導入事例
田中貴金属工業株式会社

少量多品種で複雑な工程の
生産計画を段階的に効率化

田中貴金属工業株式会社 筑波工場
業種
貴金属地金(白金、金、銀、ほか)および
各種産業用貴金属製品の製造・販売・輸出入
および貴金属の回収・精製
導入企業
田中貴金属工業株式会社 筑波工場
お話を伺った方
製造技術セクション 製品開発グループ 生産技術ユニット 綾目 徹也 氏
製造・管理セクション リーダー 長谷川 裕 氏

少量多品種で複雑な工程の生産計画を段階的に効率化

課題
  • ・当日まで工程作業の見積りが困難
  • ・生産計画作業務の属人化による負荷増大
効果
  • ・生産計画の作成時間を1/4に短縮
  • ・全体工程の見える化による工程作業者の負担軽減
  • ・生産計画業務の属人化防止

お客様の声

全工程のうちでボトルネックとなっていた箇所から導入を開始

JoyScheduler導入が決まったのは2021年春。2022年9月に一部の工程において稼働を開始した。
「JoySchedulerを選んだのは当社の平塚工場で導入実績があったためです。しかし、平塚工場とは異なる製品工程に適用するため、すべて新たにカスタマイズする必要がありました。この筑波工場ではターゲット材と呼ばれる金属の円盤を製造しています。まず、材料の混合工程にJoySchedulerを導入しました。種類が100以上ある少量多品種製造で、原材料の配合比率は多種多様、攪拌工程なども時間がそれぞれ異なり複雑です。当工場では上流工程に該当し、リードタイムが長くボトルネックになりやすい工程でもあります。それまでベテランの長谷川さんが経験値を活かして手動で計画を立てていましたが、代われる人がいないため彼の負担が大きいことは課題でした」。
と、導入を担当した綾目 徹也氏は語る。
生産計画立案を担当してきた長谷川 裕氏によれば
「以前は計画と現場資材などとの整合性をチェックするなどに1日あたり2時間を費やしていました。導入後はJoySchedulerが作った計画と現場の資材などと整合性とかをチェックするだけでよくなり、計画の策定から承認が30分前後で終わるようになりました。それまでは作業の優先順位などが人によって違うため、工程ごとにすり合わせが必要だったが、JoySchedulerのアプリ上で全体の工程を関係者と共有できるようになったため、意思統一や伝達の手間が軽減できています。全体の流れが計画立案の段階で把握できるので、フォローが必要になりそうな箇所の人員増強や、納期をクリアするために必要な残業設定などが始業の段階でできるため、計画の立て直しが減りました。本工場は2直で24時間稼働します。夜勤の開始時に状況を見て再度スケジューリングを行えば大幅な修正などはせずにすみ、以前はたびたびおこなっていた計画修正を減らすことができました」。
とのことだ。

現場からの閲覧・操作にはWebアプリで対応

全体の流れが見えること、リスケジュールが容易になったことは作業者の心理的負担低減にも貢献している。
「『自分が休んだら計画が止まる』とか、『部分的に停滞しているように見えるけど大丈夫か? 』といった不安が大幅に低減できました。誰かが家族の病気などで早退しても対応できますし、停まっているように見えても1日の終わりには達成できる流れが確認できるので安心して動けます」(長谷川氏)。
JoyScheduler本体に対する新しい資源の追加や基本的な設定に関わる操作は管理者である綾目氏が行っているが、日々の計画立案や勤務形態の入力等はWebアプリ(※)を使用し現場で行うことができる。Webアプリでの操作は基本的にプルダウンメニューからの選択などで完了するので簡単だ。

※Webアプリはアドオンプログラムとして田中貴金属工業さまで開発し、JoySchedulerと連携

複雑な実作業の整理から導入をスタート

以前から、作業工程の大筋は基幹システム内にまとめられていたが、100を超える品種、複雑な工程の詳細は押さえ切れていなかった。JoyScheduler導入にあたり、膨大な実作業のパターンを洗い出す作業が必要になった。
「基幹システム上に工程のA・B・Cは一通り記録されています。しかしそれは大筋だけで複雑なものがざっくりくくられていて実態とは差があります。作業Aの中には「A’」「A”」などが含まれるのですが基幹システムではそこまではカバーされていないのです。導入作業はそれらを詳細に整理してJoyScheduler上の作業工程と一致させるところからスタートしました。さらにそれに合わせてJoyScheduler側を相当細かく設定しないとうまく動作しません。JoySchedulerのアドオンプログラム開発はSIerさんに依頼しましたが、作業工程の整理と実際の設定は自分たちで手綱を握らないとできない部分です。うまく合わせたつもりでも実態と乖離していたり、JoySchedulerの設定を理解しきれていなかったりなどつまずくたびにSIerさんや東京ガスのエンジニアの方に相談して解決しました」(綾目氏)。
本稼働スタート直後には不具合がいくつか見つかり、いったん使用を中断。JoyScheduler導入見直しが議論に上ったこともあったという。以前に工場内への別のシステム導入経験もあり、混合工程を担当したこともある綾目氏は工程の複雑さ、多様さから「一度ですべてがうまくいくことはまずない」と感じていたたため驚かなかった。
「稼働開始からスムーズに運用できるまでには停止、仕切り直して再稼働ということを7回くらい繰り返しました。心が折れそうなときもありましたが、現場の負担を低減し生産を効率化するという使命に対する周囲の理解・支援があって今があります」(綾目氏)。

部分導入で見つかった課題を全工程版導入時に解決へ

日常の運用では東京ガス担当者やSIerに問い合わせる頻度も減り、混合工程はスムーズに動いている。残る課題はリスケジュールの際の待ち時間だ。
「急な人員変更などがあった場合は計画を組み直す必要が生じます。いったんできてきた生産計画にリスケジュールを掛けると、新しいものができるまでに3~5分かかり、それを再確認して始動できるまでに15分くらいのロスが生じることもあります」(長谷川氏)。
「主な原因はJoySchedulerがそのたびに基幹システムから情報を取得していることで、取得した情報をもとに計画を作成しWEBアプリのデータベースに反映させるという一連の流れに結構時間がかかっています」(綾目氏)。
JoyScheduler導入の本来の目的は混合工程のみではなく、この工場全体の生産計画を効率化し、現場の負担を低減することにある。その過程にこの課題への対策も織り込まれ、生産全体を計画する全工程版のJoyScheduler導入が間もなく完了・稼働予定だという。
「これから走り始める全工程版JoySchedulerは基幹システムと完全に切り離して独立させる流れで動いています。すでに動いている混合工程部分もそこに含まれます。作業工程など一部の情報を基幹システムから参照することは止め、JoyScheduler のSQLServer内にテーブルを持たせて、そこにデータを保持させるという形になります。現在はテスト中で、不具合をつぶしていっているところです」(綾目氏)。

予実管理を可能にしてさらなる効率化に活用

全工程版稼働に伴いWEBアプリもリニューアルされ、予実管理に有効な実績収集機能が実装される。
「WEBアプリの中に吐き出された計画に対し、開始・終了の実際の時刻を収集するプログラムが入ります。それによって立案した計画に対してどのぐらい実働できたかをフィードバックし、系統立てて集約・解析して、能力値が現実と乖離していたら実際に沿った値に修正するというサイクルを繰り返し、より精度を上げ、もっと細かく効率的な管理に近づけていくことになります」(綾目氏)。
最後にJoySchedulerに対する率直な感想を聞いてみた。
「当社はWEBアプリを作って現場で使えるようにしましたが、部分的な設定で導入できるようなユーザーフレンドリーなアプリが最初から提供されたら嬉しいです。それから、JoySchedulerによって生産計画作成の手間と時間は大幅に低減しましたが、たまに予想外の計画の立て方をすることがあります。その原因特定が難しいですね。JoyScheduler本体側の設定に不備があるのか、WEBアプリを使う作業者が仕掛品の名前や計画の日程を間違えたなどの単純ミスなのかがそもそもわからない場合があったりします。東京ガスの担当者さんに連絡して解決策を教わり大部分をつぶせましたが、全工程版の稼働開始にあたって緊急サポートサービスがあればさらに心強いですね」(綾目氏)。
JoyScheduler導入の目的達成は目前となったが、さらなる効率化に向けて活用していくビジョンが見えているようだ。
JoySchedulerは、
多彩な計画機能
ロット計画順番を決定して計画する「優先順位計画」、計画の目的(リードタイム短縮、段取り時間最小等)からその条件を満たすための最適な計画を、遺伝的アルゴリズムと焼きなまし法を用い、自動的に探索する「最適計画」など、目的に即した計画機能を選ぶことができます。
見やすい表示機能
計画データの割付状況をガントチャートで可視化。ビジュアルで確認し、編集が可能です。
といった特長を持っている。
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