厨房談義[第6回] 見せる厨房設計 「オープンキッチンを成功させるためのプランニングのポイント」
フードビジネスコンサルタント
塚本貞省
──キッチンがオープンになると働く人は見られているというプレッシャーも大きいでしょうね。 塚本 もともとオープンキッチンそのものの役割は、我々の調理に対する姿勢を見てくれ、我々を信用してくれ、不衛生でいいかげんな扱いはしませんと、相撲でいうかしわ手を打ってチリを切るのと同じ意味です。今までのようにキッチンの中で気を抜いたり、誰も見ていないからと休むようなことはいっさいできません。辛い、疲れるというのはコックとしては避けられない条件であり、周りから見ていようといまいと普通に振る舞えるようにならないといけません。オープンスタイルだからと、常にプレッシャーがかかっているようではおかしいと思います。この仕事を選んだからにはどんなに辛くても汗水たらして誠心誠意働き続けるぞ!という位の気概が求められます。お客様は1000円の料理の原価は1000円だと思っていない。200円か300円のものを加工して売っていると思っています。原価の3~4倍で買ってもらうためには、それくらい一生懸命に努力している姿勢を示さなければお客様の心を打たないということです。 |
──いい厨房作りのためのアドバイスをお願いします。 塚本 フードサービスは、まず店で働く人達がいかに楽しんで仕事ができるか、です。料理を創るのも楽しい、サービスするのもゲストと会話するのも楽しい、お客様もそういうお店だからおいしく楽しく食べることができるので、また行ってみよう、ということで流行ります。そのためにはキッチンは効率が悪いよりいい方がいい。テーブルの配置に至るまで、バランスよく機能できるような仕組みを作ることが重要です。 |