水)【開催報告】日本イタリア料理界の巨匠 日髙良実シェフによる「アメリカンターキー料理 3種のバリエーション」とコロナ禍・物価高を乗り切る飲食店経営の秘訣

(上から)アメリカンターキーのサルティンボッカ風/アメリカンターキーのカツレツ/アメリカンターキーのコンフィ 玉ねぎとアンチョビのパスタ/日高シェフと料理3品

(上から)アメリカンターキーのサルティンボッカ風/アメリカンターキーのカツレツ/アメリカンターキーのコンフィ 玉ねぎとアンチョビのパスタ/日高シェフと料理3品

~「アメリカンターキー」シリーズ第一弾~

日本のイタリア料理界を牽引する「リストランテ アクアパッツァ」の日髙 良実 シェフ(写真右)に、コレステロール値や脂肪が少なくヘルシーな「アメリカンターキー」を使って、本格イタリア料理3品をご紹介いただきました。

◆MENU①◆アメリカンターキーのサルティンボッカ風
まずセミナーの冒頭に大型家禽類「アメリカンターキー」の解凍方法や解体のコツを、日髙シェフとアシスタントの直井 一寛シェフ(写真左)に実演・解説していただきました。

イタリア修業時代に賄いやサンドイッチ屋さんで「ターキー」に親しんでいた日髙シェフ。今回は伝統的なイタリア料理の技法で「ターキー」を調理いただきました。

まず1品目はローマを代表する料理である「サルティンボッカ」をターキーで。胸肉を薄切りし、セージと生ハムを重ねて、包丁のみねでたたいて密着させます。

何気ないテクニックですが、大切な工程です。薄切りのターキー胸肉と超薄切りの生ハムとの塩気のバランスが絶妙で、刻んで挟んだセージの香りもベストマッチでした。普通の「サルティンボッカ」に使うセージは葉のままで挟むのが一般的です。刻んで香りを際立たせる技法は日髙シェフの「香りの料理」ならではの技を示すものでした。

◆MENU②◆アメリカンターキーのカツレツ
2品目は「カツレツ」です。ミラノ風カツレツ(コトレッタ)では仔牛を使うところを「ターキー」でご紹介いただきました。

普通はお肉をたたいて伸ばし、パン粉をつけて焼く調理法ですが、そこは日髙シェフ、パン粉に一工夫です。麺棒できめ細かくサラサラにしたパン粉に香りのパセリと風味のパルミジャーノレッジャーノチーズパウダーをミックスしてターキー胸肉を包み、さっと焼き上げました。

口当たりがとってもソフトでパセリとチーズが淡白なターキーを引き立て、何枚でも食べられそうな軽さに仕上がっていました。添えたレモンをしぼって食べると、より軽くさっぱりとなり、どんどん食べ進んでしまいました。


◆MENU③◆アメリカンターキーのコンフィ 玉ねぎとアンチョビのパスタ
3品目はパスタ料理です。直井シェフは以前の勤め先である「キャンティ」時代に「ターキー」を結構頻繁に使っていらっしゃったそうで、前菜からメイン、パスタまで幅広くメニューに使用していたのだとか。今回のセミナーのメニュー試作には経験をいかして大活躍をしていただきました。

ターキーもも肉をコンフィ(低温油煮調理)で仕込み、香ばしく焼き色を付けてからカットして、野菜やペンネとあわせます。これだけでもイタリアン感満載なのですが、そこへシチリアをイメージしたレーズンを加え、乾燥オレガノをプラスして、複雑性を増し、よりグレードの高いパスタ料理となっていました。


———後半は、日髙シェフにレストラン運営や最近の新たな試みについて伺いました。

◆レストランのインテリアもコロナに対応◆
「新型コロナウィルスに対応して、各テーブルにかけていた『テーブルクロス』を思い切ってやめました。その代わりに上質な厚手の紙クロスを使っています。高性能の空気清浄機も入れました。」


◆挑戦◆
「新型コロナが流行して『飲食店に何が出来るか?』を考えました。ピンチのときこそ、開き直って、新しいことを考える、挑戦するのが大切です。

60歳で店を南青山に移転して、数年して新型コロナが流行。まさかですよね。本当に苦しかった。でも諦めてはいけないんです。そして63歳で『YouTube』制作を始めました。

『YouTube』にはレストランのスタッフにもどんどん出てもらいます。そうすると言葉遣いや話し方、振る舞いが変わっていき、意識も変わるんですよ。また厨房も映るので綺麗にしようとします。

また沢山の方にYouTubeをご覧いただくことによって、お店に実際に足を運んでいただけるようになりました。『楽しそうに料理されているので、その味を確認しに来ました!』という方もいらっしゃるんですよ。」


———イタリアンからフレンチへ
終了間際には、次回のターキーセミナーの講師である、フランス料理のシェフ渡辺雄一郎さん(ナベノイズム)にもZOOMでご登場いただきました。

日髙シェフと渡辺シェフはテレビで共演されたりと交流があり、ぜひ繋いでほしい!とのご希望で実現しました。
渡辺シェフからは「イタリアらしさ満開のターキー料理で参考になりました。僕もフレンチらしさを出していきたいです」と感想をいただき、しっかりバトンを受け取っていただきました。

最後に日髙シェフから、「ターキーというベーシックな食材の新たな可能性をいろいろ感じたので、ぜひ皆さんも和食でもいいですし、色々お試しください」とのメッセージをいただいてセミナーは終了となりました。

本セミナーは後日動画でも配信する予定です。決定次第、厨BO!ウェブサイト・facebook(https://www.facebook.com/tokyogaschubo)、フランス料理文化センターのウェブサイトでお伝えいたします。

日髙シェフ、直井シェフ、美味しいお料理と楽しい時間、そして新たな挑戦が周りにどう影響を広げていったかなど、貴重なお話をありがとうございました!!


*ターキー提供元「アメリカ家禽鶏卵輸出協会」(USAPEEC)
家禽鶏卵商品(チキン,ターキー,ダック,鶏卵)の需要拡大のために、世界の主要な国々で幅広い活動を行っています。高度な生産技術と徹底した検査制度で、アメリカのおいしさを世界に届けています。https://www.usapeec-jp.com/

*アメリカンターキーセミナー第二弾 開催!
「フレンチの巨匠が手掛ける プレミアム ローストターキー 世界的な変革の時代をどう乗り切るか!有名レストラン 成功の舞台裏」
・2022年9月26日(月)15:00~16:30 オンライン配信(ライブ)
・定員50名
・講師:渡辺雄一郎(ナベノイズム)
・詳しくはこちら https://eee.tokyo-gas.co.jp/service/chubo-sr/experience/2022/220926.html
  • ▲アメリカンターキーに包丁を入れてさばいていく
    ▲アメリカンターキーに包丁を入れてさばいていく
  • ▲パン粉の細かさは食材に合わせて変えます。カツレツには薄くスライスした肉に合うように細かい粒のパン粉で<br>
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    ▲パン粉の細かさは食材に合わせて変えます。カツレツには薄くスライスした肉に合うように細かい粒のパン粉で

  • ▲パスタの完成。この後オレガノを振って香り豊かに
    ▲パスタの完成。この後オレガノを振って香り豊かに
講師 日髙良実 氏 (アクアパッツァ オーナーシェフ)
1957年 兵庫県生まれ。調理師学校卒業後、神戸ポートピアホテル 「アラン シャペル」で修業を開始する。
1983年 上京。銀座「リストランテ ハナダ」に移る
1986年 渡伊。「エノテカ・ピンキオーリ」「グアルティエロ・マルケージ」 「ダル・ペスカトーレ」等、計14軒で修業
1989年 帰国。青山「リストランテ山﨑」料理長に就任
1990年 西麻布「アクアパッツァ」オープン、料理長に就任
2003年 オーナーシェフになる
2018年 南青山に「アクアパッツァ」を移転
2020年 開店30周年を迎える 

*リストランテ アクアパッツァ https://acqua-pazza.jp/
東京都港区南青山2-27-18 AOYAMA M’s TOWER(青山エムズタワー)
パサージュ青山2F  定休日:年末年始、メンテナンス休暇