オーナーシェフに聞く「独立開業への道」
徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで ⑬
お店のコンセプトはオーダーメイド。
コストパフォーマンスが高く、
地元の方にも愛されるイタリアンを
追求していきます。
- cillic(チリック)
オーナーシェフ 本多良平 氏 - 東京調理師専門学校卒業後、フランス料理文化センターのスタジエコースを通じて、フランス・ロスコフの「ル・トン・ド・ヴィーヴル」、シャモニーの「アルベール・プルミエ」で研修を重ねる。帰国後は、フランス料理「アピシウス」、イタリア料理「リストランテ山崎」のセカンドシェフ、中野のイタリア料理店店長兼シェフを経て、2016年9月に東日本橋に「cillic」をオープン。
Part1 30歳の独立開業を目指して
独立するために、フランス料理文化センターの
スタジエコースを利用してフランスへ研修留学。
──料理人を目指したきっかけを教えてください。
- 本多
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料理好きの両親の影響もあり、子供のころから料理の手伝いをしていました。3人兄弟の末っ子で、普段はなかなか褒めて貰えませんでしたが、料理のことは褒めてもらえた。小学生のころには料理人になると決めていました。東京調理師専門学校では、西洋料理の基礎とテクニックをマスターするため、フランス料理を中心に学びました。就職先として学校から紹介されたのはホテルばかりでしたが、とにかく街場で働きたい、そして30歳までに独立したいと決めていたので、卒業後は、フランス料理文化センター(FFCC)のスタジエコースを利用してフランスへ留学しました。
──フランス研修留学で学んだことは何でしょうか。
- 本多
-
研修先には、日本人がいない厨房を希望し、ロスコフの「ル・トン・ド・ヴィーヴル」、次いでシャモニーの「アルベール・プルミエ」で修行しました。フランス人のシェフやスタッフがイメージしていたより優しく、いろんな場面で助けてくれましが、フランス語ができなかったので、最初は苦労しかなかったです。それでも、料理用語は何とか理解できたので、厨房の中ではいろいろ経験させて貰うことができましたし、オーナーは実家でのバカンスにも連れて行ってくれました。
フランスのパンの美味しさ、食材の安さ、景色のすばらしさなどが印象に残っていますが、中でもシャモニーの冬の寒さは強烈で、研修がスタートしたのは9月でしたが、「その恰好じゃ冬死ぬよ!洋服を買いなさい」とシェフに言われたのを覚えています。一緒に留学したスタジエコースの仲間とは、今でも連絡を取り合っています。
- cillicの店内。東日本橋から徒歩2分。カウンター席の奥には半個室のテーブル席も。
Part2 料理だけでなく、お店を回す経験を積む
独立するために、接客、調理、金銭管理までを
経験し、12-13席の店を一人で回す訓練を。
──独立開業までどんな修行をされましたか。
- 本多
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帰国後は、フランス料理の「アピシウス」を経て、名シェフを多く輩出しているイタリア料理の名店「リストランテ山崎」に入店し、セカンドまでつとめましたが、「30歳独立」という目標のために退社し、今度は経営や店を回転させることを学ぶため、料理も提供するバーの店長を経験しました。接客、調理、金銭管理までをこなしながら12-13席の店を一人で回す訓練をしました。食材の仕入れ先も独立を念頭において自分で勉強し、目星をつけておきました。
──物件選びに苦労されたと伺いましたが、どのような方法で探しましたか。
- 本多
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独立の夢を果たすための物件探しは、もともとの生活エリアだった高円寺や阿佐ヶ谷を中心に行いましたが、実績のない若手には、不動産屋はなかなか良い物件を貸してくれない。候補地を23区内までに広げ、ネットで探し10以上の物件を実際に見に行きました。今の店を訪れたとき、エリア的には馴染みがない場所だったのに、入った瞬間ピンときたので、すぐに契約をしました。元フレンチの居抜き物件を最低限にリフォームし、契約から3日後の2016年の9月23日にオープンしました。
- 店名の「cillic」は、桜が好きな本多シェフがイタリア語の桜「ciliegie」からイメージした造語。「また来てね」という意味を込めて、回文にするというこだわりが。お店のロゴマークやメニューも本多シェフが手掛けている。
Part3 店舗のコンセプトと運営方法
お客さまの希望に応えるための柔軟なメニュー構成、
少人数での厨房オペレーションに合った機器を選定。
──お店のコンセプトを教えてください。
- 本多
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お店のコンセプトは、気軽に来られて、オーダーメイドにも答えてくれるイタリアン。メニューは全て税込み価格なので、お会計の時に、思っていたよりも少しだけ安く感じてもらえることが多いです。料理が美味しいのは当たり前なので、お客さまには「ちょっとだけお得」と感じてもらえることを目指しています。
──メニューや定休日はどのように決めましたか。
- 本多
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基本のコースは、前菜・チーズ・野菜のロースト・自家製フォカッチャにメインの肉料理・パスタの5品ですが、常連さんやリピーターが多いので、希望があれば賄い料理でも出しますし、パスタなどは、その時に食べたいものを伺って、即席で作ることも多いです。予算に応じて料理メニューを考え、飲み放題などの要望にも柔軟に対応しています。
平日のランチ営業を木・金に限定することで、毎週、必ずどちらかに来てくださるお客さまもいらっしゃいます。定休日を月曜にしたのは、お店のある東日本橋は、昔ながらの繊維や服飾関係の問屋の多いエリアなので、日曜定休の飲食店が多いからです。近年のリノベーションによる古い建物の再利用や、新しく建築されたマンションに住む地元のお客さまが来てくれるので、日曜日は、たいてい混雑しています。
──お店づくりでこだわった点はどこですか。
- 本多
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厨房はガス厨房です。機器は、メーカーにこだわることなく、安くて使いやすいものを選びました。最初の2年はソムリエと2人のチームでしたが、今は自分1人とアルバイト。厨房内は動きやすいよう、カウンターを作り料理を出す場所と下げ場を別にして、一人でも全部行えるよう動線が工夫されています。
1~2人でのオペレーションで、頼りになるのは真空調理機と、火入れの時間と温度を管理でき食材ロスも少ないサーマルロボ(低温調理器)です。サーマルロボは肉料理も放っておけるので本当に楽ですし、誰にでも同じように調理することが出来るので便利でよく使っています。
ちなみに電気は東京ガスを利用しています。キャンペーン期間中にライフバルに見積りを出してもらい、シンプルに安いと感じたので切替えました。ガスと電気の請求が一緒なのが楽でよいですよね。月々の使用料がわかる「見える化サービス」を使っていますが、自分でエクセル管理も行っています。
──これからの目標をお聞かせください。
- 本多
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2019年の9月に3周年を迎えました。最終的には5店舗くらいまで増やすのが目標で、とりあえず次のステップとして、近くにもう1店舗オープンしたいと思っています。それにはまず人探し。技術よりも、まずチャレンジ精神旺盛な人を求めています。若くしてオーナーになった自分の経験や、少人数での厨房のオペレーションのコツなども伝授し、いずれ独立希望の人は応援していきたいと思っています。
- cillic(チリック)
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- [所在地]
- 東京都中央区東日本橋2-11-3 1F
- [TEL]
- 03-5825-4379
- [営業時間]
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- 火~金/
- Dinner 17:30~23:00(L.O 22:30)
- 土・日・祝/
- Lunch 12:00~15:00(L.O 13:30)
Dinner 17:30~23:00(L.O 22:30) - 木・金/
- Lunch 11:45~14:00(L.O 13:30)
- [定休日]
- 月曜日(祝日の場合は火曜日)