1. 最適厨房ホーム
  2. オーナーシェフに聞く「独立開業への道」
  3. 徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (2)

オーナーシェフに聞く「独立開業への道」

徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (2)

フランス料理はひとつの文化。
自分の理想のフランス料理を楽しんでいただくために、
これからも自分の価値観を高め続けたいと思います。

フランス料理 ボンシュマン
オーナーシェフ 花澤 龍氏
1968年千葉生まれ。あべの辻調理師専門学校卒業後、「千葉グランドホテル」、小田原「ステラマリス」を経て渡仏。4年半のフランス滞在中に7件の星付きレストランで働く。1996年に帰国後、青山「ラブランシュ」でスーシェフ、代官山「ラブレー」のシェフを経て、2002年9月に五本木に「ボンシュマン」をオープン。

Part1. フランス料理との出会い

本格的なフランス料理との出会いが契機、
日本とフランスのお店で徹底して修業。

──花澤シェフが、料理の世界に入られたきっかけから教えていただけますか。

花澤

私は以前から、漠然と洋食に憧れていました。テレビの料理番組「キューピー3分クッキング」などで、料理人の方が鍋で炒め物をするところを見るのが好きでした。特にバターの香りがとても好きで、ある時バターと塩・コショウだけで作ったプレーンオムレツを食べて、こんなに美味しいものかと感動した記憶があります。

それで高校を卒業した時、調理専門学校の資料をいろいろ調べて、大阪のあべの辻調理師専門学校に入学したわけです。当時の専門学校は1年間で、和・洋・中を勉強して調理師免許をいただきました。

就職先としては、最初はホテルが良いと思いまして、自分の出身地にある「千葉グランドホテル」に入りました。ある時、職場の先輩に西麻布の「ひらまつ亭」(現在のレストランひらまつ)に連れていってもらったのです。とても感動しました。たとえばジャガイモのグラタンでも、自分のホテルのものと味が全然違うのです。味だけではなく、雰囲気やサービスも素晴らしく、一種のカルチャーショックでした。自分もこういうフランス料理を作りたいと強く思いました。

──そこから本格的なフランス料理の道に進まれたのですね。

花澤

はい。専門学校の時の先生に、2軒のフランス料理店をご紹介をいただきました。そのうちの1軒が箱根の「オー・ミラド」でした。最初の1年はサービスを担当してもらうことになるが、実はもうすぐ「ステラマリス」というお店がオープンする。そこだったら最初から調理場でよい、ということでステラマリスに決めたわけです。

ステラマリスで吉野シェフに出会い、フランス料理の基本を最初から勉強させていただきました。その後、独自にフランスのいろんなお店で働くことになったのです。フランスには、パリを中心に4年半ほど滞在していました。ミシュランで星をいただいているお店など、4〜5軒で働きました。

Part2. 独立開業を意識したきっかけ

多くのシェフとの出会いが契機となり、
料理を作っているだけではダメだと実感。

──独立開業を意識されたのは、いつ頃でしょうか。

フランス料理 ボンシュマン

花澤

フランスから帰国して、青山「ラブランシュ」、代官山「ラブレー」の2軒で働きました。独立については、当時は正直なところ「できればいいな」という憧れに近い気持ちでしたね。もちろんオーナーになるに越したことはないのですが、独立するためにはかなりのお金が必要で、たいへんなことだと思っていたわけです。

私は渡仏した時も大したお金は持っていくことができませんでした。帰国した時も手持ちのお金はほとんどありませんでしたので、独立開業というのは宝くじでも当たらなければ無理だと思っていましたね。

できれば給料の良いところで、自分の好きな料理を普通に作らせていただければ十分、当時はそう考えていました。ただ、ホテルで働いていてもリストラはあるし、40代半ば以降は料理人としてどうなるか不安もありました。結構心は揺れていたのです。

気持ちが独立に傾いたのは、代官山ラブレーで働いていた頃だったと思います。そこでいろんなシェフの方と知り合いになりました。お話を聞いたり、レセプションに呼ばれたりするうち、だんだん羨ましいなという気持ちが出てきたのです。同時に、お店で働いている時でも、自分の店だったらこうするのに、と日々考えるようになりました。

結局、料理人というのは、料理を作っているだけではダメなんだ。自分でお店を経営しなければ---そう思うようになったのです。もちろん貯金はありません。でも、やろうと思ったら不可能ではないのではないか、という気持ちになりました。それからは、自分から積極的に多くのシェフのお話を聞きにいったり、相談をしにいくようになりました。

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