独立開業すると、多くの想定外の出来事が。
自分のカラーは徐々に出していくのがベター。
──これから独立開業を目指す方へ、アドバイスをお願いします。
- 小倉
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オープンする前は、夢があり、すべてうまくいくように思いますが、実際やってみると想定外のことばかりでした。メニューにしても、最初は誰もやっていないことや、凝ったことにも挑戦したのですが、受けは良くありませんでした。これまで自分がやってきたことで、お客様が普通に「これ、うまいやん」と思っていただけるメニューを最初はお出しすべきでしょう。自分のカラーは、徐々に出していったほうがよいと思います。
また、メニューばかりを考えていると、他のことで足を引っ張られます。たとえば、仕入れ先の締め日と支払日を同じ日に固めてしまうと、1日の支払額が非常に大きくなってしまいます。だから分散させる必要があるのです。ポイントカードを作ったりする工夫も必要でしょう。そういう経営全般にも目を配るひとが大切です。
それから、自分が使いたい食材は、ほとんど使えないと思ってください。普通の人が考える食材は、肉関係でいうと、牛、豚、鶏しかありません。でも、自分はやはり本格的なフランス料理を作りたいので、オマールエビを使いたいと考えたとします。しかしオマールエビは、田舎だと1匹単位では仕入れができないので、最低10匹はみておかないといけない。でも10匹も注文がくるわけはないのです。
私はそれを解決するために、予約制を採用しています。ヨーロピアンオマールを月曜日までに予約してもらうと、土日で食べられます、というものです。これだと在庫を抱えるリスクもありませんし、お客様に「そういういい料理も出しているんやな」とわかっていただけます。
松阪牛のフルコースもお出ししていますが、これはつき合いのある業者さんにその分だけをカットしてもらうことで、私は在庫を抱えません。同時に、保存方法も勉強し、真空パックも積極的に使っています。
あとは、顧客管理をしっかりすることです。新しいものに興味のあるお客様にダイレクトメールを送れば確実に反応がありますし、その時には自分のストレス発散も兼ねて、おもしろいメニューをやってみるのもよいと思います。
最後にひとつ。田舎の場合、飲み物はまったく出ません。車で来店されるお客様が多いからです。良いワインもセラーに置いてあるのですが、自分のコレクションのつもりです。フランス料理はワインに合わせる文化の料理なのですが、田舎では食事を中心で考えていかないと続きません。私も最初はワインに合うパテをお出ししていましたが、それは飲まない人には受けがよくない。逆にご飯ものを入れてあげると喜ばれます。お酒を飲む人数は本当に少ないので、無視して考えるくらいでちょうどよいくらいだと思っています。
──たいへん参考になるお話を、ありがとうございました。
(以上の内容は、2009年8月4日に開催された「FFCCアミティエ・グルマンド/第9回お店作りセミナー」の内容を再構成したものです。)
- 創作西洋料理店 restaurant Ryu
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- [所在地]
- 三重県多気郡明和町金剛坂776-21
- [TEL]
- 0596-52-6440
- [営業時間]
- 11:30~13:30、18:00~20:30
- [定休日]
- 水曜日・第二木曜日(水曜祝日の場合翌日)