1. 最適厨房ホーム
  2. 厨房談義トップ
  3. 厨房談義[第15回]

厨房談義[第15回] 医療現場における栄養士の役割 「これからの栄養士は、食のコーディネーターに」

学校法人服部学園 理事長
服部栄養専門学校 校長
医学博士/健康大使
服部幸應氏

Subject3 ガスだからできる微妙な火加減

──食に携わるプロとして、忘れてはならない大事なことは何でしょう。

服部幸應氏

服部

調理で大事なのは、「塩梅(あんばい)」「出汁(だし)」そして「火加減」の3つです。調味料がほとんどなかった時代、日本では料理の味は塩と梅で調えていました。味加減が良いものを「塩梅がいい」と言うようになった語源はここにあります。また、出汁には大きく分けて動物性と植物性がありますが、動物性と植物性を一緒に使うと相乗効果どころか9倍ものうまみが引き出されます。そして、こうした人間の知恵の最たるものが「料理に火を使う」という発見ですよね。
調理には、「焼く」「蒸す」「揚げる」という火加減がありますが、生(なま)も、「火を入れない火加減」の一つなんですよ。ちなみに 「料理の達人」と呼ばれる人たちには、「塩梅」「出汁」「火加減」の3つの感覚がバランス良く正三角形に備わっているものなのです。
プロが火加減を見る際、勘に頼る以上に「分かりやすいこと」がとても大事です。その点、炎が目で見えるガスはとても使い勝手がいいんですよ。電磁調理器も時には使いますが、微妙な火加減はガスでなければできないもの。「やっぱり、ガスには勝てないね」と評する料理の達人が、私の周りにも少なくありません。

Subject4 病院にも「ホスピタリティ」を

──医療現場において「食」は、想像以上に大事なものなのだと分かりました。この重要な役割をきちんと果たすために、これからの栄養士に期待することは何でしょうか。

服部

医療と食を考える時に、もう一つ忘れてはならないのが、ホスピタリティ(Hospitality)です。おもてなしの心を意味するこの言葉の語源は、中世にまでさかのぼります。巡礼者たちはホテル(Hotel)という宿泊施設に泊まりましたが、病人が出た場合、一緒に宿泊させるわけにはいかないので、病人専用の宿泊施設としてホスピタル(hospital)が作られたのです。語源をたどっていけば、ホテルにも病院にもホスピタリティが共通してあるわけですが、ホテルがホスピタリティを懸命に実践しているのに対し、病院はまだまだ果たせずにいると思います。けれど、ほっとする場所であるべき病院こそ、どこよりもホスピタリティが必要なのではないでしょうか。
病気をした時に食事をおいしく食べられると、「生きていて良かった」と感じますよね。おいしい病院食は、生きる望みをつなぐ役目を果たしている。それほど重要な仕事を担っているのですから、栄養士は従来の栄養学の枠にとどまらず、食環境創りを含めた、トータルな「食のコーディネーター」であって欲しいと期待しています。

学校法人 服部学園 服部栄養専門学校学校法人 服部学園 服部栄養専門学校
[所在地]
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-25-4
[TEL]
0120-69-8101
[URL]
http://www.hattori.ac.jp/

厨房談義トップへ戻る