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- Case2:東京ガス中原ビル
再生可能エネルギーを活用したガスシステムの実現と普及促進をめざし、太陽熱集熱器で集めた熱を、夏は冷房、冬は暖房に有効活用する「ソーラークーリングシステム」の実証試験を、2009年4月から中原ビルでスタートしました。
*ソーラークーリングシステム:太陽熱を利用した業務用空調(冷房・暖房)システム
実証試験の目的
- 最適なソーラークーリングシステムの検証
複数の集熱器を導入することで、最適なシステム設計・制御を検証 - システムの省エネルギー性・環境性を評価
デモプラントでの評価を通して、ソーラークーリングシステムの有効性を確認
システム概要
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高効率太陽熱集熱器
- 高い集熱効率(50~60%)の真空ガラス管形太陽熱集熱器
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ソーラーナチュラルチラー(ソーラー吸収冷温水機)
- 太陽熱を優先利用し、不足する場合はガスでバックアップ
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太陽熱と空調負荷を統合するオリジナル最適制御
- 変化する気象条件と空調負荷の変動に同時に対応し、システムの省エネルギー性と安定性を実現する最適制御
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システム最適設計
- 設置面積の最大化と設置コストの削減を実現する太陽熱集熱器の配置
- 放熱防止や安定した運転確保を重要視した配管
- 蓄熱タンクを不要とし、放熱ロスの低減を図る
システムフロー
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ソーラークーリングシステムの特徴
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高効率太陽熱集熱器
冷房利用に必要な80℃程度の高温水を高い集熱効率で取り出す真空管式太陽熱集熱器の中で、集熱効率が世界最高水準*1である50-60%*2クラスの性能を有するとともに、低コストの太陽熱集熱器を採用。
中原ビルにおける合計の集熱面積は約204m²であり、ピーク時に見込まれる集熱量は約108kW。太陽熱集熱器で集められた熱は、冷房時はソーラーナチュラルチラーによって冷熱に変換され、暖房時は暖房用熱交換器により温熱に変換される。- *1)2011年3月 当社調べ。
- *2)日射量に対する集熱量の割合。日射強度1kW/m²において、取出し温度と周囲温度の差が35℃条件での総面積基準(JIS)の数値。
中原ビルでの設置状況
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ソーラーナチュラルチラー
ナチュラルチラーの駆動熱源に太陽熱温水を利用することで、ガス消費量を削減。太陽熱の利用を優先して運転するため、最大限の省エネルギーとCO2排出量を削減することが可能となる。
この機器は、コージェネレーションシステムの廃熱利用機器として開発されたナチュラルチラーである「超省エネルギー型ジェネリンク」をベースに、太陽熱の利用を最大化するようソーラークーリングシステムにカスタマイズされたもの。屋外パネル組み立て前の外観
設置外観
中原ビルのソーラーナチュラルチラーの仕様
種類 | ソーラーナチュラルチラー |
---|---|
冷房能力 | 422kW(120RT) |
定格冷房COP(太陽熱無ガスだき単独時) | 1.35(HHV基準)、1.50(JIS基準) |
定格冷房COP(太陽熱ピーク集熱時*1) | 1.70(HHV基準)、1.88(JIS基準) |
定格冷水温度 | 15 ⇒ 7℃ |
定格冷却水入口温度 | 32℃ |
台数 | 1台 |
主な機能 | 太陽熱優先利用機能、太陽熱集熱器側との連動機能 |
*1 太陽熱集熱器でのピーク集熱量108kWの場合
ソーラークーリングシステムの評価*
ソーラーナチュラルチラーでの熱利用状況
冷房に使用されたエネルギーを時刻別に示すと、10時台は太陽熱単独運転のみで冷房がまかなわれている状況が確認できる。
なお、この日の太陽熱寄与率(太陽熱で製造した冷熱量÷全冷房負荷)は45%であった。
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冷房・暖房合計の省エネルギー性、環境性
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建物概要
東京ガス中原ビル
所在地 | 神奈川県川崎市中原区 |
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構造 | 鉄筋コンクリート造、鉄骨造 |
敷地面積 | 3,930m² |
規模 | 地下1階、地上4階、塔屋1階 |
建物用途 | 事務所、ショールーム |
延床面積 | 3,878m² |