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最適厨房の「常識&非常識」中級編/厨房メーカーさまに聞く [1] 業務用厨房の最適な「換気システム」とは? ─ 「換気システム」は、最適厨房を実現する重要なカギ。快適な厨房環境と光熱費の削減を実現しましょう!

町井 義生 氏
株式会社 HALTON
代表取締役
町井 義生 氏

株式会社 HALTON
株式会社 HALTON

代表者
代表取締役 町井義生
所在地
東京都渋谷区幡ヶ谷1-20-11
幡ヶ谷ART-Ⅱ 2F
電話
03-6804-7297
事業内容
業務厨房用換気天井システムの設計、施工およびメンテナンス、厨房用高効率換気システムの取り扱い、制気口類の取り扱い
URL
http://www.halton.co.jp

01. なぜ厨房換気システムが需要なのか?

──厨房の換気設備を考える時、設計事務所まかせにしている場合が多いように思います。それは何故でしょうか?

町井

理由は2つあります。ひとつは厨房換気設備について、的確な情報を得る場所がないこと。もうひとつは、最適な厨房換気システムの必要性やメリットが、まだ十分に理解されていないことです。

HALTONはフィンランド本社を中心に、グローバルな事業展開を行っています。その日本法人が設立されたのが1998年で、この十数年間、私たちは厨房換気の重要性を病院、学校、レストランなどのエンドユーザーの皆さま、そして設計事務所に対して発信し続けてきました。

例えば、新しくレストランをオープンする場合を考えてみましょう。オーナーが考えるのは、まずお客さまが快適に過ごせるダイニングをどうするか。そして美味しい料理を作るための厨房をどう設計するかです。換気については「法的に必要な最低限の設備にしかお金をかけられない」というのがこれまでの実態でした。

──最適な換気システムには、どうようなメリットがあるのでしょうか?

町井

換気システムは、病院・学校給食からレストランまで規模の大小を問わず、快適な厨房を実現するために極めて重要なポイントです。

まずお客さま目線で考えると、料理の適切な塩分濃度を実現します。暑い厨房ですと料理が塩辛くなりがちなのです。また従業員にとっては、快適な厨房で働くことがモラルアップにつながります。さらに経営的な視点では、最適な換気システムの導入によって光熱費のコストが削減され、その分が純利益の増加になります。

最近では、管理栄養士・栄養士の皆さんが「大量調理衛生管理マニュアル」に準拠した衛生管理を行うために、とても熱心に換気システムを検討されています。レストランのオーナーからも、職場としての厨房環境の改善と、コスト削減・利益拡大という目的で、関心が高まっています。また設計事務所でも、こうしたユーザーの要望を取り入れ、換気システムに対する理解が進んでいます。

日本でも、やっと厨房換気の重要性が認識されてきたと実感しています。

02. 用途に応じて先進的な換気システムを使い分ける

──新しい換気システムには、「換気天井システム」と「キャプチャージェット」の2つがあります。この違いを教えてください。

町井

一般的な厨房で多く見られる「通常のフード換気」は、厨房機器の上部に箱形のフードを設けた換気設備です。機能は排気に限定されており、給気と空調は別途設備が必要です。イニシャルコストが安い反面、換気による強い気流が発生したり、音がうるさく、フィルターの掃除がたいへんだという短所があります。

これに対して新しい換気システムである「換気天井システム」は、「置換換気」の原理を応用しています。温かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するという法則を応用し、調理で生じる排気・排熱と新鮮な冷たい空気を撹拌させずに置き換えるという、効率的な換気方法です。

一方「キャプチャージェット」は、フードの下端から室内空気(RA)を水平方向と垂直方向に吹くことで、換気を効率的に行うことができます。水平方向の噴流はフードから漏れ出ようとする調理排気をキャッチし、垂直方向の噴流はエアーカーテン効果によりフード容積を増加させます。この2つの機能により排気効率を高めています。

この2つは、用途が異なります。「換気天井システム」は厨房全体の排気・給気・空調により環境改善を図るもので、病院・学校給食、ホテルのメイン厨房など、大型厨房の換気に適しています。「キャプチャージェット」は、コンロ、中華レンジなどの加熱機器の局所的な排気・給気・空調を極めて効率的に行うシステムで、個店のレストランに向いています。

日本の厨房環境は、ヨーロッパに比べるとまだ大きな改善の余地があります。ヨーロッパではシェフの社会的地位が高く、厨房の法的規格も高い水準が求められていますが、日本の場合はまだ十分ではありません。

HALTONは、厨房換気の重要性を啓蒙し、新しい換気システムを積極的に紹介することで、働く人の健康を守る清潔な厨房環境の実現に貢献したいと考えています。

換気天井システムの導入事例

癌研有明病院

癌研有明病院

キャプチャージェットの導入事例

Turandot臥龍居(トゥーランドット がりゅうきょ)

Turandot臥龍居
(トゥーランドット がりゅうきょ)

03. 「M.A.R.V.E.L.(マーベル)」による電気料金とCO2排出量の削減

──厨房換気システムは、今後どのように進化するのでしょうか。

「M.A.R.V.E.L.」のタッチパネルを指し示す町井社長
町井

2012年には「M.A.R.V.E.L.(マーベル)」という、まったく新しい換気システムの導入が3件ほど予定されています。これは設計事務所の方からも「厨房換気の概念が変わる!」と評価された、画期的なシステムです。

M.A.R.V.E.L.の特長は、まず赤外線センサーが機器の稼働状態を検知し、機器が稼動しているときは排気風量を多くし、稼動していないときは減らす等、換気量を自動的に制御し、最適な状態にします。このため、排気風量を約64%減少できるという試算もあります。これにより、排気ファンに要する電力の省エネにつながり、電気料金とCO2排出量も削減されます。しかもタッチパネル上で削減効果が数値として把握でき、そのデータをインターネッ トを通して本部へ送信することで、継続的な管理が可能になります。

財務的な視点で見たM.A.R.V.E.L.の長所は、投資した初期コストを電気料金の削減効果により確実に回収できることです。従来の換気システムを大きく進化させたM.A.R.V.E.L.は、今後の換気システムの主流になっていくのではないかと考えています。

私の実感では、日本の厨房換気は、ドイツに比べて30年遅れています。個々の厨房機器は優れているのですが、トータルな厨房環境の実現はまだまだです。ユーザーの皆さんや設計事務所の方々は、先進的な換気システムのメリットを知るためにも、より積極的に情報収集をしていただきたいと思います。

情報収集をするために、東京ガスのショールーム「厨BO!SHIODOME」は最適でしょう。メーカーや設計事務所には聞きづらいことでも、身近で中立的で、しかも豊富な情報がそろっています。情報収集のために活用してはいかがでしょうか。

「厨BO!」東京ガス業務用テストキッチン

「厨BO!」東京ガス業務用テストキッチン

東京ガスの業務用テストキッチン「厨BO!YOKOHAMA」では、業務用機器や換気設備など、快適な厨房づくりについてご提案しています。ぜひお問い合わせください。
※「厨BO!SHIODOME」は2020年4月末に閉館いたしました。

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