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厨房談義[第19回] 「炎の力」を活かし、「快適さ」を追求した厨房づくり 「中国料理の命である火力にこだわりながら、同時に涼しくて働きやすい厨房環境を目指しました。」

株式会社Wakiya 代表取締役
脇屋友詞 氏

PROFILE
株式会社Wakiya 代表取締役、日本中国料理協会 副会長。東京ヒルトンホテル、キャピトル東急ホテルなどで修行を積む。東京都立川市のホテル総料理長時代に「料理の鉄人」に出演し、鉄人を破った料理人として注目を浴びる。その後テレビや雑誌等でも活躍。テレビ朝日「食彩の王国」、NHK「きょうの料理」など出演多数。1996年に「トゥーランドット游仙境」の代表取締役総料理長に就任。1997年パンパシフィックホテル横浜中国料理総料理長も兼務し、2001年には東京・赤坂に「Wakiya一笑美茶樓」(わきや いちえみちゃろう)をオープン、オーナーシェフを務める。2010年秋、厚生労働省「現代の名工(卓越した技能者)」を受賞。「伝統と創作」をモットーに、上海料理の技を軸とした洗練された料理で、日本の中国料理界をリードしている。

2011年10月1日、脇屋友詞シェフが赤坂6丁目に中国料理「Turandot臥龍居(トゥーランドット がりゅうきょ)」をオープンしました。そのコンセプトは「朝から深夜まで、いつでも自由なスタイルでチャイニーズを」。熱々のヌードルから旬の食材をふんだんに取り入れたコースメニューまで、親しい方と気取らずに中国料理を楽しむことができます。また、同じビルの3階には、脇屋シェフの第六感で作り出す料理を個室で味わっていただける「Wakiya迎賓茶樓」も併設されています。
脇屋シェフが新店に込めた想いとは? また厨房の設計思想とは? じっくりとお話をうかがいました。

Subject1 いつでも自由なスタイルで中国料理を楽しむ

──新しいお店「Turandot臥龍居」のコンセプトを教えていただけますか。

脇屋

いつでも自由なスタイルでチャイニーズを楽しんでいただきたい、それがコンセプトです。朝はお粥を、お昼はボリュームのあるランチを、ティータイムには焼き立てのチャーシューバオやエッグタルトを中国茶とともに、夜はアラカルトをビールや紹興酒で、そして夜10時以降のミッドナイトには野菜や豆腐を中心としたヘルシーな料理を。そんな具合に、いつでも親しい仲間と一緒に、ワイワイと中国料理を楽しんでいただけるお店にしました。

──1階から3階まで、それぞれスタイルの異なるレストランになっていますね。

「Turandot臥龍居」1階はカジュアルな空間
「Turandot臥龍居」1階はカジュアルな空間
プライベートなパーティにも使える1階奥のサロン
プライベートなパーティにも使える1階奥のサロン
脇屋

はい。1階と2階が「Turandot臥龍居」です。1階は約40席のカジュアルな空間で、多彩なアラカルトを若いビジネスマンや家族連れのお客さまに気軽に楽しんでいただきたいと思っています。奥にはプライベートなパーティもできるサロンもご用意しました。2階は和・洋の宴会場となっており、比較的安価なお値段で、たくさん食べて飲んで楽しんでいただけます。また3階は「Wakiya迎賓茶樓」で、VIP向けの個室が8部屋あります。それぞれ趣向の異なる内装のなかで、様々なジャンルのエッセンスを加えた独自の中国料理を味わっていただければと思います。

──お料理の特長は、どのようなものでしょうか?

脇屋

「Turandot臥龍居」のアラカルトは、中国四大料理の伝統的な味を、五味(酸味・塩味・苦味・甘味・旨味)の調和をとりながら構成しました。上海料理をベースに、豆腐や野菜もたくさん使うのも特長でしょう。アラカルトのお皿は小さくしており、1000円前後でいろいろな種類の料理を楽しんでいただけます。ワインや紹興酒もリーズナブルな価格でご提供できますし、お茶は大陸と台湾の豊富な種類を取りそろえています。

Subject2 換気・空調にもこだわった、機能的な厨房設計

──厨房設計には、どのような工夫をされたのでしょうか?

コンパクトで機能的な厨房レイアウト
コンパクトで機能的な厨房レイアウト
キャプチャージェットフード
加熱器の上部に設置されたキャプチャージェットフード
脇屋

もっとも気をつかったのは厨房内の換気・空調システムです。中国料理には強い火力が不可欠なのですが、換気が不十分だと油の煙が充満して厨房環境が一気に悪くなります。スタッフが働きやすく、動きやすい厨房を実現するために、Halton社のキャプチャージェットフードを導入したわけです。

──厨房内のレイアウトにも気を配られたとお聞きしています。

脇屋

厨房は広ければよいというわけではありません。コンパクトで機能的な、スタッフが動きやすい導線設計が重要なのです。特に中国料理は温度が命ですから、温かい料理をすぐにお出しできるようレイアウトを工夫しました。

快適な厨房空間の実現 1

「キャプチャージェットフード」

厨房内の各種加熱器の上部には、独特な形状のキャプチャージェットフード(Halton社)が設置されています。緩やかな空気を水平(空気誘引機能)と垂直(エアカーテン機能)に送ることで、従来40℃以上だった厨房の温度を26℃前後(理論値)に抑制。快適な厨房空間を実現するとともに、省エネ・節電にも貢献しています。

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