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徹底インタビュー/私のお店が出来上がるまで (4) ─ 自分で調べ、自分で考え、自分で工夫する。独立開業を成功させるためには、謙虚な気持ちと決断力がとても重要です。

Cafe+French「Milieu(ミリュウ)」
オーナーシェフ 真中正晴氏
1969年12月1日、茨城県生まれ。18歳から料理人の修業をスタート。24歳で渡仏し、フランスの地方レストラン(オテル・ド・フランス1つ星)で料理人としての生き方を学ぶ。26歳からギリシャの日本大使公邸に勤務、体に優しい料理を学ぶ。帰国後、六本木一丁目のレストラン(ケセラ、マシャンブル)の調理長を務める。2009年6月、オーナーシェフとして東麻布にカフェ+フレンチ「Milieu」をオープン。

Part1. 独立開業までの経緯

20歳でフランスへ修行に。ギリシャで古典的料理も勉強。
自分の料理人人生を考え、39歳で独立を決断。

──真中シェフは、なぜフレンチの料理人になろうと思ったのでしょうか。

真中

私は、18歳で料理の世界に入りました。実は昔から母が病気がちで、小さい頃から家で料理を作ったり、小学校2年からは自分でお弁当を作っていました。今から思うと、病院から帰ってきた母にご飯を作ってあげて、それを誉められたことが、料理人の道を目指すきっかけだったのかなと思います。

ただ、最初からフランス料理の料理人になりたかったわけではありません。料理に携わることができれば、何でも良かったというのが当時の本心でした。

──24歳の時に、フランスへ修行に行かれています。それはどんな経緯だったのですか。

真中

毎日働き、勉強をすればするほど、本場の料理が見たいという気持ちが強くなり、20歳の時に「行こう!」と決意しました。親方からは「ダメだ」と言われましたが、4年間言い続けていました。当時はバブル絶頂期で、お店は非常に忙しく、朝の5時半から夜の7時まで働き、休みは3カ月に1回しかありませんでした。勉強する時間はありませんでしたので、電車の中でフランス語を独学で勉強し、自分のモチベーションを高めていったのです。24歳でようやく夢がかない、フランスの地方のレストランで修行することになりました。

──フランスでの修行時代に、どんなことを学びましたか。

真中

当時はまだ若く、体力には自信があったのですが、向こうにはもっとタフな人もいっぱいいて、いろんな人を見たり接しないとダメだな、と思いました。ただ、どんな時でも苦労だと感じたことはありませんでしたし、帰りたいと思ったこともありませんでした。

──その後、ギリシャの日本大使館で料理人をされていますね。

真中

はい。ご縁があって26歳でギリシャの日本大使公邸で料理人を勤めました。実はフランスに行く前に様々な料理本を見ていて、古典的な料理はギリシャから入ってきたものが多いことに気付いていました。古典的料理を勉強する良い機会だと思い、ギリシャへ行ったのです。

ギリシャでは、フランスやイタリアより以前から、フォアグラ、オリーブオイル、パンなどが食べられていました。今でも田舎の方に行くと、イーストの代わりに子羊の内臓を発酵させてパンを作っていたりします。ギリシャでは、さまざまな古典的な料理を勉強することができました。最初は古典を軽く見ていたところもあったのですが、ギリシャ滞在を経て、やはり料理は人や地域や、土、水、空気と密接な関係があるのだということを実感できました。

──その後帰国され、2009年6月に「Milieu(ミリュウ)」を開業されました。そのきっかけは?

真中

もともと私は、緻密なスケジュールをたてて動くようなタイプではないのですが、30歳を過ぎたら独立しようという気持ちはありました。でも何度も自分の気持ちを抑えていました。しかし、自分が我慢できなくなった時がやり時だと思い、39歳の時に決断しました。自分が一生懸命頑張れるのは、せいぜいあと20〜25年。その自分の料理人人生のなかで、もっと自分らしい料理を作り続けなければいけないな、と思い切ったわけです。

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