厨房談義[第12回] お皿はキャンバス 「ガスを駆使して、ひと皿にアートを描く」
リストランテ アルポルト
シェフ 片岡護氏
──デザイナーから料理の世界に方向転換ですね。 片岡 お皿はキャンバスで、料理はお皿の上に描くデザインだと思います。例えば工業デザインにしても形だけでなく機能も備わっていないといけない。総合的にすぐれていることが基本です。同じように、料理も見た目がきれいだけでなく、味もいいし、栄養のバランスもとれていて、それでいてきれいな盛りつけが理想です。そういう意味ではデザインの勉強していたことが役立ったことは確かですね。料理はアートですよ。 |
──調理は主にガスを使っていらっしゃいますね。
片岡 僕はガスが好きですね。炎を自在に操って料理を作る、それができるのがガスの魅力です。最近、ガス機器も機能がすごく発達して充実してきましたね。タイマーがついてつけっぱなしになったらポンと自動的に切れるとか。ガスの火は水蒸気をふくんでいるので、ローストビーフはしっとり、やわらかく焼き上げることができますし、ピザも薪で焼くよりおいしく焼けるという人もいます。フランや茶碗蒸しのような料理にも適していますね。ふんわりとできます。アルコールを飛ばすフランベもガスの炎でなければできません。そういう意味では火力の強さや炎を活かしたダイナミックな料理ができるのがガスのメリットです。一方、水分をとってカリッとさせたいお菓子は電気式オーブンを使っています。 |
|