オーナーシェフに聞く「独立開業への道」
徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで ⑦
試行錯誤から誕生させた「ヒット商品」と、
感謝の心から生まれる「高い接客力」で、
「行列のできる蕎麦店」を実現できました。
Part3 蕎麦店をビジネスとして成功させる秘密とは
庶民食という蕎麦の領分を守りながら、
経験とノウハウを機械に委嘱して自動化する。
──オリジナルメニューの開発、継続的な新メニューの開発、高い接客力。その他に、平沼田中屋を行列店に押し上げた成功の秘訣はあるのでしょうか。
- 「涼厨」タイプの「そばかまど」を導入。54秒の茹で時間、湯切り、冷却まで、独自のノウハウが自動化されています。
- 鈴木
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私は蕎麦店を、趣味ではなくビジネスとして経営してきました。そのビジネスという視点が大切だと思います。
例えば、蕎麦店で最も重要な「汁」の話です。蕎麦もうどんも、汁が良ければ旨いのです。しかし、だからといって高価で特別な材料で汁を作っていては、ビジネスになりません。庶民食という蕎麦の領分を守るために、どこでも買える醤油・砂糖・ミリン等を使って、最良の組合せを試行錯誤から実現させていくことが必要なのです。
また当店では、蕎麦は手打ちではなく機械打ちです。手打ち蕎麦はイメージが良いのですが、誰でも同じ蕎麦を打てるわけではありません。経験とノウハウをマニュアル化し、それを機械で行えば、品質が安定します。
──厨房機器の選定については、どのようにお考えですか。
- 鈴木
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厨房機器も同様です。頑固な蕎麦職人の扱いに苦労した経験から、私は「子どもでも働ける厨房」を理想としてきました。蕎麦を茹でる「そばかまど」など常に厨房機器の最新情報を仕入れ、自分の経験とノウハウを機械に設定し、誰がやっても同じ品質になるよう心がけています。
- 店舗の屋上に設置された「ジェネライト」。発電・給湯を一手に担っています。
振り返ると、私の蕎麦職人としての試行錯誤は、いつもガスの炎とともにありました。火加減や茹で加減など、私のノウハウはガスの炎に支えられてきたとも言えます。「涼厨」タイプの「そばかまど」を導入してからは、厨房がとても涼しくなり、時代の進化を感じます。またガスで発電して、同時に廃熱を給湯に利用する「ジェネライト」を導入した時は、電気代が年間で40万円くらい安くなり、ビックリしました。
当店の立地は決して良くはありません。でも、平日は近隣の会社の方々が大勢来店されます。土曜と祝日にはわざわざ遠方からお客様がいらっしゃいます。昼食時には行列ができてお待たせしてしまい申し訳なく思っていますが、これこそが私が夢見ていた光景です。店の経営は、息子が四代目主人として継いでくれました。夢は見るものではなく実現させるものである、という言葉を、いま深く噛みしめています。
- 平沼 田中屋
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- [所在地]
- 神奈川県横浜市西区平沼1-5-21
- [TEL]
- 045-322-0863
- [URL]
- http://www.soba-udon.jp/tanakaya/
- [営業時間]
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- 平日・土曜
- 11:00~22:00(LO:21:30)
- 祝日
- 11:00~21:30(LO:21:00)
- 定休日
- 日曜 定休、第3月曜日(祝日・12月は営業)