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先進ガス厨房事例 医療法人財団 織本病院

DATA
[所在地]
東京都清瀬市旭が丘1-261
[HP]
http://www.orimoto.or.jp/
[開設年月日]
昭和27年(厨房改修:平成19年11月)
[規模]
ベッド数:116床、外来数:約200名/日
[厨房の面積]
160.25m2(内訳/主厨房:調理室・下処理室等94.97m2、洗浄室等30.05m2、事務室11.03m2、調理指導室24.20m2
[設計・施工]
日本給食設備株式会社
[1日の食数]
約120食(朝・昼・晩/外来含む)
[主なメニュー]
嗜好と病状に合わせた病院食(約80種類のメニュー展開。赤飯、焼きたてパンなど定期的なお楽しみメニューも提供)

衛生管理とコミュニケーション効果を高めるゾーニングの工夫とは?

織本病院

織本病院の設立は昭和27年。内科、外科をはじめとする9つの診療科目をもち、人口透析・リハビリ施設等も備える一般急性期病院・救急指定病院です。さまざまな点から患者様に満足していただける医療を実践するこの病院では、厨房環境の充実を図って平成19年に改修を実施、患者様の嗜好に100パーセント応える病人食づくりに積極的に取り組んでいます。

厨房レイアウト

1. 「涼厨」導入でスタッフの意欲が向上

「改修前の厨房は臭い、汚い、暗いで3kの職場と言われ、暑さから調理師たちは、汗疹にも悩まされていました。働く環境が悪いと、根気がなくなったり集中力が欠けてしまいがちですが、改修後は涼しく、働きやすくなって調理師たちに明らかに変化が起きてきました。患者様や看護師からの要望にきめ細かく対応し、安全でおいしいものを提供したいという調理師のプライドが向上してきたように思います。」と栄養科科長の松元紀子さん。
今回、「涼しい厨房機器」と適切な換気設備の導入で、厨房内の温湿度がスタッフも驚くほど低減。またさまざまな作業軽減を促す設備の工夫で働きやすさが向上し、確実に現場の働く意欲も高まりました。

ガススチームコンベクションオーブン、ガス回転釜、ガス立体炊飯器
ガススチームコンベクションオーブン、ガス回転釜、ガス立体炊飯器
機体に空気の断熱層を設けるとともに、燃焼排気を後方から集中排気することで、機器から発生する熱そのものを大幅に低減。また以前は換気設備が不十分で油煙などが漏れて不快だったが、今回は適切な換気設備を配置し、快適な厨房環境を実現している。
クリーンルーム
クリーンルーム
細菌を厨房内に持ち込まないための設備ではあるが、風を受ける約10秒間はスタッフの気持ちを切り替える効果もある。清潔区域と汚染区域の違いを明確に意識させるのに役立っている。
悪臭をシャットアウトする排水設備
悪臭をシャットアウトする排水設備
衛生面も考慮し、厨房のどこからでも排水しやすく、床の水洗いが容易になった。またゴミ受けの清掃もしやすく悪臭もなくなった。
働きやすくする工夫
働きやすくする工夫
(左)洗浄室と下膳室を仕切るアクリル製のはね上げ式窓。調理補助員は60代女性が中心であることを考慮し、軽くて扱い易い形状のものを採用。(右)珍しい冷蔵ショーケースだが、在庫が一目で把握できるので重宝されている。

2. ガスコンロできめ細かな個食調理

患者様ひとり一人の病状や嗜好に合わせる病院食は、「給食」とは呼べない側面があります。栄養士によって準備された「配膳指示表」に従い、朝食づくりが行われますが、そこで活躍するのはガスコンロです。鍋の大きさも火加減も自在に調整でき、少量多種の調理に威力を発揮。ここでは、一度に調理できるものはスチームコンロや回転釜で、個別の調理が必要なものはガスコンロで行い、大量調理と個食調理をバランスよく組み合わせています。患者様の嗜好や病状に合わせ、きめ細かく対応できるガスコンロは調理性にすぐれ、個食調理には欠かせません。

ガスコンロ(6口)
ガスコンロ(6口)
個食づくりで活躍するのがガスコンロ。30〜40食という規模ながら6口を備え、少量多種の調理にも対応している。
温冷配膳車と食札
温冷配膳車と食札
温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供できる温冷配膳車を活用。各膳は、患者様の禁止食品や好みなどが記入された食札で管理されているため、複雑な配膳でも容易にできる。

3. ガラス越しのコミュニケーション効果

病院厨房の基本は衛生管理です。汚染区域と清掃区域を仕切り、人や食材の流れを交差させないことが重要ですが、厨房が孤立してしまうデメリットもあります。一方で、行き届いた病院食づくりの実現には、栄養士・看護師・調理師の相互コミュニケーションが欠かせません。
「改修前は、衛生性は高くても厨房が孤立しがちでしたので、今回、外からも現場が見えるガラス窓を採用しました。」
事務室と調理室の壁をガラスで仕切り、アイコンタクトやマイクロホンで意思疎通がいつでも容易にできるようにしています。調理師は食材の大きさやメニュー等をガラス越しに看護師に見せて直接確認でき、チーム力も高まるというメリットも生み出しました。

コミュニケーションを円滑にする工夫
コミュニケーションを円滑にする工夫
調理室と事務室とその間の通路は、大きなガラス面で仕切られ、外から調理の様子が伺える。患者様の状態を知る看護師と調理師が直接やり取りできるガラス越しのコミュニケーションは、衛生管理の徹底による孤立厨房の課題を解決してくれる。
洗浄機いろいろ
洗浄機いろいろ
食器洗浄機の熱源には蒸気を採用している。熱源を1つに絞らないことで、災害時のリスク回避にもつながる。また箸洗い専用に超音波洗浄機も導入している。
衛生管理の工夫
衛生管理の工夫
(左)下膳専用のワゴン。下膳室で丸洗い・乾燥できる。
(中央)床の清掃を容易にするため機器の脚を高くしている。
(右)床と壁の立ち上がりをR加工にすることで、ゴミが溜まりにくく、清掃も簡単。床の材質も滑りにくいものを採用している。
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