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オピニオンリーダーが語る
厨房談義 第23回

お店の“魅力”を表現する料理写真

美味しそう!の先へ。料理の“魅力”を表現する
ためには、自分のオリジナルなイメージが大切です。

食空間カメラマン
知新 温(あらた おん) 氏

PROFILE
パティシエールとしてお菓子作りを担当していた頃から、自分のレシピを整理するために写真撮影を始める。プロの写真家としての技術を学ぶために東京写真学園へ入学。修了後は、フリーのカメラマンとしての仕事に加えて、フードスタイリスト、テーブルコーディネーター、販促デザインにまで活動領域を広げる。現在、食品全般の撮影やインテリアの撮影など、幅広く活躍している。
ブログ「知新 温 (Arata On) ☆ のお菓子だぁ~い好き!」を公開中。

自分のお店の料理を、写真でいかに魅力的に伝えるか。そのためには、カメラの使い方に習熟することはもちろん、料理に関わるスタイリングやデザイン構成に、自分のオリジナリティを込めることが求められます。
美味しそう!の先にある、料理の“魅力”を表現する写真の撮り方について、知新先生に教えていただきました。

Subject 1 お店と料理の魅力を伝えるためには、
「スタイリング・シミュレーション」が大切

──知新先生は、「パティシエール」と「プロの写真家」という、2つのプロフィールを持っていらっしゃいますね。

知新

もともとは厨房でお菓子を作っていました。その頃は、旅行に行く時でもカメラは持たなかったのですが、自分のレシピを整理したいと考えて写真を始めました。

でも最初はなかなか良い写真が撮れず、決意して写真の専門学校に通いました。そこで分ったことは、料理と同様に写真も非常に奥が深いということです。料理の魅力をお客様に伝えるためには、やはり技術とノウハウが必要で、今日はそれをお伝えしたいと思います。

──今回のBO!セミナーには、お店のオーナーやプロの料理人の皆さんが参加されています。自分のお店の料理写真を上手に撮影する秘訣を、ぜひ教えていただけますか。

知新

わかりました。実はカメラの撮影テクニックについてお話しする前に、とても大切なことがあります。それは、料理をどう見せるかという自分のイメージを持つことなのです。

具体的には、私は撮影の前に「スタイリング・シミュレーション」を必ず行います。自分の頭のなかでイメージトレーニングをするわけです。

全体のトーンは、シック、フォーマル、エレガント、カジュアル、ナチュラル、モダン、等々ある中で、どれにするのか。そこに季節と地域を合わせると、どんなイメージになるか。例えば、フォーマル×夏×ヨーロピアンであれば、教会に集まった人々の真っ白なドレス姿が思い浮かぶかも知れません。また、シック×春×ニューヨークスタイルならば、パステル系のドレスに金の縁取りがあるシーンかも知れない。

重要なことは、イメージが自分の経験や気持ちから生まれるオリジナルなものであることです。それが他店との差別化になり、自分のお店のブランディングにつながっていくのです。

さらにそのイメージを、2色の組合せに落とし込みます。フォーマル×秋×和風であれば、朱色と金色。カントリー×モダン×冬ならば、茶色と白、といった具合です。その色彩を食材や食器、テーブルクロスなどの選択に活かしていきます。

そして最後は時間。春のランチであれば、明るくナチュラルに。こだわりのディナーであれば、照明を落として高級感が漂うように。こうしてスタイリングをイメージをしてから、実際の撮影に入っていきますが、撮影前の準備がとても大切なのです。

B0!セミナーでは、料理と食器・カトラリーは東京ガスが準備。これらを使って、グループごとにスタイリングを行いました。

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