清原工業団地スマエネ事業
既存工業団地にスマートエネルギーネットワークを構築し、環境性・地域防災性を向上(国内初)。継続的な取組みでさらなる省エネも。
清原工業団地スマエネ事業では、栃木県宇都宮市の清原工業団地内にある3企業7事業所に対して、3万kW級のガスコージェネレーションシステム(CGS)を主体とするスマートエネルギーセンターと電力自営線および熱導管からなる独自のエネルギーネットワークを構築し、環境性に優れた、安定供給性の高い電力と熱(蒸気および温水)の供給を行い、単独事業所では難しい20%の省エネ・省CO2を実現しています。
内陸型工業団地において、異業種の複数事業所向けに電力と熱を合わせて供給する国内初の「工場間一体省エネルギー事業」です。
本事業は2020年度コージェネ大賞理事長賞、2021年度省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しています。
また、各社と連携した継続的な取組みにより、さらなる省エネ・省CO2も図っています。
清原工業団地を支える「3つの特長」
事業所をつなぐスマートエネルギーネットワーク
熱電バランスが平準化され、エネルギーセンターでの一括管理による高効率なエネルギー利用が可能となります。
また、停電時には商用系統からCGSを切り離し、独立したエネルギーネットワークにより、重要負荷に対して電力および熱の供給を継続することができます。
安定供給を支える信頼のエネルギーセンター
約半世紀にわたる地域エネルギー供給で培った「ユーザーズ・ノウハウ」に基づき信頼性の高い、強靭なシステムを構築しました。世界トップレベルの発電効率を有するCGSを核として省エネを追求するとともに、停電時に電気と熱の供給を継続するBCP機能も備えます。各事業所のエネルギー設備を集約したエネルギーセンターは、エネルギーのプロが24時間体制で運転管理。各事業所の業務負荷を低減します。
エネルギーマネジメントによる最適制御・見える化
エネルギーマネジメントシステム「SENEMS®」では、ICTの活用により得られる需要データから電力負荷の傾向などを予測し、CGSなどの主要機器を最適制御。 さらに、事業所(使う側)の電気・熱のエネルギー使用状況と、エネルギーセンター(作る側)の稼働状況を双方向で「見える化」することにより、エネルギーの管理レベルを高度化。 使う側において廃熱の有効利用が促進されます。
工場間一体型省エネルギー事業によるSDGsの実現
スマートエネルギーネットワーク(スマエネ)は、エネルギーの合理化、安定供給の向上による競争力強化(直接的な便益)のみならず、まちづくり・地方創生など、環境・社会・経済の側面からの様々な付加価値(間接的な便益※1)をもたらします。
(※1) Non-Energy Benefit:ノンエネルギー・ベネフィットと呼ばれ、低炭素に寄与する環境行動を行った場合の行動に対する評価基準のひとつです。
持続可能な開発目標(SDGs)の達成と地方創生への貢献
連携省エネルギー計画の認定取得
経済産業省「連携省エネルギー計画認定制度」(※2)の認定を取得しました。
・経済産業省(SII)「エネルギー使用合理化事業者支援補助金」対象補助事業(平成28年度~平成30年度)
(※2)「連携省エネルギー計画の認定制度」とは、複数の事業者が連携して省エネ取組(連携省エネルギー措置)を行う場合に、省エネ法の定期報告書において連携による省エネ量を事業者間で分配して報告することができる制度です。(平成30年12月施行の省エネ法改正により創設された新たな制度)
さらなる省エネ・省CO₂の取り組み
CGSで発電した電気と、発電時に発生した廃熱で製造した蒸気や温水を面的利用をすること等により、単独事業所では難しい約20% (※3)の省エネと省CO2を実現しています。
一方、電気と熱の需要のバランスは、時間、季節、生産状況により異なるため、CGSから発生する廃熱を活用しきれない時間が存在します。本事業では、事業者間で連携しながら、さらなる廃熱の有効活用に取り組み、省エネ・省CO2をさらに2ポイントの向上し、スマエネ事業開始前と比較し22% (※3)の実現します。
(※3)清原SECから送られる電力と熱(蒸気・温水)を対象とした本事業開始前の2015年度と比べた削減率。
主な導入機器・設備
- 貫流ボイラ×7基
能力15.8GJ/h、換算蒸発量7.0t/h - 廃熱回収蒸気ボイラ×6基
能力8.7GJ/h 換算蒸発量3.3t/h
合計13基 能力162.8GJ/h 換算蒸発量68.8t/h
- ガスコージェネレーションシステム×6基
発電能力5,770kW - SolarAdvance 70kW
受賞歴
コージェネ大賞2020 理事長賞
2021年度省エネ大賞経済産業大臣賞(省エネ事例部門)