導入事例

(株)タハラ様

業  種
ブロー成形機の製造・販売
導入企業
(株)タハラ様
自社ブロー成形機に特化した稼働監視システムを開発
ユーザー企業の生産性向上に貢献

稼働監視のニーズに独自対応を目指す

株式会社タハラは、加熱・可塑化させた樹脂を円筒状に押し出し、金型の中で空気を吹き込んでプラスチック容器を成形するブロー成形機のトップメーカー。多様化し続ける需要に応え、効率性、環境性を追求する成形機の開発・供給により国内外多くのプラスチック容器メーカーから信頼されるリーディングカンパニーだ。
タハラが『JoyWatcherSuite』をカスタマイズし、自社製ブロー成形機に特化した稼働監視システムとして自社製品を導入済みの取引先企業に提供を開始したのは2021年から。技術部副部長を務める吉井氏は開発に着手した2019年ころを振り返って、
「当社に限らずブロー成形分野は研究開発費が潤沢な射出成形機の業界とは違い、当時まだ稼働監視についてご提案できる環境を持っていませんでした。製造システムの稼動監視について需要が高まるなかで、当社のブロー成形機を複数台導入されている企業様に一括監視できるシステムを提供したいと考えました」
と語る。
樹脂を金型内に射出・充填して様々な形状の製品を製造する射出成形はプラスチック成形分野で最大の市場を持ち、PLCと連携した稼働監視システムがすでに利用されていた。稼働監視・制御を実施するSCADAシステムはハイスペックで高額な海外製品も含め複数製品が様々な業界の生産現場に導入され利用が拡大している。しかし、ブロー成形容器メーカーの多くは中小規模であり、その稼働監視システムには使いやすさと同時にコスト面でもリーズナブルであることが求められた。

仕様・詳細設定は自社で行い使いやすさを重視

吉井副部長は自社製品に特化させたうえで、お客様が導入しやすく使いやすい商品にしたいと考え、『JoyWatcherSuite』を選択した。
「他のSCADAソフトと比べて私たちがしたいこと、必要な機能が網羅されていて余計なものがない。Excelとの連携がスムーズでお客様側も使いやすいし、当社が機能を構築するにあたって開発しやすくリーズナブルなこともよいですね」
というのがその理由だ。仕様を決め、たたき台を作ったうえでベースの構築は代理店に依頼し、提供先企業、機種型番ごとに設定が必要な詳細部分のカスタマイズは改めて自社で行った。社内で開発・カスタマイズ業務を担当したのは技術部研究開発チームの齋藤氏。専門は化学分野でExcelのVBAには経験があったがSCADAソフトは初めて触ったという。開始からしばらくは集中して取り組んだが、その後は他業務とも並行して進めることができた。
「『JoyWatcherSuite』の操作について数日間は集中して勉強しました。いろいろな機能が把握できれば、最終的にExcelで必要なデータを整理して、インポートすることで設計が全部完了できる使いやすいソフトですね」
と齋藤氏は云う。32台のブロー成形機を同時につないで稼働監視が可能で、過去15年間ほどに生産されたすべてのタハラ製ブロー成形機に対応済みだ。少し古い機種でもネットワーク機能などを追加すればつなぐことができる。

目視・手動で行っていた作業を自動化

一通り出来上がったところで試用導入先を探したところ、射出成形、ブロー成形を手掛け、射出成形では稼働監視システムを導入済の顧客が手を挙げてくれた。
「その企業様では当社のブロー成形機運用にあたり、決まった時間に、稼働に関するいくつもの監視数値をすべて手書きで記録していました。重要な数値をピックアップすることでより詳細に稼働を監視・記録するためです。射出成形機ではすでにそれらの数値を自動で取り込むシステムが導入されていました。当社の稼働監視システム導入にあたっても同様に指定された数値を自動的に取り込めることがご希望でした」(吉井副部長)
標準的な監視項目はタハラ側でもあらかじめ想定してフォーマットを用意していた。これを顧客の要望に合わせて書き換える作業は齋藤氏が担当。指定された数値データを定期的にPLCで取得、CSVとしてエクスポートする。エクスポートされたデータは射出成形機など他のラインのデータとともに上位システムと連携して利用される。これによって人が目視で確認して手動で書き込んでいた作業の負担を軽減することができた。
2021年の初回テスト納品後、顧客企業からのフィードバックに基づいてデータ取得などの機能に2~3回改修を加えたという。現在はマルチブラウザ・マルチデバイスに対応する『JoyWatcherSuite Webkit』も併せて導入されて複数の担当者がスムーズに遠隔稼働監視・データ閲覧できる環境が整っている。

業界全体の生産性向上に寄与

今後は他の顧客に対しても導入を勧めていく考えだ。
「ブロー成形機の市場が急激に拡大するとは考えにくいので、当面は現在当社の機械をお使いいただいているお客様を対象に提供していこうと計画しています。今後も現場の声をお聞きして、製造の最前線で信頼していただけるものを提供していきたいと思います。固定費のかからない効率化をお手伝いすることによって業界全体の生産性向上に寄与し、WinWinの関係を強化できればいいですね」(吉井副部長)
JoyWatcherSuite』は本体がバージョンアップされても旧バージョンで構築したプログラムやファイルが問題なく利用できる。一度導入したお客様はバージョンアップによる変更などに煩わされることなく使い続けることができ、タハラ側もサポート業務に人手をとられ過ぎることがない。DX化・省力化の流れの中で、今後はブロー成形機運用の標準システムとして広がっていく可能性が高い。増えていくことが予想されるカスタマイズ等の業務に関して齋藤氏は
「『JoyWatcherSuite』は痒い所に手が届く機能が揃っていますので、お客様から新しいご要望を受けたときも『この機能を使ってカスタマイズすればいけそう』とすぐにイメージできます。作業に当たってそこまで専門性を求められないのも『JoyWatcherSuite』の大きなメリットだと感じます」
と語る。
ネットワークカメラとの連携機能を利用すれば、事故や不良品発生の際には稼働データの数値に画像情報を合わせて分析し、原因究明の迅速化・精度向上にも役立てられる。見える化やスマートファクトリー化が求められる今、ネクストスタンダードとして業界の効率化・品質向上への貢献が期待できそうだ。

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