セミナーレポート
2023.3.13
【開催報告】グループ客を取り込み 売上UPにつなげる「魅力あふれる&映える“ パーティ料理 ”のプレゼンテ-ション」
◆サーモンとポテトのムース パフェ仕立て(写真上から2枚目)
~Parfait à la mousse de saumon et pommes de terre~
華やかな盛り付けの「サーモンとポテトのムース パフェ仕立て」。今回のテーマである「シェアする料理のプレゼンテーション(演出)」を存分に盛り込んだお洒落なガラスの器盛り料理をご披露いただきました。
注目すべきは、滑らかなサーモンのムースを作るためにホテルから持ってきていただいた、特殊なミキサーを使用しての作業。当日ご参加いたたいた横浜ガストロノミ協議会のシェフも、興味深々でそのミキシングをご覧になっていました。どんなミキサーかをお知りになりたい方はアーカイブ配信動画を是非ご覧になってみてください。私も初めて見ましたが、明らかに仕上がりは今までにない滑らかさでした。ミキサーとフードプロセッサーの使い分けや、ミキサーが作業量の軽減化に重要な役割を果たす点も教えていただきました。
ポテトのムースとレンズ豆のブレゼ(蒸し煮)との組み合わせも楽しい味わいで、ややもすると重くなりがちになるところを丸山シェフの絶妙なレシピ構成で、逆に軽く感じる食感となっていました。
まじめなお人柄を象徴するように手順をきちっと説明していただきながら、アーティスティックな一面も持つシェフの仕上げの飾りつけも、帆立のチュイルをはじめとするさまざまな食材を彩りよく盛り付けられ、シェアするのが楽しくなるような、そして食卓が艶やかなるような極上の一品でした。
◆薫香スープのポーチド ビーフ(写真上から3枚目)
~Pochée de bœuf au bouillon au fume~
脂肪分の少ない牛フィレ肉を燻製の香りが付いたブイヨンで茹でて火を通す肉料理です。アイデア豊富な丸山シェフは、それまで素材に薫香をつけるためだけに使っていた燻製シートをブイヨンで煮出して薫香スープを作り、その中で素材を茹でて香りをまとわせ、尚且つそのスープを泡立ててソースのひとつとして盛り付けの演出に組み込むという、二度美味しい使い方を教えていただきました。泡立て方にも驚く仕掛けがあり、みなを驚かせていました。
シェフ曰く、「食材に敬意の念を持ち、とことん使い切る。」や「材料の無駄をなるべく出さない。捨てない。」等を日頃からホテルで実践されているとのことで、その中からあみ出されたアイデアの一つとのことでした。
緑色が鮮やかな菜の花ソースにも前述のミキサーを使用して滑らかに仕上げて、その盛り付けにもひと工夫。100円ショップで購入したゴムベラに切り込みを入れて菜の花ソースを波状にお皿に描くテクニック等、お客さまに食事を楽しんでいただくための「プレゼンテーション(演出)」を数々教えていただきました。是非取り入れてみてください。
【第二部】丸山修司シェフインタビュー
ホテルの総料理長という立場の丸山シェフに料理やアイデア、まとめる力などについて伺いました。
Qお客さまに喜んでいただく工夫は?
「金沢や京都に赴任したとき宴会のお客さまの飲み物を見ると日本酒ばかり。それならフレンチでも日本酒に合うものにしようと工夫しました。記念日などでご利用いただくことも多いので、手書きの料理デッサンを添えてメニューカードにすることもあります。記憶に残ると嬉しいです。」
Q個人店でもできそうなフェアは?
「農家さんと話して、直接仕入れさせてもらったり、メニューに農園の名前を入れさせてもらったり。どんどん飛び込んでいくと美味しいものが出来ると思います。」
Q食材ロス対策は?
「ごみを出さないようにしています。例えば大根の皮も使ったり、余ったらピューレにして冷凍してたり、捨てないで何かに使っています。」
Qホテルには多くの従業員の方がいらっしゃいますが、まとめるにあたり大事にしていることは?
「総料理長という立場ですが、若かった頃のことを忘れないでやっています。若いスタッフに同じような苦労をさせないようにしています。」
続いて「横浜ガストロノミ協議会」シェフたちへのインタビューです。お店での仕込み時間などをやり繰りしてご登壇いただきました。
Qお店で使っている食材の変化や悩みは?
「仕入れの値段が高くなってきているので、市場や農家に行く回数を減らして、できる範囲内でコストを下げる工夫をしています。」
—「ビストロ酒場Marine Club」竹田直人シェフ—
Q最近「これいい!」」と注目し、使っている食材は?
「タマゴの価格が上がっていますが、逆に言うと良い地卵などはそれほど変わらなくて、同じくらいの価格帯になっています。そこでブランド卵を仕入れてデザート(プリンなど)に使ったりしています。また週に一度は市場に行きますが、アンコウがよいですね。年末の鍋での需要が減って、肝を欲しがる方が多いですが、身の方は安かったりします。」
—「シェ・フルール横濱」飯笹光男シェフ—
Q省力化や資源の工夫は?
「最近、予約システム/顧客管理/会計をデジタル化し、手書きの台帳はなくしました。ダブルブッキングが防げ、各フロアの厨房に予約内容を書いて貼りだすなどの手間がなくなりました。また和食は現金のみというお店が多く、当店に来て「ここまでデジタル化に対応しているんだ」と喜んでくださるお客さまもいます。」
—「日本料理 梅林」山下 英児料理長—
Q春以降コロナ禍があける兆しがありますが、展望や取り組みたいことはありますか?
「以前は結婚式や大企業のイベントが多かったですが、コロナで少なくなりました。これからは、生産者とお客さまをつなぐような、人と人が笑顔で触れ合うようなイベントを企画してみたいです。」
—「インターナショナルキュイジーヌ サブゼロ」大井務シェフ—
「お客さまもコロナ明けの兆しを感じられたのか2月から増え始めました。桜の見えるレストランなので、そのときに春のご予約もいただく感じでした。新規のお客さまも大事ですが、確実なのは今目の前にいるお客さま。このお客さまたちにご満足いただければ、次回も来てくださるし、周りの方に話して評判も上げてくださる。それが新しいお客さまをお迎えすることにつながっていく、そんなことをスタッフと話しています。」
—「ペタル・ドゥ・サクラ」難波秀行シェフ—
【参加者の声】
“味はもちろん美味しかったのですが、立体感のある盛り付けが大変素晴らしかったです。”
“一般レストランとはまた異なる、ホテルバンケットのノウハウを活かしたパーティーメニューの調理実演が拝見できて勉強になりました。
ご参加いただいた皆さま、講師の丸山シェフ、「横浜ガストロノミ協議会」シェフの皆さま、ありがとうございました。
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▲丸山シェフの料理。特産鶏の大きさを表現したいとシェフ自作のコックさん登場。
(写真:丸山シェフ提供)
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▲業務用小型コーヒーマシン「Zenius」(ネスレネスプレッソ)で入れたコーヒーの試飲もできました。
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▲タカナシ乳業から提供されたフレッシュクリーム(右)。マイユからはパーティー料理にも活用できるコルニションが参加者へプレゼントされました。
2010年7月金沢エクセルホテル東急料理長就任。
新生となった金沢東急ホテルの料理長として「マレ・ドール」と各種パーティープランのプロデュースに携わる。
2016年3月京都東急ホテル料理長、
2019年4月横浜ベイホテル東急の総料理長に就任。
「横浜ベイホテル東急」https://ybht.co.jp/
https://www.yokohamagastronome.com/