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厨房談義[第18回] 何よりも自分自身が「食を楽しむ」ことが大事 「食の大切さを知ってもらうために、固いイメージの"栄養"をPOPで明るく伝えていきたい。」

管理栄養士/料理研究家
森崎友紀 先生

Subject3 正しい栄養の知識をしっかり伝えたい

──今ではメディアを中心に様々な分野でご活躍中の森崎先生ですが、あらためて「食の大切さ」とは何だとお考えでしょう。

森崎

最近は食にまつわるテレビ番組も多くなり、様々なダイエット法も紹介されていますが、知識がないまま単品ダイエットなどを始めると健康に悪影響を及ぼしかねません。人間は飢餓に備えて機能が働くようにできていますから、無理なダイエットをするといずれリバウンドがくるもの。最悪のケースで言えば、拒食症と過食症を繰り返す悪循環を生んでしまいます。栄養バランスがとれてこその健康ですから、簡単でもいいので栄養の知識を持つことがいかに大切かをしっかり広めていきたいと思っています。

──栄養の啓蒙も含めて料理教室の活動もなさっている森崎先生から見て、どのような厨房環境が理想ですか。

森崎友紀 先生

森崎

実は私はずっとガス派なんですよ。弱火中火といった加減は、誰でも炎を見れば判りますから明快です。例えばトマトの皮むきも、お湯に入れて湯むきをしなくてもフォークをさしてガスの火であぶれば簡単に皮がめくれる。だから、ガスのほうが料理は正確で楽だというのが私の持論です。ガス厨房は熱いと思われがちですが、魔法瓶構造など最近では厨房環境が進化しているそうですね。特に病院の調理場はそうとう熱がこもりますから、改善できれば働く側としては体力の温存につながると思います。

Subject4 自信を持って、自分自身が楽しんで

──最後に、現在進行形で食を探求し続けている森崎先生から、病院で働く管理栄養士・栄養士の方々にメッセージをお願います。

森崎

人に与える影響がとても大きい分、本来ならばもっと自信を持って取り組める仕事だと思っています。また、忙しくて大変でしょうが、患者様とのコミュニケーションはできるだけ多くとって欲しいな、と。料理は「愛情表現」そのものだと思うのですが、愛情を込めるには、相手がどんな人でどんなものに興味があるのかを知ることが大事ですし、知っている相手のことを考えながら料理すれば、自分自身も楽しめるはず。何より、患者様から見ても知っている人が作った料理なら、私のように捨てられるようなことにならないと思うんですよ。
コミュニケーションを図るきっかけとしては、相手が求めている情報を提供するのがおススメです。例えばサプリメントを摂れば安心だと思っている人には「食べ物で10、サプリメントで100の栄養価があったとしても、吸収するのが食べ物は10、サプリメントは5ならば、食べ物のほうがいいでしょ?」といった情報を提供すれば、食の大切さに気付いてもらうこともできますよね。
「健康」や「栄養」という言葉には固いイメージがあるので、私はそれをPOPで明るく伝えていきたいと思っています。皆さんにもぜひ「栄養」を明るく伝えて欲しいですし、笑顔でコミュニケーションをとるには、自分自身が美味しいものをたくさん食べて"食を楽しむ"ことが一番です。

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