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東京ガスの広報誌「LIVE ENERGY」に掲載された「リニューアルレポート」をご紹介します。
公共施設
新宿区役所本庁舎様
空調リニューアルにより室外機の能力・台数を削減、新しいGHPでランニングコストのさらなる低減が期待。
新宿区役所本庁舎 建築概要
所在地 | 東京都新宿区歌舞伎町1-4-1 |
---|---|
建築主 | 新宿区 |
用途 | 公用庁舎 |
敷地面積 | 3,364m² |
建築面積 | 2,252m² |
延床面積 | 22,389m² |
構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
規模 | 地下2階地上8階塔屋3階 |
設計・監理 | 早稲田大学理工学研究所 |
施工 | 野村工事株式会社 他 |
竣工 | 昭和41年10月31日 |
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GHP室外機
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室内機
主要機器リスト
- ガス吸収冷温水機 430RT×1
- ガス吸収冷温水機 487RT×1
- GHP 742HP[新規(674HP)+既存(20HP×2、10
HP×2、8HP×1)] - EHP 62HP
主要機器リスト
- 更新前
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- GHP 20HP×33
- EHP 43HP
- 合計 703HP
- 更新後
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- GHP 30HP×3
- GHP 20HP×26
- GHP 16HP×4
- 合計 674HP
リニューアルの経緯
新宿区役所本庁舎は、日本一の繁華街・歌舞伎町にある。昭和41年竣工のモダンな外観の庁舎で、一日平均3,000~3,500人が利用する。
この本庁舎では、平成4~7年にかけて、一度リニューアル工事が行なわれている。空調は、それまでセントラル方式であったが、ガス吸収冷温水機を外気導入用として一部残し、各部屋の冷暖房用として主にGHPが導入され、個別空調に切り替えられた。建築工事、電気工事も伴い、3年がかりの大規模な工事であった。
当時導入されたGHPは、20馬力×33台の660馬力。稼動開始後14年を経過して、耐用年数に達したとともに、老朽化の傾向が顕著に表れるようになったため、隣接する第一分庁舎で同じく更新期を迎えた空調設備とともに、3カ年計画で空調リニューアルを実施することとなった。本庁舎は建物の耐用年数を約50年と想定する中で、最後の空調リニューアルとしても、ベストの時期と判断されてのリニューアル計画であった。
2006年に第一分庁舎のEHPがGHPに切り替えられ(104馬力)、07年に本庁舎のGHPが更新された。08年には本庁舎のガス吸収冷温水機のオーバーホールが予定されている。
機器の選定と能力配分の見直し
今回の本庁舎の空調リニューアルでは、EHPに変更した場合、新しいGHPにした場合、ガス吸収冷温水機のみに切り替えた場合が比較検討され、イニシャルコストとランニングコストのトータルコストのメリットから、GHPが選択された。その中で、前回のリニューアル時にはなかった30馬力のGHPを積極的に活用し、室外機1台ごとにかかるメンテナンス費を抑制するとともに、各々の室外機の能力と熱負荷のバランスが再検討された。その結果、熱負荷が小さな部屋に利用されていたEHP4台(43馬力)を撤去し、GHP33台・674馬力に整理し直すことができた。
また、このリニューアルにあわせて、東京ガスの遠隔監視システム「G-Link」が導入され、維持管理の手間も大きく軽減された。
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工事の概要
リニューアル工事は、所内の通常業務に支障を来さないように「居ながら工事」が前提とされた。また、経費削減のために、仮設の冷暖房は使用しない方針であったため、昨年10~12月中旬に冷暖房を停止し、その間の土日休日と夜間に、ほとんどの工事を実施することとした。
主な工事は、室内機の撤去・設置とそれに関わる天井工事、室外機の搬出入と設置などであった。
近年所内では、業務の増加から、残業や土日出勤をする職員がおり、営繕担当者は職員の席の移動や日程調整に奔走することとなった。その結果、室内工事は一週間の期間延長を余儀なくされたが、工事はほぼ当初の予定通りに進めることができた。
なお、室外機には配管洗浄、既存冷凍機油回収機構付きのリニューアルタイプが採用された。数年前に行なわれた小規模のリニューアル工事の際に、配管の状態も良いと判明していたため、今回は圧力試験や特別な洗浄作業等は行なわず、既設配管がそのまま再利用された。手間とコストが大幅に削減できている。
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おわりに
今回の空調リニューアルにより、室外機の能力と台数が削減できた。新旧のGHP(20馬力)を比較すると、冷房COPが31%向上しており、容量削減の効果もあわせて、ランニングコストのさらなる低減が期待されている。