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先進ガス厨房事例 東京誠心調理師専門学校

DATA
[所在地]
東京都大田区蒲田3-21-4
[電話]
03-3734-4411
[HP]
http://www.seishingakuen.ac.jp/

トータルなフードビジネス教育の学び舎が最新厨房機器を備えて、蒲田に誕生!

東京誠心調理師専門学校

2007年4月に東京・大田区京急蒲田駅前に移転し、新校舎での授業をスタートした東京誠心調理師専門学校。新しい校舎を建設するに当たっては、内装や設備をすべて廣瀬理事長が自らコーディネイトし、調理を学ぶ学生にとって最適な環境を作り上げました。専門学校としては日本初となるHACCP(衛生管理)に対応したクリーンな校舎は、厨房をはじめ建物全体がデザイン性にも富んだ造りとなっています。
創立40周年を控えた現在、校舎を新築し、こだわりの厨房を完成させた思いを、廣瀬理事長に伺いました。

1. 学生の感性を刺激する「魅せる厨房」

校舎の新築に当たり廣瀬理事長は、細部まで計算しつくしたこだわりの施設を構想しました。それは、長年にわたり理事長自らが欧米を視察した知見を盛り込み、機能性とデザイン性を追求した“魅せる厨房”となっています。
「厨房はただ調理をする場ではなく、学生や教職員にとっての舞台だと考えています。ガラス張りの実習室はエレベーターホールから一望できるようになっており、喜びと緊張感をもって“演じる”ことができる場所にしました」(廣瀬理事長)
オープンキッチンをイメージした厨房は、そこに立つことが楽しくなるようなデザイン性に加え、時代のニーズに合致した質の高い人材育成のために、フードサービス業界の先端技術を習得できるよう最新の設備を導入しています。
また、実習室をガラス張りにすることで、学生たちは常に見られているという意識を持ち、動作も機敏になるといいます。「授業中、廊下に私が行くと、学生たちはガラスの向こうから頭を下げて挨拶してくれます」(廣瀬理事長)。その言葉通り、感性を伸ばすために考えられたデザイン性溢れる空間は、マナーを身に付けることにも一役買っているようです。

5階の西洋調理実習室
5階の西洋調理実習室。各実習室には調理に適したガスコンロが備え付けてあり、ここにはクックチルや真空調理、カート式再加熱システムなどの最新設備が備わっている。壁がガラス張りのため、エレベーターホールからも向かい合う実習室からも中の様子がよく見える。学生たちは調理実習前室を通り実習室へ入る。
エレベーター前の4階休憩スペース
講義を受ける4つの教室が取り囲む、エレベーター前の4階休憩スペース。まるでお洒落なカフェのような造り。壁にある丸窓の向こうには机が並ぶ。3階も同様の造りだが、教室の壁に空く窓は四角で、休憩スペースの床や椅子も違った趣向となっている。
5階の実習室前の廊下
5階の実習室前の廊下。学園祭ではカフェスペースなどに様変わりする。その左右にはガラス張りの実習室が並ぶ。向かって右手は緑色を基調とした「西洋調理実習室」、左手は黄色をポイントにした「日本調理実習室」。5階・6階にある4つの実習室は、正面の壁や後方の収納庫に各テーマカラーを配し、ポップでデザイン性の高い造りとなっている。ちなみに「中国調理実習室」は赤、「マルチ実習室」はオレンジ色がテーマカラー。

2. 日々の行動の中で身に付けるHACCPの概念

同校の特長の一つに、HACCPシステムの導入があります。「これまでも衛生面には気を使っていましたが、衛生管理のインフラは極めて重要であることから、新校舎では『一般的衛生管理要件』の整備を設計の重要ポイントにしました」(廣瀬理事長)
パススルーのカウンターを多用するなど清濁分離を徹底させ、食材とゴミが交錯しないよう食材の搬入口から実習室に至るまでHACCPに対応した厨房施設は、専門学校としては日本初の試みです。実体験を通してHACCPの概念を習得し、お客さまの安全性確保の意識を身に付けてほしいとの思いが込められた設計です。
調理実習前室で汚れを落としてから入る実習室は、床と壁の境や溶接箇所の角をなくして清掃しやすい環境を作り出しています。調理道具は後部壁面の大型収納庫にすべて収め、机の周りには物を放置しません。使うたびに片付けることで、清潔の保持を学生の日常の中に取り込みました。

1階の検収室
1階の検収室。セキュリティーのかかった業者出入り口の先にある食材搬入スペース。業者は入り口で靴を履き替えてから入り、ここで食材を専用の大きなケースに移し替え、食品庫、冷凍庫、冷蔵庫の各保管庫へ収める。外部から来たダンボールなどの資材は、保管庫へ持ち込まない。通常は学生も立ち入ることはないエリアである。
1階にある食品専用エレベーター「ダムウェーター」
1階にある食品専用エレベーター「ダムウェーター」。保管庫のすぐそばにあり、取り出した食材は直ちに各調理実習室へと運ばれる。ゴミ専用のダムウェーターもあり、食材とゴミが交錯することはない。
1階の保管庫の扉
1階の保管庫の扉。保管庫に入ると、食材を搬入する扉の反対側に、食材を取り出す専用の出入り口がある。写真は教職員や学生が食材を取り出す非汚染エリアの搬出扉。このエリアは清濁分離を特に徹底させ、汚染エリア(搬入口)と非汚染エリア(搬出口)を明確に分離。専門学校でここまでの配慮をした設備はないだろう。
1階にあるシミュレーションレストラン「S-アイリス」のオープンキッチン
1階にあるシミュレーションレストラン「S-アイリス」のオープンキッチン。裏手にある厨房や3階の実習室で仕込みをし、このオープンキッチンで仕上げる。レストランは36席、多い時には100食のランチが出るという人気ぶり。2年コースの2年生が担当し、フランス・イタリア・日本・中国の各料理を交代で提供している。授業の一環であるため、営業は2週間ごと不定期。

3. 最新の設備は生きた教材

各実習室は近年の厨房ニーズである3C(クール、クリーン、コントロール)に対応できるよう、ガスをメインとしつつ一部にIHを組み合わせています。「IHは同じ温度で調理するには適していますが、炙ったり、フランベしたりするのはガスの火でなければできません。ですから適材適所といいますか、調理によって最適な熱源を使えるようにしています。使用法習得の意味合いも込めてIHを一部に導入していますが、目で見て調整できるガスコンロのよさは格別なので、フタを着脱してヒートトップになるコンロを設置(西洋調理実習室)するなど、火の効力を最大限に活用しています」(廣瀬理事長)
フードスタジオ(階段教室)の厨房にも、中国料理用のガスバーナーにヒートトップ用の鉄板を重ねた兼用コンロや、脚が土台と一体化したサラマンダーなど、こだわりの特注品が組み込まれています。舞台に立つ学内講師や有名シェフの手元は大画面モニターに映し出されるので、ここでは一流シェフの技を間近で体験できるようになっています。
各実習室同様、1階にあるシミュレーションレストラン「S-アイリス」も最新の設備を供えています。まるでホテルのレストランのような設備の充実ぶりに驚かされますが、「このような設備を使うことで講義が生きてくる」(廣瀬理事長)といいます。レストランの開業計画としてメニューのプランニング、原価計算、調理、配膳、収支計算までのすべてを行い、生きた勉強が行えるレストラン実習は、学生たちだけでなくそこを訪れる地域の人々にとっても貴重な空間となっているようです。

5階の日本調理実習室
5階の日本調理実習室。教室中央のレンジ台にはガスコンロが10口と、2口のIHコンロが組み込まれている。メインはガスを使用し、一定温度での調理はIHでと、調理ごとに使い分けられている。ガスコンロの五徳もオリジナル仕様だ。
6階の中国調理実習室
6階の中国調理実習室。強力な火力を備えている中華レンジのかまどは、1枚の板金から作られたもの。直接、鍋へ注げる首の長い蛇口も特徴。奥の赤い壁は、後部壁面を利用した大型収納庫。ここへすべての調理器具を収納する。
6階実習室の排気フード
6階実習室の排気フード。各実習室とも、排気フードは天井埋め込み型を採用。教室中央のレンジ台の真上に配され、師範台からの視線を遮らないよう可能な限り高くしてある。その結果、実習室の空間に広がりが出ている。
8階フードスタジオのコンロ
8階フードスタジオのコンロ。左側は中華用コンロにヒートトップ用の蓋を重ねたフレキシブル対応のコンロ。右側はきめ細かい温度調節ができるIHコンロ。この舞台で料理の仕上げをする。仕込みなどは裏手にある厨房で行っている。
8階フードスタジオのサラマンダ
8階フードスタジオのサラマンダ。調理台と一体化したサラマンダの脚。溶接部分に汚れが溜まらない衛生的な作り。角をアールにすることで、清潔な環境を保つ工夫は至る所で見られる。例えば、キャビネの中や、床と壁の境なども湾曲していて、掃除がしやすい。
8階フードスタジオの全景
8階フードスタジオの全景。座席がひな壇状のフードスタジオ(階段教室)。130名を収容するこの教室はモニターも完備し、まさにキッチンスタジアム。有名シェフの実演をはじめ、シアターとしても活用されている。
1階「S-アイリス」の客席から見た厨房
1階「S-アイリス」の客席から見た厨房。カウンターで囲むように造られたシミュレーションレストラン「S-アイリス」のオープンキッチン。手前には客席が並び、ガラスの奥は学校の正面ロビーという具合。まさにオープンで、一挙一動を見られる中、学生たちは調理をし配膳をすることで、生きた実習を体感している。
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