導入事例

業種
学校法人
導入企業
宮城県工業高等学校様

JoyWatcher初の学校教材としての導入
最先端の環境で即戦力の人材育成を目指す

概 要
企業現場では当たり前のシステムとして普及しているSCADAシステムを学校教育現場でも導入し、最新の技術を生徒に学んで欲しいという思いから、JoyWatcherをご導入いただいた事例です。
JoyWatcherを実習に取り入れることで、生徒たちの興味の持ち方が変わり、授業に熱心に取り組むようになりました。

インタビュー内容

物作りを軸に、即戦力の人材を送り出したい

 「最近、企業の就職担当者の方から、明るく、元気で、素直な人材を、と言われることが多くなっていました。学校で教えられることには限界があり、基礎学力が中心にならざるをえません。しかし、やはり物作りの即戦力となる力を付けて送り出したいというのが私たち教員の思いなのです」と開口一番、宮城県工業高等学校生徒指導部部長の丹野高雄先生は語る。教員歴20年以上のベテラン先生だ。
 とはいえ、基礎をないがしろにするわけにはいかない。「基礎学習は生徒にとってそれほど大きな魅力となる授業ではなく、実習の方が魅力的なのだと思います。しかし、どこまでが基礎なのか、という切り分けの問題を除いても、やはり魅力ある授業で生徒に力を付けたいと考えていました」(丹野先生)。
 しかし、学校現場は、一般の人が想像する以上に予算に限りがあり、工業高等学校のように、実習や実験など、費用が掛かる授業を組み立てるのはそう簡単なことではない。こんな教材を使いたい、こんな設備を導入したいと考えても、それほど簡単に物事は進まないというのが現実なのだ。そんな状況の中、先生方の目にとまったのが文部科学省と経済産業省による事業、クラフトマン21であった。
 「文部科学省と経済産業省が連携した事業のことを知り、応募しました。ここでSCADAソフトに出会うのです。SCADAシステムは通常信号ハードウェア(入出力)、コントローラー、ネットワーク、ユーザ・インターフェース(HMI)、通信設備およびソフトウエアを含んでいますが、私たちの電子機械科にはピッタリの素材だと思ったのです。これが授業で使えないだろうか、と考えたのがスタートでした」とは、同校電子機械科科長の加藤進一先生。
 物作りの空洞化が大きな問題となっている日本。このまま空洞化が進めば、米国の二の舞になってしまう。企業でも空洞化を防ぐための活動を行っているが、この活動にはものを作れる人材が必要不可欠となることは誰が見ても明らかだろう。国が音頭を取って物作りの人材育成を始めようというのがこの事業の骨子であることを考えれば、乗らない手はない。ことに工業高等学校ではなおさらのことだ。
 そんな状況の中、丹野先生、加藤先生の前に現れたのが、20年以上も、同校の実験設備や、IT関連の機器を納入していた(株)エンジニア・サイエンス社であった。両先生は、クラフトマン21応募の件を含め同社と協議を重ねることで、JoyWatcherと出会うことになる。
 宮城県内でも複数の学校がクラフトマン21に参加しているが、事業開始当初から取り組んだ所に宮城工業高等学校の先進性が見て取れる。

礼儀正しい生徒の学舎、宮城工業高等学校

 ここで話が横にそれてしまうが、学校を紹介しておこう。工業高校の性格から女子生徒が少ないことは予測される。6時限目の授業が終わるとそれまで静まりかえっていた廊下に人の気配が。しかし、騒がしいということではない。職員室に入るときには学年氏名と先生の名前を話し、許可を得て入室する。
 廊下で生徒とすれ違うと全員が「こんにちは」と外来者に笑顔で声をかけてくる。実に気持ちがいい。いかにも物作りに携わる集団といった雰囲気が漂ってくるから不思議だ。
 創立から100年を超える大変歴史のある学校で、普通校でいえば、ナンバースクールに該当する高等学校なのである。昔は質実剛健を絵に描いたような学校だったのではないだろうか。質実剛健というとバンカラ、教室は汚い、と相場が決まっていたが、校内も、教室内、実習室内も大変にきれいである。整理・整頓が当たり前の製造現場がそのまま学校の中に持ち込まれている印象さえ受けるのである。
 「自主性を重んじることは大切だと思います。しかし、自主性を重んじるということと、放任するということの違いをしっかり認識していないと、人材育成は難しいでしょう」(丹野先生)。

子どもたちの目の色が変わった実習授業

 物事何でもそうだろうが、最初の5分が重要とはよく言われる。企業のプレゼンテーションなども、最初の5分でどれだけ聴衆の耳目を集めることができるか、ということである。授業のつかみがきちんと押さえられれば、後の授業は順調に進められることを考えると、加藤先生が新しい仕組みを授業に取り入れたいと願ったのもうなずける。
「今の生徒のほとんどは、自宅にパソコンを持っています。プログラミングやインターネットに関しての能力は、私たち教師をしのぐ生徒もいるのです。そのような状況の中、JoyWatcherを使っての授業が開始されました。授業を始めて一番変わったことは、生徒たちの興味の持ち方です。JoyWatcherのたった1つの機能しか利用していない授業ですが、自動制御や自動監視装置の面白さに画面に食い入るように見ているのです」(丹野先生)。
 グラフィックにデータを表示するJoyWatcherが生徒の指向とピッタリ合ったということなのだろう。指導する先生よりも生徒の方がすんなりとJoyWatcherの世界に入っていくことができたのかもしれない。
「今まではタイマ、カウンタ程度しかありませんでした。しかし、JoyWatcherを使うようになって、グラフィック処理だけでなく、集めたデータを分析するという新しいカテゴリーを授業に盛り込むことができるようになったのです。このような新しいことに対して積極的な生徒は習得も早いし、授業態度も熱心ですね」と両先生が口をそろえて語る。

先生に夢を与えてくれるのが生徒

 丹野先生は「私たちに夢を与えてくれるのが生徒なんです」と言い切る。丹野、加藤先生が今描いている夢は、生徒達の発想に学びながらJoyWatcherの適用範囲を広げること。初年度は温度を監視対象としての授業とし、2年目以降、さらに監視対象を増やした実習を導入した。電子機械科の卒業生の多くはシーケンス系のメンテナンス企業への就職者が多いという。
 コンピュータ制御では、ドライバがいつも問題となる。OSが変わるとドライバが動かない。PLCは使えるのに、といった状態である。しかし、JoyWatcherが使えるようになれば、このような問題に頭を悩ませる必要もなくなる。見方を変えれば、PLCが分かる人材は、SCADAを導入している企業にとって、即戦力に近い人材ということになる。両先生が望んでいた「即戦力の人材育成」が実現されるということでもある。
 「生徒の柔軟な発想があればJoyWatcherを活用していろいろなものを作るといった課題研究も可能になります。近い将来、ISO14001取得を目指せるように、部屋の温度を監視し、ドアや窓の自動開閉システムを作り出す生徒が出てくるのではと期待しているのです」と丹野先生は語る。
 JoyWatcherに慣れた生徒たちが将来企業に入ってどのように物作りに取り組んでいくのかをしっかりと見届けたいと思うのは、丹野、加藤先生だけではないだろう。

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