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  3. 徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (3)

徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (3) ─ 地元(地方)でお店を持つためには、 地元のお客様のニーズに合わせた しっかりとした事業計画を作ることが重要です。

Part5. 仕入れ先選定、スタッフ管理、広告の出し方

建築会社や仕入れ先との関係づくりが重要。
開店当初の広告は押さえ気味でちょうど良い。

──事業計画書を提出し、借入も実行されることになると、いよいよ準備も佳境に入りますね。

小倉

まず、店舗の設計・建築が始まります。ここで私は、お金を削りすぎて失敗しました。ちゃんとした工事ができる予算を設計し、建築関係の友人などにアドバイスをもらうなど、工夫をする必要があったと思います。また、大工さんが気持ちよく仕事をしてもらえるよう、気をつかうべきです。私も現場に頻繁に顔を出し、お昼はうなぎの弁当を届けたり、コーヒーを持っていったりと、非常に気をつかいました。

仕入先との関係も重要です。牛乳ひとつ取るにしても、いろんな仕入先があります。最初は見積もりを検討して決めますが、開店した後別の仕入先に浮気をしてしまうと、後々のつながりがなくなっていきます。顔を見て食材を分けられてしまうこともあるので、仕入先と十分な信頼関係を保つことが大切です。いつでも気軽に話せるようにしておき、たまに本部へ自分で仕入れに行くなど、良い食材を仕入れる努力をすべきです。田舎で開店する場合は、つき合いがとても大切だと思います。

──お店のスタッフは、どのように採用しましたか。

小倉

スタッフ問題には、私も苦労しました。田舎では良いスタッフを採用するのが、なかなか難しいからです。やる気がある人は、都会に行きます。あるいは大きなお店でしっかり仕事を続けています。事業を拡大し儲けを優先しようとすれば、多少不満がある人でも使っていかなければなりません。しかし、自分で正しいと思う料理を提供しようとするならば、自分で作るしかない。スタッフに多くを求めすぎてもいけないと思います。

一度スタッフに注意したところ、「レベルが高すぎる。この辺でそんな店ないでしょう」と言われたことがあります。自分が思い描く良い料理を作っていこうと思ったら、自分一人でやるつもりで小さい店にしたほうがいいのではないかと思います。

私の店は、今7テーブルが精一杯です。スタッフは、いてくれるだけでありがたいという感じです。ちゃんと休憩を取らせてあげて、暇な日は早く帰してあげる。そういう考えでないと続きません。田舎では、その辺を肝に銘じることも必要だと思います。

──開業にあたって、当初、広告などは出されましたか。

小倉

オープン時に大々的に広告出して、たくさん花もいただいて開店する、というやり方もありますが、私は「隠れてオープン」する方を選びました。オープンすると、一時お客様が殺到します。しかしお店のオペレーションが追いつかないと、苦情が出ます。一見繁盛しているように見えても、長い目で見た場合、「待たされた」とか「料理が出てくるのが遅い」という苦情があれば、お客様は離れていくのです。

私は「プレオープン」という期間を置き、2カ月後くらいに大きく「オープン」と言おうかなと思ったのですが、プレオープンが自然に口コミで広まってしまい、2カ月後にはアップアップ状態になりました。ですから、最初はなるべく広告は抑えて、お客様が入らないときに初めて広告などを出したほうがよいと思います。しっかりとした料理をお出しすれば、お客様は広がっていくと思います。