地域冷暖房

街区レベルで複数建物の冷暖房を一括して担い、エネルギー利用の高効率化を図る事業。

サービス詳細

環境性、省エネ性、経済性など、導入効果が高いシステムです。

高い省エネルギー性

効率の良いエネルギー利用
エネルギー使用パターンの異なる複数用途のビルにエネルギーを供給するため、負荷の平準化や機器容量の低減が図れ、さらにガスコージェネレーションシステム(コージェネ)の廃熱の有効利用が可能となって、燃料も節約できます。また大型高効率機器の採用や機器の群管理制御により、高効率運転が可能です。
未利用エネルギーの活用
自然エネルギーや、都市廃熱等の未利用エネルギーを有効活用することにより、エネルギー消費の低減が図れます。

高い経済性

省力化

建物ごとの熱源設備が不要となるため、一定の資格を持つ主任技術者や運転管理要員の配置を効率化できます。

スペースの有効利用

建物ごとの熱源機や冷却塔が不要となり、スペースの有効利用が図れます。

容積率の緩和

プラントを設置する建物には、プラント面積に相当する容積率が緩和されます。

高い環境保全性

地球温暖化防止

省エネ効果により、一次エネルギーを削減することで、CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出を抑制することができます。

大気汚染対策

高度な排出削減設備や運転管理によって、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)の排出量が減少し、大気汚染防止に貢献します。

ヒートアイランド対策

地域エネルギー供給は高効率で廃熱量が少なく、水冷方式を採用しているため、都市部のヒートアイランド対策として有効です。

高い信頼性・安全性

熱の安定供給

専門のオペレーターが24時間体制で管理・運用している地域エネルギー供給は、運転保守管理も万全です。

都市災害の防止

建物ごとの熱源設備が不要となるため、火災・震災時の被害のリスクなどを軽減することができます。

その他

都市美観の向上

各建物では、煙突や冷却塔が不要となり、建築構造的に有利になります。設計上も自由度が増し、都市美観の向上に貢献します。

地域冷暖房の歴史と日本での導入

地域冷暖房は、19世紀末のドイツ・アメリカで発電廃熱を利用した地域暖房としてスタートしました。その後、環境対策や省エネ、省スペース化にも貢献するエネルギーインフラとして世界各都市で導入・普及が図られ、140年近くの歴史を刻んでいます。わが国では、1970年代に高度経済成長による大気汚染対策として導入されたのを端緒に、省エネ効果などの環境保全性、スペースの有効利用・省力化といった経済性、専門スタッフによる運転管理を通じた供給信頼性などが評価され、普及が進みました。東京ガスグループも1971年から、新宿新都心地区をはじめ数多くの地区の導入・運営に携わっています。

地域エネルギー供給推進施策

地域エネルギー供給の位置付け

地域エネルギー供給は、熱供給事業として、エネルギー事業の中で電気・ガスに次ぐ第三の公益事業として位置づけられているほか、多くの自治体で地域冷暖房推進のため、条例や指導要綱、指針が制定されています。
「第四次エネルギー基本計画(2014年)」や「長期エネルギー需給見通し(2015年)」では、天然ガスの重要性や、コージェネを含めた面的な熱電供給促進のための取り組みを強化することが明記されています。

天然ガス利用の促進

『各分野における天然ガスシフトが進行する見通しであることから、その役割を拡大していく重要なエネルギー源である。また、地球温暖化対策の観点からも、コージェネレーションなど地域における電源の分散化や水素源としての利用など、利用形態の多様化により、産業分野などにおける天然ガスシフトを着実に促進する。』

「エネルギー基本計画(2014年4月)」より

都市や街区レベル等でのエネルギー利用最適化

『廃熱回収・再生可能エネルギー熱を含む熱利用の面的な拡大など、地産地消の取組を促進する。(2030年までに)コージェネレーション(1,190億kWh程度)の導入促進を図る。』

「長期エネルギー需給見通し(2015年7月)」より

熱供給事業に対する主要法令

熱供給事業は事業の許認可に関する熱供給事業法、都市開発の観点から都市計画法等、関連法令により推進されています。

法律 所轄官庁 主な内容
熱供給事業法 経済産業省
  • 需要家利益の保護、事業の健全な発達、熱供給施設の維持運用規制による公共の安全の確保
  • 事業登録制
都市計画法 国土交通省
  • 第11条のその他の供給施設として、都市施設に位置づけ
  • 都市計画が決定されたものについて必要がある場合は道路占用について配慮
道路法
  • 熱供給導管は、第32条の「ガス管その他これに類する物件」に位置づけられ、道路に敷設する場合には道路管理者からの占用許可が必要
  • 関連通達において、熱供給導管はその公共性等に鑑み、政令で定める基準に適合するときは、原則として占用許可を与えるとされている
建築基準法
  • 第52条14項1号の容積率緩和を受けることが可能
自治体による条例・指導要綱・指針

東京都では2009年に「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」を改正し、第二節の五「地域におけるエネルギー有効利用計画制度(第17条の2~23)」において、大規模開発におけるエネルギーの有効利用を推進し環境負荷低減を図る観点から、特定開発事業者(新増築する建築物の延べ床面積5万m²超)に地域冷暖房導入検討義務を課すとともに、知事による地域冷暖房区域の指定、区域内での建築主等に熱供給の受入検討義務を規定しました。このような地域冷暖房計画推進に関する指導要綱・指針は横浜市、浜松市、名古屋市、大阪府の各自治体でも策定されています。

主な公的助成制度
経済産業省 ネット・ゼロ・エネルギー実証事業
エネルギー使用合理化等事業者支援補助金
再生可能エネルギー事業者支援補助金
地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金
環境省 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
地方公共団体カーボン・マネジメント強化事業
L2-Tech(先導的低炭素技術)導入拡大推進事業
再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業
国土交通省 サステナブル建築物等先導事業
既存建物省エネ化推進事業
災害時業務継続地区整備緊急促進事業
東京都 スマートエネルギーエリア形成推進事業
神奈川県 分散型エネルギーシステム導入事業

※掲載されている助成事業等については、2016年度現在での当社調べによりますので、今後事業内容等が変更になる場合があります。各事業の詳細については各省庁・各団体ホームページ等にてご確認ください。

関連リンク